映画

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』特別ティーチイン試写会

第46回⽇本漫画家協会賞優秀賞を受賞した武⽥⼀義による漫画をアニメーション映画化した、戦後 80 年記念作品『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』(12⽉5⽇公開)。

11⽉16⽇(日)には⽔⼾⼆連隊の跡地である茨城⼤学⽔⼾キャンパスにて特別ティーチイン試写会が実施され、声優を務めた板垣李光⼈と原作&共同脚本の武⽥⼀義さんが参加した。

本イベントには、茨城⼤学の学⽣のほか、近隣の中学校や⾼校の学⽣などを含めて約 400 ⼈が来場し、上映の前には茨城⼤学で⽔⼾歩兵第⼆連隊や、⼤学周辺の戦跡について研究している、茨城歴史探求チームの学⽣ 3 グループ6⼈が登壇し、研究発表を⾏った。

発表終了後、上映を終えて⾏われたティーチインには、⽥丸均役の声を務めた板垣李光⼈と武⽥⼀義さんが登壇。板垣・武⽥さんが登場すると、約400 ⼈の観客は盛⼤な拍⼿の⾳で迎えた。

12⽉5⽇(金)の劇場公開に先んじて、縁のある茨城⼤学の学⽣ら若い世代に作品が届いたことに板垣は「この⼤学はまさしく本作と縁の深い場所ということで、そんな場所で上映後にお話しさせていただけることを嬉しく思います。」と笑顔を浮かべた。MC から「若い世代の皆さんにご覧いただき、どんなお気持ちですか。」と聞かれると、本作を通してペリリュー島の戦いについて知ったという板垣は、「我々の世代は戦争経験者からお話を伺う機会も少なくなって、学校によっても戦争教育にばらつきがあると感じます。戦争が教科書の中のもの、物語などのフィクションとして捉えている部分がどうしてもあります。」と率直な感想を述べながら「でも知ることから広がるものは⼤きいと思います。今⽇映画を観て初めてペリリュー島の出来事を知った⽅もいると思いますが、そこからどんどん⾃分の中の考え⽅を深めていただけたら嬉しいです。」と⽬を向ける事の⼤切さを説いていた。

武⽥さんによる原作を読んだ印象について板垣は、画と内容のギャップを魅⼒に挙げた。「可愛らしい絵柄と内容の凄惨さと⽣々しい戦争の歴史。表情もデフォルメされていて、だからこそこちら側に想像の余地が⽣まれる。⼼情や置かれている状況で⽥丸均が何を考えているのか、想像ができる。読みやすいけれど現実を突きつけられる。そのギャップが魅⼒的だと思いました。」と語った。

アフレコ収録に⼊る前、板垣は実際にペリリュー島を訪問している。「劇中でも『楽園のような場所』というセリフがありますが、実際に海は⻘くて緑も綺麗です。でも⼀歩⾜を踏み⼊れると兵⼠の⽅がいた洞窟があったり、戦⾞も当時のまま錆びた状態で⼭道に現れたり。」と情景を回想しながら「映像芝居と違ってアフレコ収録ではマイクとモニターに向かってイマジネーションを働かせないといけないけれど、島の⾵⼟、気温、⾵、全てを感じる事でイメージを補う事が出来ました。実際に戦闘があった島に⾏く事で、⽥丸均を演じる事の重さを感じました。」と貴重な経験と述べていた。

その後は上映前に発表を⾏った学⽣とのティーチインが⾏われた。

今回の映画を通して、これまでに抱いていた歴史に対する⾒⽅や認識などに変化などはあったかと問われた板垣は、「変わったというかアップデートされたような感覚です。」と述べた。「この作品にフィクションはあれど、ペリリュー島で悲惨な事実があった事は現実で、どうしたらいろいろな世代に届くんだろうと戦争に対して改めて考えさせられました。だからこの作品に関わること、全てが勉強でした。」と慎重に⼤切に⾔葉を選びながら語った。

更には「戦争をテーマにした本作に携わる上でどのような気持ちで挑んだか︖」と聞かれると、板垣は「現地(ペリリュー島)に⾏って亡くなった兵⼠や戦った兵⼠に対して想いを馳せるところから始めました。アフレコ収録中もその思いみたいなものは絶対に絶やさずに、作品と向き合っていたいと思いました。そして戦争経験者が後世に残そうとしてきたものをいかに正しく伝聞していくか。そこも⼤事にしながら今もプロモーション活動を⾏っています。」と回答。

これに板垣のアフレコ収録を⾒学したという武⽥さんは「変に作り込まず素の⾃分で、⾃分がその場にいたら︖という素直な演技をしてくれた。それが本作の説得⼒になったと思います。」と賞嘆していた。

最後に板垣は「学⽣の発表を拝⾒して、また新たに知ることがありました。世代関係なく⼈としてお互いが⼈として知り合っていくことの⼤切さを改めて感じることができました。そして今から家に帰って“ただいま”と⾔える⽇々を⼤切に思う、この映画が幸せに⽣きていることが出来ている今を⼤切に思う⼀つのきっかけになってくれたら嬉しいです。今⽇は貴重で有意義な時間をありがとうございました。」と全体に呼び掛けながら感謝していた。
最後には会場の全員をバックに写真を撮影し、⼤きな拍⼿に⼆⼈は⾒送られ、⼤盛況のもとにイベントは終了した。

【あらすじ】
仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記す功績係――彼が本当に見たものとは?
太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸はいた。漫画家志望の田丸は、その才を買われ、特別な任務を命じられる。それは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という仕事だった。
9月15日、米軍におけるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は1万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状況の中で耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。日本軍は次第に追い詰められ、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま持久戦を強いられてゆく――。
田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何か分からないまま…。そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵・吉敷だった。2人は共に励ましあい、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。
一人一人それぞれに生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する者たちの元へ帰りたかった。最後まで生き残った日本兵はわずか34人。過酷で残酷な世界でなんとか懸命に生きようとした田丸と吉敷。若き兵士2人が狂気の戦場で見たものとは――。

作品情報
キャスト:板垣李光人 / 中村倫也
天野宏郷 藤井雄太 茂木たかまさ 三上瑛士

原作:武田一義「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」(白泉社・ヤングアニマルコミックス)
監督:久慈悟郎 脚本:西村ジュンジ・武田一義
キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治 プロップデザイン:岩畑剛一 鈴木典孝 メカニックデザイン:神菊薫
美術設定:中島美佳 猿谷勝己(スタジオMAO) コンセプトボード:益城貴昌・竹田悠介(Bamboo)
美術監督:岩谷邦子 加藤浩・坂上裕文(ととにゃん)
色彩設計:渡辺亜紀・長谷川一美(スタジオ・トイズ) 撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)
3DCG監督:中野哲也(GEMBA) 髙橋慎一郎(STUDIOカチューシャ) 編集:小島俊彦(岡安プロモーション) 考証:鈴木貴昭
音響監督:横田知加子 音響制作:HALF H•P STUDIO
音楽:川井憲次
制作:シンエイ動画 × 冨嶽 配給:東映

公式HP:https://peleliu-movie.jp/
公式SNSアカウント
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