今年で27回目を迎えた、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)2025」が開催されました。本年の映画祭では、「creative active generative」というテーマのもと、世界中のフィルムメイカーたちの創造力(creative)が集い、作品と観客、クリエイターと企業の出会いを通じて、新たな可能性(active)を切り拓き、さらに生成AIをはじめとする新たなテクノロジーとの融合による未来志向の創作(generative)を目指す、現代的な映画祭として展開されました。
6月11日に開催されたアワードセレモニーは、2025年の映画祭を締めくくる場として、各賞の発表と授与が行われました。今年は、米国アカデミー賞短編部門への推薦対象となる5つの公式コンペティション(ライブアクション部門〈インターナショナル、アジアインターナショナル、ジャパン〉、ノンフィクション部門、アニメーション部門)に加え、U-25プロジェクト、SHIBUYA DIVERSITY AWARD、HOPPY HAPPYアワード、グローバルスポットライトアワード、講談社シネマクリエイターズラボ第3期優秀企画、サイバーエージェント縦型アワード、最震賞 supported by CRGなど、さまざまな賞が発表されました。
上野さんは、オフィシャルコンペティション・ライブアクション部門のインターナショナルカテゴリー(日本・アジア以外の国と地域の作品)およびノンフィクションカテゴリー(ドキュメンタリー部門)の審査を担当。「ノンフィクション部門では、個人的に選んだ作品がすべて最終候補に残っていて、他の審査員と意見が一致したことがうれしかった」と語りつつ、「社会への問題提起が強く込められた作品が多かった」と振り返りました。
その中で優秀賞に選ばれた『塀の中で』については、「2年間独房に入っていた方の肉声が描かれており、アニメーションという手法も印象的だった。社会に届けたいと強く思える作品だった」と評価しました。
また、グランプリおよびインターナショナルカテゴリー優秀賞を受賞した『破れたパンティーストッキング』(監督:ファビアン・ムンスターヤーム)に関しては、「自身も高い評価をつけた作品」と述べ、「男女間の普遍的なすれ違いを描きながら、現代社会のリアリズムを感じさせる内容。1カットで撮影されたカメラワークが役者の熱量を保っており、美術も印象的。登場人物どちらにも共感できる点が魅力だった」とコメントしました。
今年の「ジョージ・ルーカスアワード」がフィンランドのファビアン・ムンスターヤーム監督の『破れたパンティーストッキング』に決定しました。
受賞を受けてムンスターヤーム監督は、「大変光栄です。フィンランドにいる全てのスタッフやキャストに心から感謝の気持ちを伝えたい。皆が素晴らしい仕事をしてくれました」と喜びのコメントを寄せました。
【受賞一覧】
グランプリ〈ジョージ・ルーカス アワード〉:『破れたパンティーストッキング』(監督:ファビアン・ムンスターヤーム)
ライブアクション部⾨ インターナショナル:『破れたパンティーストッキング』(監督:ファビアン・ムンスターヤーム)
ライブアクション部⾨ アジア インターナショナル:『燃夜』(監督:ディーモン・ウォン)
ライブアクション部⾨ ジャパン:『逆さまの天才』(監督:西遼太郎)
ノンフィクション部⾨:『塀の中で』(監督:ネイサン・フェーガン)
アニメーション部⾨:『夏の白夜』(監督:ルーク・アンガス)
HOPPY HAPPY AWARD:『さんぽ道』(監督:香月彩里)
講談社シネマクリエイターズラボ:『来世のせいら』(緒方一智)、『おっとのあし』(八幡貴美)、『楽屋裏』(古舘寛治)
U-25 Project Best Short Award:『楽しいバレンタイン・デー』 (監督:柴田九)
SHIBUYA DIVERSITY AWARD『いきがい』(監督:トレント・クーパー)
グローバルスポットライトアワード:(『マリオン』監督:ジョー・ウェイランド、Finn Constantine )
最震賞supported by CRG 発表・授与受賞者:『ABYSS』(監督:野上鉄晃)
サイバーエージェント縦型アワード:こねこフィルム
【ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2025 概要】
