アジアでサプライズヒットを記録したタイ映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』をハリウッドリメイクした『BAD GENIUS/バッド・ジーニアス』に出演したカリーナ・リャンとベネディクト・ウォンの対談インタビュー映像と、新場面写真4点が解禁されました。
貧しい家庭に育つ天才少女・リン(カリーナ・リャン)は、有名高校に特待入学。落第の危機に瀕した親友を助けるため、リンは試験中にある方法で答えを教えてしまう。その事件をきっかけに、リンを取り巻く環境は一変。やがて、世界を跨ぐカンニング計画の実行へ発展していくことに──。
舞台がアメリカになったことにより、移民のアイデンティティといった社会的背景もテーマに描かれていることについて、リャンは「階級社会の不平等は大事なテーマです。金銭的な後ろ盾がない家族の葛藤を描くにあたり、アメリカを舞台にしたことで、新しい扉が開いたといえますね。私自身、アメリカ大陸に家族が来た身からしても、やはりプレッシャーを感じていましたので、それを強調しているところがオリジナルとの大きな違いだと思います。私の家族も中国から来て、私自身はオーストラリア、シンガポール、ニューヨーク、カナダとさまざまなところで生きてきたので、アジア系の抱える葛藤は非常に身近です」と自身の経験を交えて回答。
リンの父親モウ役を務めたウォンは、「加えて、本作は家族の大切さに敬意を払っています。父は働き者で、娘にすべてを託して、娘のために生きています。彼女に託しすぎるがあまり、彼女の夢ではなく、より安定した暮らしのほうに重きを置きすぎることから、葛藤が生まれるのです」
本作への出演を決めた理由として、ウォンは「脚本を読んだときに自分がぐっとくるようないいストーリーかどうかという基準で仕事を選んできました。今作は特に父と娘の関係性に惹かれました。移民を描いている点においては、自分や亡くなった妻が持っていなかった機会を、娘には与えたいんだと大きな何かに向かっているところ、それからアジア的な家庭における、子どもたちが安心できる居心地のよさを提供したいという思い、ただ、子どもに安定を与えたいと思うがゆえに夢がオフセットされるというか、愛情の表し方もさまざまですよね」
リャンと父娘役で共演したことについて、ウォンは「共演できてとてもよかったよね。最初にロンドンで会ってすぐ打ち解けました。特にこの作品はカリーナにとって初の映画で、いきなり主演だったんです。でも主演をみごとにやり遂げて、すばらしい演技を披露してくれました。そのあと、スティーブン・ソダーバーグ監督の『プレゼンス 存在』でとてもいいスタートを切りましたね。私たちも、父親と子どものいい関係を演じられたんじゃないかな」と、カリーナの成功を喜ぶコメント。
リャンは、「長年、尊敬していてあこがれていた俳優なので、会う前夜は緊張して眠れませんでした。でも、会ったとたんにとても気さくな方だとわかったので、すぐに打ち解けることができました。二人のシーンは最高でした。とても安心して、クリエイティブにお互いの演技を模索できるすばらしい空間を共有でき、自然に演技ができました。父役がベネディクトさんでなければ、やり遂げられなかったんじゃないかと思うくらい、多くの助言をいただきました」
今後の展望として、ウォンは「『バッド・ジーニアス』を第一弾として、親子三部作を撮ろうという話をしています。カリーナにとっては最初の映画の仕事でしたが、私たちは協定を結んだように、お互いに支えあっていました。親子でやっていくんだという、まさにモウとリンのような関係が築けたと思います」と茶目っ気たっぷりにコメント。
後輩のアジア系俳優たちへのアドバイスを尋ねられると、ウォンは「役者というのは錬金術師のように自分の熟練の腕を磨いていく旅路と言えます。自分の演技道というか、手法を見出していくのです。経験を積んでいく中で信じられないような機会をもらうことがあります。自分がつねに何がきても大丈夫という状態でいることが大事です。本作においてはカリーナとの共演ですね。その関係が続くことにも恵まれるのです。助言としては、舞台にも通って、吸収できることは吸収してください。同時にほかの仕事を掛け持ちしなくてはならないこともあるでしょう。でも『自分は演技だけで一本立ちできる』と思ったら、そこに集中してキャリアを形成していけるように。幸運を祈ります」と自身の経験を踏まえながら、エールを送りました。

物語
貧しい家庭で暮らすリンは、全科目で学年トップの成績を収める天才的な頭脳の持ち主で、名門高校に特待生として迎え入れられる。ある日の試験中、親 友を救うために奇想天外な方法で解答を教え、好成績を取らせてしまう。そんなリンの才能に目を付けたのが親友の恋人。富豪弁護士を父に持つ彼は、学校の劣等生たちを救済する“危険なビジネス”を持ちかけてくる。しかしそれは、世界を跨ぐ《前代未聞のカンニング計画》の始まりだった―!
監督:J・C・リー
脚本:J・C・リー ジュリアス・オナー
出演:カリーナ・リャン ジャバリ・バンクス AND ベネディクト・ウォン
配給:ギャガ
©Stewart Street LLC
シネマスコープ/5.1chデジタル/上映時間:97分/字幕翻訳:中沢志乃