2016年の地震から10年、2026年7月28日、熊本で大きな地震が発生、傷ついた街の復旧、復興へと努力を重ねてきた熊本が、再び試練に直面している。いまだに断水が続くなど、不自由な生活を余儀なくされている方々が多くいらっしゃる中、2016年よりさらなる復興へ日々努力をされている市民・県民の皆様に映画の力で少しでもエールが送りたいと開催を重ねてきた「くまもと復興 映画祭」では、『いまできること。いまやれること。』として、チャリティ上映会を開催した。
映画の力で少しでも被災された皆様を応援できればと思い、東京テアトルの協力のもと、熊本で撮影された映画『うつくしいひと』を上映、上映後には、本作の監督であり、くまもと復興映画祭のディレクター・行定 勲監督・熊本県出身で本作に出演する高良健吾が登壇、熊本への想いを語り、イベント終了後はロビーにて募金活動を実施、多くのお客様に賛同いただいた。上映会での売上、募金の全額は、日本赤十字社を通じて、被災地の皆さまへ寄付される。

 令和8年熊本地震を受け、東京テアトルの協力の元、急遽実施が決まった『うつくしいひと』令和8年熊本地震チャリティ上映会。上映後は客席より拍手が起こり、温かい雰囲気の中、高良健吾と行定 勲監督が登壇。行定 勲監督からの「東京テアトルさんのご協力でこの上映会が実施できたこと、感謝申し上げます。そして、たくさんの客様にお越しいただき、全国いろいろなところからお越しいただいたと聞いております。熊本出身の僕には、皆様の熱い気持ちが嬉しく思っております。本当にありがとうございます」、高良健吾からの「本日はお越しいただきありがとうございます。この『うつくしいひと』を最初に撮ったときは(2016年の)地震が起きる前で、まだ傷つく前の熊本城が映っていて。熊本のひとに喜んでもらおうと行定さんが作られたのですが、そのあと地震が起きて、自分たちができることはなんだろうと考え、本作の上映がくまもと復興映画祭での上映に繋がっていきました。10年目の節目に次に進むためにいろいろ考えていたこともあったのですが、また地震が起きて。だんだん復興していく姿を見ていたからこそ、地元の方の悔しさを想うと言葉がでてこなくて。でも、傷つく前の熊本が映った 映画で、またこうしてたくさんの方に集まっていただけて、また熊本のためにできることがあるということが嬉しいです」と、それぞれ感謝の言葉からトークはスタートした。

行定監督は、「熊本の方たちは、これから精神的にきつくなるのではと思ってます。くまもと復興 映画祭は、ゲストの皆さんにも元気になっていく熊本を実感してもらって、映画の力と相乗効果で熊本がまた元気になっていく。そんな気持ちで続けてきて、まさかまた地震が起こった。一度当たり前にある日常を一度失くした皆さんと話していると、表面的には元気でも察するものがあります。今熊本に行ったら迷惑になるんじゃないかと思われているかもしれないけれど熊本を忘れないでほしいなと思っていたので、たくさんの方に集まっていただけて嬉しいです」と語り、高良は「前回の地震と今回の地震は場所が違う。でもそれは熊本が10年間で大きな範囲で傷ついたということだと思います。地元の方の話を聞いて思うのが、熊本に行きづらいとか自粛しようというのは悲しい。行くことで応援できると、自分は考えています。元々『くまもと映画祭』が地震の年に『くまもと復興映画祭』になり、そのあとも復興という気持ちを忘れてはならないという行定さんの思いで10年『復興映画祭』として続けてきました。それと同じで、復興は時間がかかるので、これからも熊本のためにできることを考えていきたい」。

今回被害が大きかった地域である八代について、行定監督は「美しいところで、有明海は夜に海の奥に蜃気楼がたつ『しらぬひ』というものが見える。子どもの頃にそれを見て、強烈に残っている、幻想的な場所」、高良は「くまモンが100体ぐらいいるんです。八代出身の方いますか? いますよね?」と客席問いかけると、お客様から「います!」と声があがり、それぞれに八代の魅力を語った。

高良は、「地震が起こったあとに、『うつくしいひと』の続編の『うつくしいひと、サバ?』を作った。その時には地震後の傷ついた熊本が映っているから、嫌な想いする人がいるのではないかと心配になったが、自分の耳に入ってくる地元の人の声はとても喜んでくれていて。記録として残っていることがとても嬉しいと思ってくださっているようだった。自分たちがやっていることで勇気づけられたのかなと、この仕事を誇りに思えました。なかなか『がんばれ』とは言いづらいし、難しい。だから、 映画を作ることでその気持ちが表せたらと思っています」と想いを語り、続けて行定監督は、「映画とは、記憶装置の部分もあって、2015年の撮影当時にあったものが地震でなくなってしまっている。主演の姜尚中さんから『あなたはこの後の熊本を撮らなくていいのか』と言われて続編の制作を決意、映画監督としての使命として、傷ついているけれどそれでも建っている熊本城を撮っておかなければならないと思った」と振り返った。
続けて高良は、「外に出たからこそ、熊本は本当にいい場所だと思うし、みんなに自慢できる。行ったことない方にはぜひ一回行っていただいたら、好きになってもらえると思います。僕のおすすめは金曜の夜。アーケード街がお祭りのように毎週にぎわっていて、本当に元気になります」と熊本の魅力を語った。

 最後の挨拶として高良は「10年前の地震の時も、ここでチャリティ上映会をさせていただきました。熊本の人たちが少しでも元気になってもらえたら、力になれたらという気持ちがあり、今回もこのような機会をいただけて。皆様の気持ちは熊本の方たちに届けます。今日は本当にありがとうございました」、行定監督は「10年前は本震の時に熊本にいて当事者だった。今回は東京にいて離れていると、何かしたいと思っているのにから回ってしまう。そういう意味では、故郷の震災を初めて外側から見ています。皆様も何かしなければと思うことがあるかもしれないのですが、僕自身もそうなのですが、まず自分自身が元気であること、そうすればいつか恩返しができる。元気だったら旅行もできるし、そしたら熊本を選んでもらえればいい。それが熊本へのエールに繋がる。熊本のためにと、ここにきてくださった皆さん、寄付を送ってくださった皆さん、本当にありがとうございました」と語り、温かな拍手の中トークセッションは終了した。

 囲み取材では、今回の上映会に関して行定監督は、「また地震が起こるということは本当に想定外で、僕らも何をどうしていいのかと悩んだ。一度積み上げてきたものを、また積み上げなおさなければならない人たちがたくさんいる。『うつくしいひと』は、熊本の美しさがつまった 映画なので、上映することでまた始められたら。熊本の美しさを取り戻すために力を合わせていきたいという気持ちにご協力いただけて、感謝しています」と語り、高良は「10年前はいてもたってもいられず、現地にすぐ入ることができた。でも今回は、仕事もありどうしてもうすぐには動けない。10年間復興していく姿を見ていたからこそ、悔しいだろうなと思うし、どんな言葉をかけたらよいかも分からなかった。だけど、今日チャリティ上映会をさせていただけたことで、東京にいても、自分がやってきたことで熊本の力になれる機会をいただけた。お客様の顔を見て、きっとお客様も何かをしたいと思っていただいて、今日時間を作って来てくださったのかなと感じました」。

 イベント後は、劇場ロビーで高良・行定監督が募金箱を持ち、募金活動を実施。多くのお客様が賛同してくださり、劇場全体が熊本への想いで溢れた。

作品情報:「うつくしいひと」
熊本の魅力を伝える映画を作りたいと、
蒲島県知事と行定監督との会談から企画が生まれた。
物語は、学生時代を懐かしむ映画監督(姜尚中)と少女・透子(橋本愛)のお話。
怪しい人物が透子の母(石田えり)の周りに現れたという情報が入り、
透子は探偵の玉屋末吉に相談。
しかし騒がれていた人物は熊本へ訪ねていた監督であり、透子の母とも面識があった。
監督とともに彼の思い出の地を訪ね歩くことになった透子。
そこには母との淡い思い出と熊本の美しい風景があった。
ロケ地には水前寺公園、菊池遊水池や阿蘇山などが写され、
熊本城は震災前の最新の映像として記録に残った。

出演者:
橋本 愛 姜尚中/ 高良健吾 石田えり
米村亮太朗 高崎恵理 宮崎 京 黒木よしひろ 中川ひとみ
伊藤巧 油木田一清 島ゆいか 小原汰武 花童 くまモン
監督・脚本/行定 勲
脚本/堀泉 杏
プロデューサー/倉田泰輔、占部 裕、古賀俊輔
撮影/福本 淳
照明/市川徳充
録音/伊藤裕規
美術/相馬直樹
音楽/めいなCo.
編集/今井 剛
スタイリスト/馬場圭介
ヘアメイク/倉田明美、松本美奈
助監督/工藤将亮
主題歌/忘れらんねえよ
題字/松永壮
制作プロダクション/ユーツー
特別協力/熊本県、熊本朝日放送
製作/くまもと映画製作実行委員会
コピーライト:©2016 くまもと映画製作実行委員会