第49回日本アカデミー賞授賞式 映画『国宝』李相日監督が最優秀監督賞
第49回日本アカデミー賞授賞式が13日に都内で開催され、映画『国宝』でメガホンをとった李相日監督が最優秀監督賞を受賞した。映画『国宝』は、最優秀作品賞を受賞いたしました。
李監督は『国宝』によって多くの映画賞でスピーチを行っているが、この日の挨拶では「一度だけ」と前置きしたうえで、家族への感謝の言葉にも触れ、妻や子どもたちへの思いを述べた。
映画『国宝』は、吉田修一の同名小説を原作とし、映画『怒り』や『流浪の月』などで知られる李相日が監督を務めた作品である。物語は、任侠の一門に生まれた喜久雄が抗争によって父を亡くし、上方歌舞伎名門の当主・花井半二郎に引き取られるところから始まる。歌舞伎の世界に入った喜久雄は、将来を期待される御曹司・俊介と出会う。生い立ちや才能の異なる二人は、互いにライバルとして切磋琢磨しながら芸を磨き、青春を歌舞伎に捧げていく。

また、李監督は舞台挨拶で観客に感謝を述べ、「長時間の鑑賞お疲れさまでした」と挨拶したうえで、自身が初めて同様の場に立った作品としてフラガールに触れ、当時の映画祭の雰囲気を振り返った。さらに、その頃は会場で飲食が提供され、時間が経つにつれて酒に酔った来場者の姿も見られたと、ユーモアを交えて語った。
李相日監督は舞台挨拶で、映画界に初めて立った当時の記憶を振り返り、「映画界とはこういう場所なのだと感じたことを、昨日のことのように思い出す」と語った。

本作については、俳優たちの献身とスタッフの力があってこそ成り立った作品であると強調。「俳優の献身がなければ成立しない作品であり、スタッフの力がスクリーンの隅々にまで表れているからこそ、多くの観客の心を打つことができたのではないか」と述べ、関係者への感謝を示した。
さらに李監督は、自身の映画制作について「まだ本当の意味で映画の作り方を理解しているわけではない」としつつ、「こうしたものを作りたいという衝動を原動力に制作に向き合っている」と語った。そのうえで、その思いをスタッフや俳優が信頼して支えているからこそ監督という立場が成り立っていると述べ、映画制作は多くの人々の信頼と協力によって支えられるチームワークの仕事であるとの認識を示した。

李監督はまた、社会における人間同士の不信や格差、信頼関係の揺らぎといった空気感が当時すでに感じられていたとも語り、そうした状況の中でこそ「美しさ」を描く映画を作りたいと考えたと説明した。
ここでいう「美しさ」とは、歌舞伎という伝統芸能の舞台そのものの美しさだけではなく、芸や人として何かを極めようとする人間の姿に宿る美しさを指しているとし、そのような思いが本作の制作に取り組む動機になったと述べた。
最後に李相日監督は、本作のヒットについて言及し、「人は美しいものを見たいと心の底から思っているのだということを、この結果を通して改めて実感した」と語った。また、映画が世界を直接変えると断言することはできないとしながらも、「社会が悪い方向へ向かう流れを食い止める力が映画にはあるのではないか」と述べ、映画の持つ可能性への期待を示した。
さらに李監督は、「生涯でそう何度もある機会ではない」と前置きしたうえで、個人的な感謝の言葉にも触れた。16歳の頃から人生を共に歩んできた妻と、映画監督という仕事に特別な関心を示さず見守ってくれている子どもたちに対し、この場を借りて感謝の思いを述べ、照れくさそうな様子を見せながら言葉を締めくくった。





