『恒星の向こう側』舞台挨拶
日程:11月2日(日)
会場:ヒューリックホール東京
登壇:中川龍太郎監督、朝倉あき、久保史緒里
第38回東京国際映画祭コンペティション部門『恒星の向こう側』の舞台挨拶が11月2日(日)にヒューリックホール東京で行われ、中川龍太郎監督、朝倉あき、久保史緒里が登壇した。
本作は、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2015年)、『四月の永い夢』(2017年)で注目を集めた中川監督による“3部作”の最終章とされる作品。
物語は、母・可那子(河瀨直美)の余命を知り、故郷へ戻った未知(福地桃子)が、母と向き合う中で葛藤を重ねる姿を描く。寄り添いたいという思いとは裏腹に、心を閉ざす母との間で衝突を繰り返す未知。さらに、夫・登志蔵(寛一郎)が子を授かりながらも亡き親友への想いに揺れる姿を目にし、不安を募らせていく。
やがて、母の遺したカセットテープから“もうひとつの愛”の存在を知った未知は、初めて母の想いを理解し、その愛を受け継いで歩み出す──という物語が描かれている。
朝倉は、「若い頃、音楽の先生をしていた時期の万里を演じました。北海道に移り住んでからの姿も少し演じています」と説明したうえで、「映画の余韻が残る中で、皆さまと感じたことを共有できる時間を持てて嬉しいです。この後の質問コーナーで、皆さんの感想を伺えるのを楽しみにしています」と述べ、観客との交流に期待を示した。
朝倉あき久保は、「こうして皆さまに映画をお届けできたことを嬉しく思います。実は今日が朝倉さんとの初対面で、お伺いしたいことがたくさんあります。皆さんと一緒に作品についてお話を聞けたらと思います」と語った。
久保史緒里朝倉と久保の起用について、中川監督は「最初の段階からこの2人にお願いしたいと決めていました」と明かした。朝倉については、「監督としての自分にとって大切な作品には、これまでいつも朝倉さんが関わってくださっていました。今回も万里という役は、ぜひ朝倉さんに演じていただきたいと最初から思っていました」と語り、その信頼の厚さをうかがわせた。
中川龍太郎監督一方、久保については「5、6年前に『静かな雨』の際、衛藤美彩さん(元乃木坂46)からご紹介いただいたのが最初の出会いでした」と振り返り、「その時に僕の『四月の永い夢』や『わたしは光をにぎっている』を観てくださって、作品を気に入っていただいたと伺いました。それからしばらくご一緒する機会はありませんでしたが、今回ようやくご一緒できました」と、今回の起用に至る経緯を説明した。
中川監督は、主人公・未知と可那子の関係を描く上での意図について、「普段はできるだけフラットに生きている人が、現実の暴力に触れる。その“暴力との距離感”を描きたかったんです」と説明した。その上で、「暴力という要素を内包する存在として、朝倉さん演じる万里と、久保さん演じる唯というキャラクターが必要でした」と2人の役柄の重要性を語った。さらに、「特別な目を持っているという意味ではありませんが、そうしたテーマを表現する上で、このお二人が最もふさわしいと感じてお願いしました」と、キャスティングへの信頼を述べた。
久保は、「もともと中川監督の作品を拝見していて、その当時、先輩の衛藤さんが監督の作品に出演されると聞き、映画も観させていただきました。いつかご一緒できたらと思っていたので、今回お話をいただいたときは本当にうれしかったです」と振り返り、喜びを語った。
本作の撮影では、シーンごとに異なる撮影方法を取り入れていたという中川監督。久保の出演シーンについては「“よーい、スタート”や“カット”といった合図がない中での撮影だったので、大変だったと思います」と振り返った。
久保は撮影前の準備について、「子どもたちと一緒に鬼ごっこをする日を設けていただいた」と明かし、撮影時には自然な関係性が築かれていたことを語った。「あの場にいる人として存在できたのは、あの子どもたちの存在がとても大きかったです」と、共演者への感謝を込めて振り返った。
また、「監督から『久保さんは静かに見えても内に強いものを持っている人だから、それを出してほしい』とお声がけいただきました。そうした部分を見抜かれることはあまりなかったので、この役をいただけたことがとても嬉しかったです」と語った。
さらに、今後挑戦してみたい役柄について尋ねられると、朝倉は「悪役を演じてみたいです」と即答。続く久保が「私も悪い人だったんですけど」と笑顔で答えると、中川監督は「悪い人を演じたい人ばかりが、僕の映画に出てくれてますね」とコメントし、会場を和ませた。
【第38回東京国際映画祭 開催概要】
■開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net
【TIFFCOM2025開催概要】
■開催期間:2025年10月29日(水)~10月31日(金)
■公式サイト:www.tiffcom.jp

	


















	
	
	
	



