映画 『縁の手紙』 完成披露上映会
映画 『縁の手紙』 完成披露上映会
日時:9月4日(金)
会場:グランドシネマサンシャイン池袋
登壇:矢吹奈子、小野賢章、梅田修一朗
『君の名は。』『すずめの戸締まり』など、数々の新海誠監督作品を手掛けてきたコミックス・ウェーブ・フィルムが、日本での配給を担当する海外アニメーション映画『縁の手紙』(読み方:えんのてがみ)が、9月25日(金)より新宿バルト9ほかで全国公開される。
公開に先駆け、9月4日(金)には都内で完成披露上映会が行われ、主要キャストが初めて一堂に会した。イベントには、転校先で偶然“謎の手紙”を見つける主人公・ソリ役の矢吹奈子をはじめ、ソリの手紙探しを手助けするドンスン役の小野賢章、物語の鍵を握る少年・ホヨン役の梅田修一朗が登壇した。
完成した作品を初めて観客に届ける機会となったこの日のステージでは、3人が映画の完成を迎えた心境をそれぞれ披露。自身が演じたキャラクターについて振り返りながら、作品への思いや収録時のエピソードなどを語り、会場を盛り上げた。
また、3人のキャストがそろってイベントに登場するのは今回が初めて。完成披露という節目にふさわしく、作品の魅力を直接伝えながら、映画の公開を待つ観客へ期待を寄せるひとときとなった。
矢吹奈子は、出演が決まった当時を振り返り、「お話をいただいた時は、すごくうれしかったです」と笑顔を見せた。
一方で、矢吹は、「自分とは違うキャラクターが動いているのに、そこから自分の声が聞こえてくるので、最初は少し不思議な感じがしました」と明かし、ソリの声としてきちんと成立しているのか、不安を抱えながら映像を見ていたことを語った。
しかし、物語を追ううちに徐々にキャラクターと自身の声が自然につながっていったそうで、「見ているうちに、少しずつソリと自分の声が重なっていくような感覚になりました」と回想。最後にエンドロールで自身の名前を確認した瞬間には、初めての声優としての挑戦が形になったことを実感し、「自分の名前が流れた時は、本当に感動しました」と安堵と喜びをにじませた。
本作で初めて声優を務めた矢吹は、オファーを受けた当時を振り返り、
「緊張はしましたが、以前から声優のお仕事に挑戦してみたいと思っていました。声を褒めてくださるファンの方も多かったので、今回、韓国のアニメ映画でソリを演じられることが本当にうれしかったです」と充実感をにじませた。
一方、小野は、手紙をきっかけに登場人物たちの間に新たなつながりが生まれ、その縁が周囲にも少しずつ影響を与えていく様子が丁寧に描かれていると評価。小野は、「観ていると自然と心が落ち着きますし、優しい気持ちにさせてくれる作品だと思います」と感じたことを明かした。
ホヨン役を務めた梅田修一朗は、本作の魅力として、物語を彩る音楽や映像表現にも注目。作品全体を包み込む柔らかな雰囲気に触れながら、主人公・ソリの内面が映像によって印象的に表現されていると語った。
特に、ソリの感情の変化を描く場面では、現実とは少し異なるファンタジックな演出が取り入れられているものの、それが物語から浮くことなく、自然に作品へ溶け込んでいるという。「音楽と映像の一つ一つに優しさが感じられますし、ソリの心の動きも場面によって幻想的に描かれています。それがすごく自然な表現になっているので、観ている側も無理なく物語に入り込めるのかなと思います」とコメント。
さらに、こうした繊細な演出が作品全体の温かな印象にもつながっているとし、「観終わったあとに温かい気持ちになれる作品です」と魅力をアピールした。
梅田が「頭の中に緑というか、お花というかそういうさわやかなイメージが残るような作品ですよね」と呼びかけると、小野も「なんかいい匂いがしそうな作品! お花の香りがしてきそうだよね」とうなずいていた。
小野は、「吹き替えなので、オリジナルの役者さんの声を聞きながら収録をするのですが、韓国の俳優さんっていい声の方が多いですよね。ものすごくダンディーで渋くて今回のドンスンに関しても『この声はちょっと出ないかもしれない』と思いながら練習をして」とアフレコの裏話を披露した。「でも、それをそのまま日本語にするだけではなく、僕がやる意味をいろいろと考えて、日本のアニメの“学生感”をどこかにニュアンスで出したいと思いながらやっていました」と胸を張った。
梅田は、「僕の声優人生で、初めて謎の少年役を任せていただいたかもしれません」と振り返り「僕はまっすぐ立ち向かっていく系の役が多いのですが、今回はどちらかというと導く側。自分に任せていただいたからにはと思うところもあったので、ぜひ聞いていただければ」とアピールした。
アフレコ前に小野、梅田の収録を見学したという矢吹、「メイキング映像でしか見たことのない場所で、『本当にこうやって録っているんだ!』とすごく新鮮でした」と話すと、小野、梅田も「『(ブースの)ガラス越しに本物がいる!』と思いました」と声をそろえ、会場が笑いに包まれる一幕も。そんななか、矢吹は、「息遣いのセリフはドラマの台本には書かれていないんです。(アニメの台本には)『あ』『うん』と書かれているので、どうやって表現したらいいだろうと思って」とアニメならではの表現に苦戦したそうで「小野と梅田は意外と(マイク前で)動かれたりしていて、『そういう風に録ってもいいんだ』と勉強になりました。すごい技術でした」と明かした。
矢吹の演技について梅田は、「お世辞ではなく本当にぴったりでした。人は話す相手やそのかかわり方によってしゃべり方と雰囲気が変わりますが、それが一瞬で伝わるくらいすごく自然ですてきなお芝居でした」と絶賛した。小野も「すごくまっすぐ入ってくるんです。作品を観れば伝わるんじゃないかと思います」と賛辞を送っていた。
一方の矢吹は、「最初はどうやって演じたらいいんだろうと思って」と打ち明け「ふつうのしゃべり方ではなくて、アニメっぽい、キラキラした声でしゃべらないといけないのかなと考えて模索していたのですが、音響監督の方から『思ったまま出した声がソリに一番近いと思う』と言っていただいたので、自然体で演じられるようになりました。それがソリの声になっていると思います」とはにかんでいた。
■日本語吹替版の主題歌では「空気感を壊さないようにがんばりました!」
今作の主題歌「Your Letter」の歌唱と訳詞を矢吹が担当したことも話題に。
レコーディングに臨むのはHKT48を卒業して以降初めて。韓国での収録はおよそ5時間にもおよんだという。矢吹は「韓国ではソリの声を務められていたスヒョンさんが歌われている楽曲。日本のソリとして歌も歌えるんだと思ったらすごくうれしかったです」と主題歌のオファーについて回顧。さらに訳詞について聞かれた矢吹は「韓国での活動経験もあるので、その経験も生かしてがんばって日本語にしました」と胸を張った。
矢吹は「韓国語を日本語にすると、どうしても言葉が長くなってしまって、曲のメロディーにうまく収まらなかったんです」と制作時の苦労を明かした。
すると小野がすかさず「それならラップにするしかないですね?」と冗談を飛ばし、矢吹も「『縁の手紙』の最後だけ急にラップになるのは違いますよね!」と笑顔で応戦。会場からも笑いが起こり、和やかな雰囲気に包まれた。
それでも矢吹は、単に韓国語を日本語へ置き換えるのではなく、作品全体の余韻が伝わる歌詞にすることを意識したという。「この曲を聴いただけで、映画を一本観たような気持ちになれるような内容だったので、その雰囲気を大切にしました」と説明。原曲が持つ物語性を損なわないよう、印象的な部分を残しながら、日本の観客にも意味が届きやすい言葉を選んで訳詞に仕上げたことを語った。こだわりの詰まった制作過程に、客席からは大きな拍手が送られた。
トークの後半では、韓国での活動経験を持つ矢吹が、小野と梅田に韓国語を教える一幕も。何を題材にするか矢吹が考えていると、小野から「僕にラップを教えてください」とまさかのリクエストが飛び出し、再び会場を笑わせた。
さらに、ラーメン好きという共通点を持つ矢吹と小野のトークでは、韓国を訪れた際にも使える実践的なフレーズをレクチャー。「おすすめのおいしいお店はありますか」という韓国語を教わった小野は、「これで現地の方とも交流できそうです」と満足げな表情を浮かべていた。
■一通のファンレターから送り主の人柄を想像?
作品の重要なモチーフである「手紙」にちなみ、3人それぞれの手紙にまつわるエピソードへ話題が移ると、矢吹は自身に届いたファンレターについて言及。「いただいたファンレターはファイリングして保管しています」と明かし、「直筆で書かれた文章は、SNSなどの文字とは違って感情がより伝わってくるので、すごくうれしいんです。いつも私の力になっています」と、ファンから寄せられる思いへの感謝を語った。
一方の小野は、「これ以上の話は出ないですよ」と照れながらも、ファンレターから元気をもらっていることを告白。なかでも興味深いのが、手書きの文字から送り主の人物像を想像することだという。「ファンレターの文字を見て、『どんな感じの人なのかな』と予想するのが好きなんです。丁寧でかちっとした文字を書かれる方を見ると、『丁寧な暮らしをされているのかな』とか、いろいろ考えながら楽しんでいます」と独自の楽しみ方を明かした。
梅田は、「封筒も便箋も本当にいろいろな種類があるじゃないですか」と切り出し、いつも同じデザインを選ぶ人がいる一方で、開くと仕掛けが飛び出すような手紙を送ってくれる人もいると紹介。そうしたさまざまな手紙に触れる中で、「シーリングスタンプ」という存在を知ったといい、「手間がかかるものって、それだけ思いを込める時間でもあると思うので、興味を持ちました」と、魅力を語った。
イベントの最後には、矢吹が観客へ向けて作品への思いをコメント。SNSをはじめ、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になった今だからこそ、手紙を通して生まれる人と人とのつながりを描いた本作の魅力を伝えた。
「SNSが発達している時代ですが、手紙を通じた縁のお話ということで、時間がゆったり進むような、人と人のつながりができる心温まる作品になっています。ゆったりした気持ちで楽しんでいただけたらと思います」
時代の変化の中でも色あせない「手紙」という存在を軸に、人とのつながりや思いが受け継がれていく物語。矢吹は作品の余韻を味わうように、観客へ温かなメッセージを届けた。
監督:キム・ヨンファン
原作:チョ・ヒョナ『縁の手紙』(LINEマンガ)
声の出演: ソリ/矢吹奈子 ドンスン/小野賢章
制作:STUDIO LICO, STUDIO N
配給:コミックス・ウェーブ・フィルム
配給協力:KeyHolder Pictures 協力:CWF CINEMAS
2025 | 韓国 | 97分 | ビスタ | カラー | 5.1ch
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