『四月の余白』公開記念舞台挨拶
完成披露舞台挨拶
日程:6月27日(土)
場所:新宿ピカデリー
登壇:一ノ瀬ワタル、夏帆、上阪隼人、山崎七海、吉田恵輔監督
ミッシングの吉田恵輔監督が、自身の実体験や身近で起きた出来事をもとに描いたヒューマンドラマ。地方都市にある全寮制の更生施設を舞台に、人の痛みや社会の常識を理解することが難しい子どもたちと向き合い、「人は変わることができる」という信念を胸に奮闘する元受刑者の男性の姿を描いている。
映画初主演を務めた一ノ瀬は、「作品を無事に届けられて本当にうれしいです。足元の悪い中、劇場へ足を運んでくださった皆さんには感謝しています」と笑顔でコメント。一方で、「観る人によってさまざまな受け止め方ができる作品だからこそ、期待と同時に不安な気持ちもあります」と、率直な胸の内を語った。
一ノ瀬ワタル吉田監督は、「脚本を書いている段階では、『こんな地味な作品を誰が観てくれるんだろう』と感じていた」と振り返り、会場の笑いを誘った。一方で、「素晴らしいキャストやスタッフに恵まれ、完成した作品を観たときには、自分で言うのも照れくさいですが、とても良い映画になったと感じています」と語り、作品の仕上がりに確かな手応えをにじませた。
吉田監督は、主演に一ノ瀬を起用した理由について「普段は穏やかで親しみやすい人柄ですが、これまで数多くの悪役を演じてきました。何度も人を殺し、何度も殺される役を演じてきたと言ってもいいくらい(笑)。そんな強い悪役の印象がある一方で、最近では誠実で温かい人物のイメージも定着してきていて、この役にはまさに適任だと感じました」と、その理由を明かした。
吉田恵輔監督これを受けた一ノ瀬は、「そんなふうに皆さんの前で褒めていただけるなんて、ありがとうございます」と笑顔で感謝を伝え、会場を和ませた。
夏帆は、特に印象に残っているシーンとして、海斗の母親役を演じた占部房子との共演シーンを挙げ「占部さんは感覚を大切にしながら演じる方なので、テイクごとに表現が少しずつ違っていました。そのどれもが胸に迫るものばかりで、苦しくなるほど心を揺さぶられ、『監督はいつOKを出すんだろう』と思いながら見ていました」と当時を振り返る。
さらに、「最後のテイクでは、それまでを上回るお芝居が飛び出して、その瞬間に監督が『OK』を出したんです。占部さんの表現力はもちろんですが、そのベストな瞬間を見逃さずに判断する監督の感性にも感動しました」と語り、思いを明かした。
夏帆吉田輔監督は、夏帆と占部房子の演技について、「二人とも本能や感覚を大切にしながら芝居をするタイプ。テイクごとに表現の温度や空気感が変わるので、こちらの想像を超えるものが生まれることがある。何度でも見続けたくなるような魅力がありました」と、その表現力を高く評価した。
一方、上阪は、本作の撮影が初めて、「途中で双子の弟に会いたくなることもありました。でも、吉田組の皆さんが本当に温かく迎えてくださって、家族のように接してくれたので、とても居心地が良かったです」と撮影現場を振り返った。さらに、「毎日が本当に楽しくて、忘れられない時間になりました」と笑顔で語り、充実した撮影の日々を懐かしんだ。
上阪隼人吉田監督は、上阪について、「現場を盛り上げてくれる存在でした」と振り返った。「子どもたちが打ち解けるまで時間がかかる中、誰にでも気さくに話しかけてくれて、自然と現場の雰囲気を和ませてくれました」と、その人柄に感謝の言葉を贈った。
さらに、「撮影が終わった後なのに、ふらっと現場に顔を出して遊びに来ることもあって」と、上阪の微笑ましいエピソードも披露。この思わぬ暴露に、上阪は照れくさそうな笑顔を浮かべ、会場は和やかな空気に包まれた。
山崎は、一ノ瀬との初共演を振り返り、「最初は少し怖い方なのかなと勝手に想像していたのですが、実際はとても穏やかで優しく接してくださって、安心してお芝居に集中することができました」と語った。
また、物語の終盤を飾るラストシーンについては、「何度もテイクを重ねるうちに、一ノ瀬さんの存在がどんどん小さく見えてきたんです」と笑顔でエピソードを披露。
山崎七海これに対し、一ノ瀬は「あのシーンは、西という人物がそれまで抑えてきた感情を唯一さらけ出す場面でした。演じている最中は本当に苦しくて、涙が込み上げてくるほど感情が揺さぶられました」と当時を振り返り、役に込めた思いを明かした。
イベント後半では、本作のテーマにちなみ、「何があっても見捨てたくない存在」をテーマにキャスト陣がトークを展開した。
一ノ瀬は、自身が飼っている8羽のウサギを挙げ、「今はウサギたちのために頑張っていると言っても過言ではありません。撮影中は、みらいの里で暮らす子どもたちの姿と重ね合わせて考えていた部分もありました」と笑顔で明かし、深い愛情をのぞかせた。
夏帆は、愛猫の存在に触れながら、「最近、思い出の映画館が閉館するというニュースを見て、やっぱり映画は映画館で観るからこそ特別なんだと改めて感じました。これからも大切に守っていきたい場所です」と、映画館への思いを語った。
一方、上阪は「家族です」と即答。「今日も母が来てくれているのですが、本当に感謝しかありません」と思いを述べ、会場には温かい拍手が広がった
山崎は「マネージャー」と答え、「ここまで来られたのは、ずっと一緒に支えてくれたからこそです。これからも二人三脚で歩んでいきたい」と感謝と決意を込めて語った。
また、吉田恵輔監督は「子どもの頃に映画を夢中で観ていた自分自身の気持ち」と述べ、「その頃抱いていた憧れを裏切るような映画や作り手にはなりたくない。観客に胸を張れる作品を作り続けていきたい」と、映画作りへの強い信念を語った。
最後に一ノ瀬は、「この作品が、何かを変えたいと思っている人にとって、その一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです」とメッセージを送った。
夏帆も、「鑑賞後に誰かと感想を語り合いたくなる作品だと思います。このテーマについて、みんなで考え続けていけたら」と観客に呼びかけた。
さらに吉田恵輔監督は、自身の次回作について触れ、「私の監督作『mentor』が秋に公開予定ですが、『四月の余白』と同様に“メンター”をテーマにした兄弟的な作品になっています。『mentor』を楽しみにしている方にも、まずは『四月の余白』を先にご覧いただくことで、より深く楽しんでいただけると思います」と述べ、舞台挨拶を締めくくった。

監督・脚本:吉田恵輔 音楽:世武裕子
出演:一ノ瀬ワタル/夏帆 上阪隼人 篠原 篤 占部房子/山﨑七海 和田 庵
髙田万作 松木大輔 小沢まゆ パトリック・ハーラン
配給:アークエンタテインメント ©2026 N.R.E.
※吉田恵輔監督の吉は「つちよし」が正式表記になります














