映画『丹羽哲郎の大霊界/死んだらどうなる』舞台挨拶
舞台挨拶@第39回東京国際映画祭
日本映画クラシック部門「丹波哲郎の大霊界/死んだらどうなる」
日付:10月27日(火)
場所:TOHOシネマズ
登壇:三池崇史(司会)、丹波義隆、岡安由美子、村上隆、坂美佐子
989年に公開され、当時社会現象を巻き起こす大ヒットを記録し、今なお根強いカルトファンを持つ 映画『丹羽哲郎の大霊界/死んだらどうなる』。この度4Kデジタルリマスター版で復活、37年ぶりにスクリーンに蘇ります。
丹波哲郎が総監督を務めた1989年公開の映画『丹波哲郎の大霊界/死んだらどうなる』の4Kデジタルリマスター版が10月27日(火)に、開催中の第39回東京国際 映画祭の日本映画クラシックス部門にてワールドプレミア上映された。上映後のトークショーに本作の主演俳優で丹波哲郎の息子である丹波義隆、共演の岡安由美子、プロデューサーの坂美佐子、現代アーティストで、今回の4Kデジタルリマスター版用のポスタービジュアルを新たに描き下ろした村上隆、そして、本作の4Kデジタルリマスター化に尽力した 映画監督の三池崇史が出席した。
主人公の曽我隆を演じた義隆は、映画を見終えたばかりの観客を前に「37年前に生まれ変わりました、丹波義隆でございます」と挨拶し笑いを誘う。「37年前ですので、3分の2ぐらい忘れておりましたが、こんなに素晴らしい映画だといま、感心しております。オヤジ、ありがとう! これがいまの私の感想です」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。

生前の丹波と付き合いのあったという三池は、今回の4Kデジタルリマスター化の経緯について毎年、行われている丹波を偲ぶ会での坂プロデューサーたちの会話がきっかけだったと明かす。

「『寺田倉庫に(本作の)ネガが預けてあるんだけど、倉庫代が大変だから捨てちゃおうかなと思っている』という話をたまたま耳に挟んで、『ちょっと待ってください! あれは大傑作ですよ』と。 映画界だけでなく、昭和史の1ページであり、ご覧になった方が年齢を重ね、時代が変わり、視点を変えて新しいものが見えてくる大傑作です」と熱弁をふるい、知り合いのプロデューサーに相談し、4Kデジタルリマスター化することになったと説明。「平成元年の1月、昭和天皇が崩御されたのと同時期に公開された、本当に奇跡の映画で、なんとか、生き延びて、この場でみなさんに見ていただくことができました。丹波さんには生前、いろいろお世話になっていたので、ほんの少しだけ恩返しできたのかなと思います」と感慨深げに語った。
義隆は、この映画が製作されることになったきっかけについて、「映画になる10年くらい前から、オヤジは『霊界の映画をつくりたい』と騒いでいて、みんなは聞いているフリをしておりました(笑)」と語る。三池は「丹波さんは、宗教家でもないし、霊感もない。(霊界の)研究者でした。死後、地図なしで霊界に行くのは、あまりにも冒険過ぎるだろうということで(この映画をつくった)。研究をまとめると『こういうことじゃない?』というのがこの映画です」と説明。義隆は、その言葉に「みなさんに(霊界のことを)わかりやすく説明する、“霊界の宣伝マン”と言っていました」とうなずく。
では、なぜ丹波はそこまで霊界について研究するようになったのか? 三池は「僕自身、丹波さんと接していて、すごく繊細で優しい方でした。死に対する恐怖もあるんでしょうし、仲間たちが死んでいって、『どうなっているんだろう?』と他人の死を見て我がことと考えた時に『何も知らないな。それはおかしい』と感じたのだろうと思う」と述懐。一方、義隆は「僕は、『007』のスタントマンを務めた方が、別の作品で、事故で亡くなったのをきっかけに研究しだしたと聞いています。父のお母さんが亡くなった時、それまで父は『この世は修行の場所だから、あの世に行くことはパーティをするくらいめでたいことなんだ』と言っていたんですが、そんな父がワンワン泣いていたんです。やはり寂しさ、悲しさ、怖さがあったんじゃないか? と思います。そう言うと、上から怒られるかもしれませんが(笑)」と推察する。さらに、坂プロデューサーは「先輩の役者のお見舞いに行ったら、その方が『死ぬのは嫌だ』と個室のトイレでスリッパを噛んで泣いていらしたと。それを見て『知らないから怖いんだ。じゃあ、みんなにお知らせしよう』と勉強することにしたと伺いました」と証言する。
岡安は、 映画の中で霊界の“案内人”である霊人キヨを演じたが、「最初に(本作の話を)うかがった時、ホラーだと思いました(笑)。当時、私はいろいろなものが見てしまうタイプ、引き寄せてしまうタイプで、ロケに行っても妖怪っぽいものを見たりとかしていたんです。あまりに怖くて、丹波さんにもご相談したんですが、大笑いされて、『これは、そんな下々の話じゃなく、天上界の素晴らしい話だから、(この映画に出たら)そんなもの見なくなるから絶対大丈夫!』と自信満々におっしゃられて、現場に入ったら、本当にピタッと見なくなったんです。すごく不思議で、そういう世界ってあるのかなと思い、守っていただいているパワーを感じました」と明かす。

本作以外でも、岡安は舞台やドラマで丹波とは共演しているが、「丹波さんは、本当に優しい方で、新人だろうが、スタッフだろうが分け隔てなく、私たちにもとても優しくしてくださいました。女性が大好きなチャーミングなところあって(笑)、丹波さんには個室があるんですけど、そこには一切いらっしゃらなくて、女の子たちがいる大部屋にずっといらして、楽しくお話していました。とにかくオーラがすごかったです」と楽しそうに思い出をふり返った。
ポスタービジュアルを新たに手がけた村上は、三池監督の本作を復活させたいという思いに賛同し、「じゃあポスター描きましょうか? と僕の方から言いました」と明かす。「世代的に『大霊界』を浴びました。あの頃は新興宗教といったものが大ブームで、自分もそのオーラみを被って生きてきたので」とふり返る。

村上は、市川團十郎の襲名興行の祝幕のデザインを手がけており、三池が ドキュメンタリー 映画『襲名』の監督をしたことからつながりがあり、さらに今回の4Kデジタルリマスター化のプロデューサーは、村上の初監督作『めめめのくらげ』にも参加しており、「ご縁を感じます」と語り、「完全ノーギャラで頑張りました(笑)」と明かした。
坂プロデューサーは37年前、20代にして本作で初めてプロデューサーを務めたが、「ボス(丹波さん)が『この映画はプロのプロデューサーが入るとできない』とおっしゃられて、うちの父が丹波と友達で、私もお世話になっていたんですが『一番の素人はお前だ。素人がプロデューサーをやることで、この映画は完成する』と言われて、携わることになりました」と述懐。

大きなスクリーンで本作を鑑賞し「泣いちゃいました。作品も(4Kデジタルリマスターで)キレイになってすごいなと思ったし、1本目だったんで、ずいぶんつらいこともあったな…というのもあって、ホロっとしながら見ていました」としみじみと語っていた。
トークの最後に義隆は「オヤジは豪快でしたし、繊細なところも多々ありました。きっといまごろ、泣いていると思います。そしてオヤジはまた、大胆なところもありました。1作目は『死んだらどうなる』で2作目は『死んだらおどろいた!!』。ぜひ三池監督に3作目の『行ったらこうだった』というのを撮ってもらいたいと思います」と語り、会場は笑いと拍手に包まれる。それを受け、三池は「実は3作目はあって、それは『死んだら生まれ変わる』なんですね(笑)。すごいですよね。本当にすごいと思います。この映画は、これからも10年単位で見ると全然違う見え方すると思います。生きている間、ときたまこの 映画を思い出して、見ていただければと思います」と語り、トークショーは盛況の中で幕を閉じた。
1.日本映画史に燦然と輝く、伝説の霊界スペクタクル
原作・企画・原案・脚本・総監督・出演の1人6役を丹波哲郎自身が務め、大ヒットを記録した金字塔作品。「人は死んだらどうなるのか?」という普遍的な問いに対し、壮大なビジュアルと独自のアプローチで迫った唯一無二のエンターテインメント作品です。
2. 鮮烈な色彩と特撮技術が、 4Kデジタルリマスターで完全復活
精霊界や天界層を描いた極彩色のビジュアルや、当時の最高峰特撮技術を結集したヴィジュアル・エフェクトがオリジナルネガプリントより最新の4Kデジタル修復技術によって緻密に再現。さらに音声も5.1chにアップグレードされ、より鮮烈かつ幻想的な体験が堪能できます。
3. 豪華キャスト陣による重厚なドラマ
主演の丹波義隆をはじめ、若山富三郎、前田吟、千葉真一ら昭和の名優たちが集結。
死後の世界を舞台に繰り広げられる人間ドラマが、スクリーンで再び息を吹き返します。
スタッフ:
企画・原案・総監督:丹波哲郎
監督:石田照
脚本:丹波哲郎、溝田佳奈
音楽:宮下富実夫
キャスト: 丹波義隆、岡安由美子、前田吟、若山富三郎(友情出演)、丹波哲郎
製作年・尺: 1989年/97分/日本映画/5.1ch/DCP
©️1989 TAM・G
作品協力:丹波哲郎オフィス
提供:REMOW





