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江戸川乱歩没後60周年作品・主演に松田凌、平埜生成、見津賢☆3作品連続公開決定「RAMPO WORLD」

江戸川乱歩の没後60年を記念し、「RAMPO WORLD」と題した3つの映画が東京・シネマート新宿、池袋シネマ・ロサほかで順次公開。10月3日に「3つのグノシエンヌ」、17日に「蟲」、31日に「白昼夢」が封切られる。いずれも乱歩の作品の設定を現代に変え、オリジナルの解釈を加えて製作された。

「RAMPO WORLD」3作品のキャスト。上段左から平埜生成、松田凌、見津賢。中段左から佐藤里菜、木口健太、安野澄、岩男海史、上脇結友、宮田佳典。下段左から北原帆夏、山田キヌヲ、前迫莉亜

1925年に発表された短編小説「一人二役」を原案とする「3つのグノシエンヌ」は、ある男が妻の気を引くために別人になりすます物語だ。「追想ジャーニー リエナクト」の松田凌が主演を務め、共演に「雨ニモマケズ」の安野澄のほか岩男海史、前迫莉亜が名を連ねた。監督・脚本を担当したのは「うみべの女の子」のウエダアツシ。松田は「撮り終えた時、もっと撮ってもらいたいとより映画が好きになったのを鮮明に憶えています」と振り返った。

1929年発表の中編小説をもとに「餓鬼が笑う」の平波亘が監督・脚本を担った「蟲」では、対人恐怖症の青年が初恋の相手に再会することから始まる愛憎劇が展開される。連続テレビ小説「虎に翼」の平埜生成が映画初主演を果たし、佐藤里菜、木口健太、北原帆夏、山田キヌヲが脇を固めた。平埜は「のぼせるほどアツい撮影でした。必死でした。夢中でした。がむしゃらでした。キャスト・スタッフの烈しいエネルギーが凝縮されています」と興奮を伝える。

そして「白昼夢」は、妻を殺した男が「遺体を蝋人形として飾っている」と告白する「白昼夢」と、湖畔の旅館の大浴場に“のぞき装置”を設置した主人公の物語「湖畔亭事件」に脚色を施し、1つの作品としてよみがえらせたもの。「ふったらどしゃぶり」の見津賢に加え、上脇結友、宮田佳典が出演し、「心平、」の山城達郎が監督を務めた。見津は「まるで非現実なることが起こる夢の中にいる感覚を味わっていただけるのではないでしょうか」と本作をアピールしている。なおウエダ、平波、山城のコメントは後述の通り。

コメント

松田凌(『3つのグノシエンヌ』主演)

違う誰かになりたい
誰しも一度は考えたことがあるように
江戸川乱歩の生み出した少し窪んだ世界はどこか知っている場所でもありました
近からず遠からず、すぐ隣にあることのようで食べ物は喉を通らなくて
まごついている自分を監督に導いていただいて
撮影スタッフの皆さんと共演者の皆さんと
この映像をつくりました
自分もその一人として参加させていただいて
撮り終えた時、もっと撮ってもらいたいと
より映画が好きになったのを鮮明に憶えています
屈折しえぐみのある時間が皆様の目と心にはどう映るんだろう
江戸川乱歩の世界をより知っていただけるきっかけの一つになれたら幸いです
頭を開いて
ゆっくりと

ウエダアツシ (『3つのグノシエンヌ』監督・脚本・編集)

学生の頃に『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(石井輝男監督)をはじめ、『D 坂の殺人事件』(実相寺昭雄監督)や『双生児-GEMINI-』(塚本晋也監督))など、乱歩原作の傑作映画には大きな影響を受けましたので、本企画に参加できたことは光栄な限りです。今回原案とした『一人二役』はちょうど100年前に書かれた短編小説です。この100年で社会は大きく変わりましたが、乱歩が描いた“人間の本質”は変わらない…というか、むしろその狂気性や欲望の類いは多様化とともに個人化が進む現代において、新たなリアリティを生み出しているようにさえ思えます。そんな乱歩の世界観を松田凌、安野澄、岩男海史、前迫莉亜という4名の素晴らしい個性をもつ俳優たちが見事に体現してくれました。とてもシリアスで、とても滑稽で、とてもイビツな“愛の奇談”をぜひ映画館でお愉しみください。

平埜生成(『蟲』主演)

『蟲』という映画をつくりました。
このお話をいただいた時、小学校時代に図書館で初めて借りた書籍が江戸川乱歩だったことを、鮮明に思い出しました。
脚本化するにあたって、ひさびさに読んだ乱歩の世界は、そこに生きる人たちの倒錯的な愛や歪んだ欲望が、現代社会に棲む私たちの生態がそのまま映し出されているようでした。そうです。ようやく時代が乱歩に追いつきつつあるのです。
この映画は、理不尽な世界に翻弄されながら、叶わぬ愛を届けようとする愚かものたちの想いを、本当に素敵な役者とスタッフで可視化することを目指しました。結果、自分の想像を遥かに超えたとても可愛くてポップな映画になったと思います。ぜひ、劇場でお楽しみください!

見津賢(『白昼夢』主演)

本作で主演を務めました見津賢です。
はじめて脚本を読ませていただいた時に、面白い題材で、観る人はどんな印象を抱くんだろうかと予想ができない危うさみたいなものを感じました。そこから主人公や作品について山城監督達と話し合いながらブラッシュアップをしていきました。実際に撮影を終えてもはっきりとした答えは出ないままでした。でもそれが乱歩の世界観に近いのかと気付かされたのです。乱歩二作品の題材を織り交ぜ現代に落とし込んだこの『白昼夢』で起こる化学反応のような何かを、観た皆さんがどう感じるのか、まるで非現実なることが起こる夢の中にいる感覚を味わっていただけるのではないでしょうか。

山城達郎 (『白昼夢』監督) コメント

「あれは白昼の悪夢だったのか、それとも現実の出来事だったのか。」
江戸川乱歩の『白昼夢』は、この印象的な一文から始まります。わずか数ページの“掌握小説”でありながら、乱歩独特の妖しさと不穏さが凝縮された作品です。今回、映画化するにあたり、『白昼夢』の世界観に、長編小説『湖畔亭事件』の“覗くことに執着する男”という人物を組み合わせ、主人公の内面に深く踏み込みながら、現代を舞台に再構築しました。
乱歩が描いた人間の“性(さが)”は、100 年経った今もなお強烈で、鋭く私たちの心に刺さります。見津賢さん、上脇結友さん、宮田佳典さんという魅力的な俳優陣と共に、“覗く男”と“覗かれる夫婦”という特殊な関係性の人物たちを丁寧に掘り下げていきました。
その先にある真実は果たして――「白昼の悪夢か、現実か」 ぜひ劇場でお確かめください。

■公開情報

『3つのグノシエンヌ』
10月3日(金) シネマート新宿、池袋シネマ・ロサほかロードショー
出演:松田凌、安野澄、岩男海史、前迫莉亜
監督・脚本・編集:ウエダアツシ
原案:江戸川乱歩『一人二役』
©2025「3つのグノシエンヌ」パートナーズ
公式サイト:gnossiennes-movie.com

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