映画『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』本編映像解禁
シリア内戦を描く映画祭41冠ヒューマンドラマの緊迫映像公開
2024年ベルリン国際映画祭アムネスティ国際映画賞をはじめ、世界各国の映画祭で41冠を達成した群像ヒューマンドラマ『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』より、本編映像が解禁された。ひっ迫した手術室にとどろく爆撃音――兵士から銃を向けられた医者の決断とは。
アサド政権による長期独裁への不満を背景に勃発し、2011年から2024年まで続いたシリア内戦。戦火から逃れるため国外避難を余儀なくされた人々は、1400万人にのぼる。
監督・脚本・製作を手がけたのは、『ローン・サバイバー』(14年)や『沈黙 -サイレンス-』(16年)などでエグゼクティブ・プロデューサーを務めてきたブラント・アンダーセン。人道支援活動家としても知られる彼は、原点となる短編『Refugee』(20年)でアカデミー賞短編実写映画賞のショートリスト入りを果たした。
本作では、シリア、トルコ、ギリシャ、アメリカを舞台に、紛争下を生きる5つの家族の運命が交錯する群像劇を5章構成で描写。アンダーセンの長編デビュー作となった本作は、第74回ベルリン国際映画祭スペシャル・ガラ部門でアムネスティ国際映画賞を受賞し、その後も世界各国の映画祭で41冠を達成した。
キャストには国際色豊かな実力派俳優が集結。『キャラメル』(07年)で注目を浴びたレバノン出身のヤスミン・アル・マスリーが、極限状況でも冷静さを失わない医師役を熱演する。
さらに、『最強のふたり』(11年)で東京国際映画祭主演男優賞やセザール賞主演男優賞に輝いたオマール・シーが、冷酷な密航業者でありながら父親としての愛情も抱える複雑な男を好演。二人は短編『Refugee』(20年)から同役を引き継いでいる。
そのほか、『皮膚を売った男』(20年)のヤヤ・マヘイニが葛藤を抱えるシリア兵を演じ、ギリシャ人俳優コンスタンティン・マルクーラキスが沿岸警備隊の船長役で存在感を発揮。パレスチナ出身のジアド・バクリも、家族の未来を信じ続ける父親役で深い印象を残している。国境を超えた俳優陣の競演が、本作を真にグローバルなヒューマンドラマへと昇華させた。
(C)2025 Refugee The Film.LLC
多様な当事者の視点からシリア内戦の実態を描き出す本作は、物語のキーパーソンとなる女性医師のエピソードから幕を開ける。このたび、戦時下の逼迫した医療現場を、圧倒的なリアリティとサスペンスフルな緊張感で映し出した本編映像が解禁された。
アサド大統領による独裁政権下のシリアでは、政府軍と反政府組織による激しい戦闘が続いていた。シリア北部アレッポの病院で働く医師アミラ(ヤスミン・アル・マスリー)は、手術室で負傷者の治療にあたっている。しかし、目の前の患者の処置を終える間もなく、重傷を負った新たな兵士が運び込まれてくる。
アミラが「ほかの医師に頼めない?」と問いかけても、「手術中です」という返答が返るばかり。逼迫した医療現場の状況が生々しく浮かび上がる。アミラが助手に「モルヒネの投与を」と鋭く指示を飛ばした直後、「先生!」という悲鳴のような声が響く。
そこには、「1時間前に殺しておくべきだった」と銃を向ける兵士の姿があった。それでもアミラは動じることなく、「あなたも死ぬわよ」「今撃つならしばらく待ってて」と静かに語りかける。果たして、アミラと兵士の運命はどうなるのか。続きが気になる緊迫の本編映像となっている。
本作は、まるで登場人物たちの記憶の中へ入り込んだかのような生々しさを持つ。アンダーセン監督が物語の起点として“医師”を据えた背景には、シリア、トルコ、ギリシャ、ヨルダンで行った人道支援活動の経験がある。
監督は現地で難民たちから直接聞いた証言をもとに脚本を構築したが、特にシリア・アレッポ郊外の新生児病院で過ごした時間が大きな影響を与えたという。「信じられないほど忙しい病院で、医師や看護師たちは狂ったようなシフトで働いていた」と振り返り、戦争の最前線で命をつなぎ続ける医療従事者たちの献身に強い衝撃を受けたと語っている。
さらに、「医療室で銃を突きつけられる出来事は、シリアの手術室で私がインタビューした看護師が経験した実際の話に基づいています。彼女は自動車爆弾の襲撃を生き延び、その体験を私に語ってくれました。私は撮影直前にそれを脚本に書き加えました。すべての物語は実在の人物の経験から生まれたものです」と明かしている。
敵味方を問わず命を救おうとするアミラの姿には、監督が現地で出会った人々の記憶が色濃く刻まれている。
アミラを演じるのは、レバノン出身の俳優ヤスミン・アル・マスリー。パレスチナ難民のルーツを持つ彼女は、本作への出演を特別な使命として受け止めたという。ハリウッド、ヨーロッパ、アラブ映画界を横断して活躍し、ドラマ『クアンティコ』では主要ネットワークドラマ初の中東出身主演女優として注目を集めた実力派だ。極限状態でも人間性を失わない医師像に、圧倒的なリアリティを与えている。
5月8日は「世界赤十字デー」。「傷ついた兵士はもはや兵士ではない、人間である。人間同士としてその尊い生命は救われなければならない」という赤十字創始者の言葉がある。本作のアミラもまた、敵味方を問わず、目の前の命を救うことを最優先に行動する。
世界各地で戦争が続く今だからこそ、最前線で働く医療従事者たちへ思いを巡らせるきっかけとなる本作を、ぜひ劇場で体感してほしい。
『アイ・ワズ・ア・ストレンジャー』は2026年6月19日より全国順次公開。





