東野圭吾「虚ろな十字架」完成報告会
完成報告会
日時: 8月31日(木)
場所: 東京・WOWOW Lab
登壇:香取慎吾、赤楚衛二、蓮佛美沙子、鈴木杏、監督の瀬々敬久
香取慎吾が31日、東京都内で開催されたWOWOWの「連続ドラマW 東野圭吾『虚ろな十字架』」完成報告会に出席した。9月6日から毎週日曜午後10時に放送される本作で主演を務める香取は、会場で原作を手がけ、先月亡くなった作家・東野圭吾さんへの思いを語り、その功績をしのんだ。
香取は、脚本を手にした段階から「重く苦しくのしかかるものがたくさんあった」と回想。実際の現場では脚本から受けた印象を上回るほどの“リアル”な重さを感じたと明かした。
「その重さに飲み込まれないように、毎日ちゃんと背筋を伸ばして向き合わなければいけないと思っていました」と振り返り、「役としての苦しさだけではなく、自分自身が演じる中で感じる辛さも含めて、毎日踏ん張っていたような感覚でした」と、精神的にも負荷の大きい撮影だったことを語った。
香取演じる中原と物語の中で深く関わるのが、加害者家族の立場に置かれた仁科史也。赤楚は史也について、「すごく真面目な人物だからこそ、自分が加害者家族であることへの責任を一人ですべて抱え込んでしまう」と分析。さらに、「罪の意識のようなものが、ずっと身体にまとわりついているような感覚がありました」と、その人物像を捉えていたことを明かした。
香取と赤楚が共演するのは今回が初めて。劇中では、被害者遺族と加害者家族という対照的な立場にある2人だが、実際の撮影現場でも、その関係性を意識する瞬間があったという。赤楚は、「メイク室で初めてお会いして、『はじめまして、赤楚です』と挨拶した瞬間に、今回の作品における被害者遺族と加害者家族という境界線を感じた」と回想。「現場でも、あまりお話しすることはなかったですよね」と振り返った。
撮影中の2人の距離感については、香取は、「なかなか話すタイミングがなかったので、今日は裏で一生懸命話しています」と笑顔を見せた。作品では、重いテーマを扱った緊張感のある場面が多く、撮影の合間に気軽な世間話をするような雰囲気ではなかったという。それでも、初めて赤楚と顔を合わせた際には「かっこいいなと思いました。とってもかっこいい子です」と、その第一印象を明かした。
また、赤楚が香取より一足先に撮影を終えた際のエピソードも披露。香取は「クランクアップのときにハグをして、『僕はまだ何日か撮影が残っているから頑張るね』と伝えました」と振り返る。その後、メイク室で支度を終えた香取は、もう少し赤楚と話したいと思い、彼を追いかけようとしたという。しかし、「外に出たら、もう赤楚くんの車が出発していて。その車を見ながら、『ああ、もう帰っちゃったんだ』と思いました」と、少し寂しそうに回想。赤楚は「すみません。まさかそんなことになっていたとは」と驚いた様子を見せた。
一方、瀬々監督は香取の演技について、現場での存在感と瞬発力を高く評価。「香取くんは、現場にふっと入ってきて、その場の空気や共演者を感じ取ったうえで、一気に役を立ち上げていくんです。その瞬発力がすごい」と称賛した。さらに、「芝居の佇まいを見ていると、石原裕次郎さんや勝新太郎さんのようなスターを目の前にしている感覚がありました」と、昭和を代表するスターの名を挙げながら絶賛。思いがけない高評価を受けた香取は、「うれしいです」と満面の笑みを浮かべた。
続いて瀬々監督は、赤楚の演技にも言及。「赤楚さんはすごく自然体で、演じているというより、そこに本人がそのまま存在しているように感じました」と印象を語った。さらに、芝居の中で感情が徐々に高まり、ある瞬間に一気に表情や空気が変化する点にも触れ、「突然、感情が大きく動く瞬間があるんです。そうした演技の変化がとても印象に残っています」と絶賛。特に、ふとした場面で見せる自責の念をにじませた表情について、「今回の史也という役に非常によく合っていた」と評価した。
これを受けた赤楚は、「そう言っていただけるのはありがたいです」と恐縮しつつ、「演じるときには、できるだけその場で生まれた感情を偽らないようにしようと思っていました」と、役に向き合う際に大切にしていたことを明かした。
また、中原の元妻・小夜子を演じる鈴木杏は、香取との久々の共演を振り返った。2人は子役時代に映画『ジュブナイル』で共演しており、今回が約20年ぶりの再共演となる。鈴木は「再会したときは、『あの頃はこんなに無邪気に笑っていたのにね』という感じでした(笑)」と当時を懐かしみ、「長く俳優を続けていると、こういう再会があるんだなと、ご褒美をもらったような気持ちになりました」と喜びを語った。
一方で、鈴木杏は、「とにかく大変なシーンが続いて、再共演を喜んでいる暇もないくらいでした」と苦笑。劇中では中原と小夜子の間に一定の距離が残された関係性が描かれることから、「もう少し幸せな夫婦の時間も過ごしてみたかったです」と本音をのぞかせ、会場を和ませた。
香取も「杏ちゃんが妻役で本当によかった」としみじみ。かつて共演した『ジュブナイル』での思い出を振り返りながら、「あのとき一緒に過ごした時間があったからこそ、今回の夫婦という関係にも自然につながっていった部分があったのかなと思います」と語り、感慨をにじませた。
鈴木は、「最初から安心して身を委ねられるような感覚がありました」と語った。香取を前にすると、自然と幼い頃の自分に戻ったような気持ちになり、「甘えてしまったり、頼らせてもらったりする場面もあって。本当に心強い存在でした」と、その存在の大きさを明かした。
一方、劇中で赤楚と夫婦を演じた蓮佛は、撮影現場で交わした何気ない会話が印象に残っているという。「撮影の合間に、ちょっとしたお話をする時間があって、そこにすごく癒やされていました」と振り返り、「赤楚くんって、ちょっと天然ですよね」と笑顔を見せた。
蓮佛によると、作品ではシリアスな関係性を演じていた2人だが、カメラが回っていないところでは赤楚の意外な一面が垣間見えたという。「突然、『空気清浄機を2台買ってしまって、キャンセルもできないんですけど、どうしたらいいと思います?』みたいな相談をされて」と、撮影中の微笑ましいエピソードを披露。「作品の中とのギャップがすごかったです」と語り、会場を笑わせた。
タイトルにある「十字架」に絡め、登壇者が日常生活の中で「気にはなっているものの、なかなか実行に移せずにいること」を明かすトークも展開された。
“自分自身が背負っているもの”という話題では、香取が「できれば健康のためにも、2階くらいまでならエレベーターに頼らず階段を使いたい」と明かした。しかし、頭では分かっていても実際にはなかなか実践できていないという。
そこで名前が挙がったのが、親交のある草彅剛。香取によれば、草彅はエレベーターを使わず、階段を軽やかに駆け上がっていくという。「見習わなきゃと思っているんですけど、現場ではスタッフの皆さんも一緒なので、つい周りに合わせてエレベーターに乗ってしまうんです」と苦笑。一方で、「草彅はそういうことをまったく気にせず、ひとりでピョンピョン上っていく」と対照的な姿を紹介し、「どちらが正解なのか分からないですけど」と会場の笑いを誘った。
イベントの最後には、香取が本作を通して届けたい思いを改めて語った。
「ニュースで目にする事件の中には、わずか10秒ほどで終わってしまうような出来事もあります。でも、その短い時間の裏側には、人生そのものを大きく変えられてしまった人たちがいる。そして、そこから何とか立ち上がり、前を向いて生きようとしている人たちもいる」と、事件の報道だけでは伝わりにくい被害者や周囲の人々のその後に言及。
「家でニュースを見ているだけでは知ることのできない、その先の部分が、このドラマにはたくさん描かれています」と、本作が扱うテーマの深さを強調した。
その一方で、「もちろんドラマなので、エンターテインメントとしてミステリーを楽しんでいただきたい」と作品の魅力にも触れた香取。すでに第1話を鑑賞したそうで、「皆さんにひとつお伝えしたいのは、息をするのを忘れないでくださいということ」と印象的な言葉を口にした。
「自分自身も、物語に追い詰められていくような感覚があって、本当に呼吸をするのを忘れてしまうほどでした」と振り返り、「ストーリーを追いながら、いろいろなことを感じてもらえる作品になっていると思います。ひとりでも多くの方に観ていただけたらうれしいです」と力強く呼びかけ、会場を後にした。

出演:香取慎吾
赤楚衛二
蓮佛美沙子 花瀬琴音 山中崇 田中要次
宇崎竜童 杉本哲太 ピエール瀧 / 鈴木杏
原作:東野圭吾『虚ろな十字架』(光文社文庫刊)
監督:瀬々敬久 脚本:杉原憲明 音楽:安川午朗
企画・プロデュース:松本太一 下田淳行 プロデューサー:熊谷悠
アソシエイトプロデューサー:樋浦悠真
制作プロダクション:ツインズジャパン
製作著作:WOWOW
公式SNS
WOWOWオリジナルドラマ公式Xアカウント @drama_wowow
WOWOW 公式Instagramアカウント @wowowofficial
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