映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』トークイベント付き試写会。
この度、8月14日(金)に映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』トークイベント付き試写会。本作の監督を務めた近藤亮太監督とフィルムエスト主宰の西井紘輝監督が登壇しました。
近藤の長編映画デビュー作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』以来の縁を持ち、親交が深い二人。1980~90年代のテレビ番組やCMの雰囲気を極限まで緻密に再現した“アナクロ系”動画を制作、YouTubeチャンネル「フィルムエストTV」を主宰している西井は、近藤との出会いがきっかけで、今春、『沢田美由紀の愛と生』で映画監督デビューを飾ったという。
冒頭、近藤は「いよいよお客さんに観てもらうことになるので、楽しみでもありますが、正直ちょっと不安です」と公開を目前にした心境を吐露。

近藤にとって、今作はこれまでに手掛けてきたホラー作品とはジャンルが異なるということもあり、「観客のリアクションが想像できない」と新たな挑戦になったようだ。
本作の監督を務めることになった経緯について、プロデューサーと別企画について話していたことがきっかけだったと振り返る。その企画が成立しなかった一方で、同じタイミングで完成に近づいていた本作の脚本を紹介され、「主演は重岡大毅さんと決まっている状態で、こういう形の作品でサスペンスをやってみないですか?」と声を掛けられたという。撮影は今年1月にスタートし、2月頭にはクランクアップ。そして5月には完成させたという異例のスピード感に、西井も驚きを見せた。生成AIという現在進行形で変化を続ける、時代の“今”を切り取った題材を扱うからこそ、「なるべく早く公開したほうがいい」という判断があったといい、「無理をしたというよりは、なるべく公開を早くしたほうがいいだろうという判断があった」と近藤は説明。スピード感を持って届けることを制作陣が意識していたという。

本編を観た西井が印象深いと挙げたのは、終盤の廃工場で繰り広げられるアクションシーン。「近藤さんの作品というと、僕の勝手なイメージなんですけど、山や廃墟が出てくるというのが欠かせない要素なのかなと思っていたんです。でも今回はどっちもちゃんとは出てこなかった」と語り、そのうえで、「終盤の廃工場はすごくかっこよかった。ライティングとか、アクションシーンも見応えがあって面白かったです。ある意味、近藤さんの新境地みたいな気がして、純粋に楽しませていただきました」と絶賛した。近藤監督も「アクションのコーディネーターがつく現場は今回が初めてでした」と振り返り、これまでとは異なるアプローチだったことを明かした。
本作の見どころのひとつが、近藤の映画愛が随所ににじむ映像表現だ。なかでも廃工場のシーンについては、映画ファンなら黒沢清監督を想起するような空気感が漂っている。近藤によれば、実は廃工場の外観と内部は別々のロケーション。「たまたま見に行った場所の外側がめちゃくちゃいい場所だったので、こことうまく組み合わせよう」と考えたという。さらに「一緒に組んでいるスタッフの多くは映画美学校出身で、黒沢清ファンなんです」と明かし、ロケハン中から「めっちゃ黒沢清っぽい」と盛り上がっていたそう。「撮っている最中も、ちょっと油断すると全部“黒沢清”になっていくんですよね(笑)。『これは黒沢清すぎるか』と言って、ちょっと変えたりもしました」と話すと、場内に笑いが巻き起こった。
また、劇中に登場するあるシーンでは、デヴィッド・リンチ監督を意識したといい、『ツイン・ピークス』に登場する“ブラック・ロッジ”の赤いカーテンで仕切られた空間や『インランド・エンパイア』での空間の切り取り方なども参考にしたという。
近藤の映画への造詣の深さはキャストへの役作りのアプローチに対しても表れている。今回はキャストそれぞれに3本の映画を提示し、「役作りの参考にしてください」と伝えたという。この方法について近藤は、かつて三宅唱監督が俳優にDVDを渡していたことから着想を得たといい、「俳優の方と事前に会えるタイミングって、そんなに多くないんですよね。だから、その会えるタイミングでどれだけ自分のことを知ってもらうか、相手のことを知れるか。お互いにコミュニケーションを取らないといけない。でも30分とか話すだけでは限界があるので、『僕、こういうの好きなんです。よかったらこれ観てください』と映画を伝えることで、自分自身のことだけでなく、作品に対してどんなイメージを持っているのかも説明できると思っていて」とこだわりを教えてくれた。一方、西井は、スタッフやキャストと話し合う時、具体的なタイトルは敢えて提示しないという。「みんなの中にある古いイメージを出してもらうと、絶妙な面白さが出てくる。だから逆に言わないですね。新しいなと思ったときは『もっと古くしてください』と言う」と語ると、近藤は興味深そうに耳を傾けた。また、西井が「近藤さんは好きなものがめちゃめちゃはっきりされている方なので、それが画面からにじみ出てくる。この愛というか、それがやっぱり近藤作品の魅力だなと感じる」と語ると、近藤は「好きなもので作り尽くしてますね」と笑顔を見せた。近藤は「西井さんは、再現度の高さのクオリティ、解像度が1段階違っている。時代ごとに、その時はこういう理屈で映像がこういうふうに乱れていた、というところまで細かく設定されている。それがすごい」と称賛を贈ると西井は自身の作品の映像表現について細かな部分まで言語化してくれたことに触れ、「そういう細かいディテールまでは、あまり言われたことがなかった」と感謝を述べた。
本作の大きなテーマである生成AIについては、実際の映画制作におけるAIの活用についてもトークが展開された。近藤は「めちゃめちゃ使ってます」と明かし、西井も「小道具制作や『友近サスペンス劇場II 寝台特急「はつゆき」殺人事件』では朝日が昇るシーンで活用しました。働き方改革にもなりますよね」と、そのメリットを語った。一方で、二人に共通していたのは、AIに創作の主導権を委ねないという姿勢。近藤は「ダサくなければいい。でも、主導権は握られないようにしたい。決定権はこっちにあります、という感じ」とコメント。AIを使うことそのものではなく、クリエイター自身が責任を持って活用することの重要性を語った。
イベント終盤には事前に募集していた質問に近藤らが回答。
作品づくりのために実際に完全犯罪を生成する方法を生成AIに聞きましたか?との問いには「どういう答え方をするのか、実際に打ち込んで込みましたが、基本的には答えてくれませんでした。大して面白いことは言ってくれなかったですね」と近藤。重岡との思い出については、「あるシーンの撮影時、重岡さんに映画『セブン』のブラッド・ピットみたいにやってくださいと伝えたのですが、観ていないと言われたので爆速でネタバレをしつつ、こういう風に演じてみて欲しいと説明しました」と振り返った。
また、恐怖の原体験は?という質問には、「小学生の時に読んだ江戸川乱歩の『サーカスの怪人』か『学校の怪談』シリーズを観る前に友だちのお兄ちゃんに教えてもらった内容を自分の脳内で作り出した映像な気がします。映画を撮りたいと思うきっかけになったのは、中学一年生ぐらいに映画館で観た『呪怨 劇場版』。これは清水崇監督にも直接伝えています」と答えた。西井は「映画『リング』の呪いのビデオのシーン。観てしまったというショック。死ぬと思いました」と回答。
ホラー以外のジャンルに挑戦するなら?という問いに近藤は、「どんなジャンルでもやってみたいと思っています。今回の映画でアクションシーンに挑戦したので、『ボーン・アイデンティティー』みたいな超肉弾戦の作品もやってみたいですね」と意気込んだ。一方の西井は「そろそろ令和に移行したい。いつもは昭和テイストの映画やコンテンツ動画を作っているので4:3の画角ばかりなんです。だから、4Kとか広い画角で撮ってみたい」と会場の笑いを誘った。

尽きることのない二人のトークは、本作に込められた近藤の映画愛を感じさせるとともに、スクリーンの中に散りばめられた数々の“映画的仕掛け”への期待も高めるものとなった。映画監督・近藤亮太の新たな挑戦がいよいよスクリーンに放たれる。映画好きなら思わず唸る仕掛けから、予想のつかない展開まで、ぜひ劇場で確かめてほしい――。
© 2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3『5 秒で完全犯罪を生成する方法』
出演:重岡大毅、原菜乃華、田中みな実、伊藤歩、黒田大輔、森岡龍、九十九黄助、石丸幹二
原案・脚本・プロデュース:岡田道尚
監督:近藤亮太
製作幹事:ギャガ、ストームレーベルズ
制作プロダクション:アークエンタテインメント
製作:「5秒で完全犯罪を生成する方法」製作委員会
日本公開:2026年9月11日(金)より全国公開!
配給:ギャガ
© 2026 Gaga Corporation/Storm Labels Inc./Studio i3





