■日時:9月4日(木)
■登壇者 小林薫、戸塚純貴、満島ひかり、宮崎美子、ピエール瀧、木下麦監督
本作は、テレビアニメ『オッドタクシー』のクリエイタータッグ・木下麦(監督・キャラクターデザイン)×此元和津也(原作・脚本)と、『映画大好きポンポさん』『夏へのトンネル、さよならの出口』の制作スタジオ・CLAPによるオリジナルアニメ映画。主人公はヤクザの男・阿久津実(あくつ・みのる)で、現在の阿久津を小林、過去の阿久津を戸塚がそれぞれ演じる。
本作は小林と戸塚のダブル主演作。共演者との収録エピソードも披露された。
主人公・阿久津の“現在パート”を演じた小林は「ささやかなことが本当に大切で、幸せにつながるのだと感じさせてくれる作品です。自分自身も完成した映画を観て、とても穏やかな気持ちで帰ることができました」と手応えを語った。
また、声の演技の難しさについても触れ、「実写の演技とは違って、役を演じた実感がないように感じました。スタンドマイクの前に立ち、映像を見ながら声だけを出すというのは違和感もあり、気持ちを込めようと踏ん張る分、収録が終わった後は放心状態で家に帰りました」と振り返った。
さらに小林は共演者のピエールの収録後の様子について、「僕と同じように放心状態で徒歩で帰られたのかなと思ったら、実は普段から歩いて帰っていると聞いて、勘違いでした」と照れ笑い。これに対しピエールは「単に僕の趣味で歩いて帰っているだけなんです」と補足し、会場を笑わせていた。
瀧は「小林さんってアニメの声を担当している印象があまりなかったので、『台本をめくるときは音がしないように、そっとめくるといいですよ』とアドバイスしていたんです」と明かす。しかし後から「あの人、ジブリ作品に出演している方だった」と気づき、「ジブリの人にアドバイスしていたなんて…」と振り返り、会場を和ませた。
一方、戸塚については満島が「私は勝手にテレビや映画で見ていて、10年ぐらい前に拝見した時には“昔の役者さんが現代にタイムスリップしてきたみたい”と思った」と印象を告白。「役が空っぽなんですよね」と語ると、戸塚が思わず「それ、悪口じゃないですか?」と苦笑する場面もあった。
満島は「悪口じゃない」と否定しつつ、「何も考えていないように自然に話しているような場面があって、それがとても愛おしい」と戸塚の魅力を表現。「この作品には“空っぽな声”がたくさん出てくると思いますが、それは今の若い人の自然体な姿にも通じていて、役柄にもぴったりでした。一緒に演じていて、戸塚さんのその空っぽさに救われたし、気持ちが楽になった」と語った。
満島は「“空っぽ”という言い方が正しいのか分からないんですけど」と前置きしつつ、戸塚の演技について「良い意味で、何も考えすぎずに素直に言葉を発しているように見える場面が多くて、とても愛おしく感じました」と語った。そのうえで「情報にとらわれすぎず、反芻して自分を見つめすぎない“若さ”のようなものを感じて、役にもぴったりでした。一緒にお芝居をしていて、その“空っぽさ”に救われて、気持ちが楽になった」と独特の表現で称賛した。
この言葉に戸塚は思わず「悪口じゃないですか?良い意味で」と戸惑いを見せ、さらに「“空っぽ”だけは書かないでくださいね」と呼びかけて会場を和ませた。満島が「ストーンと素直に全部を受け入れている、という意味なんです」と補足すると、会場には笑いとともに温かな空気が広がった。
宮崎は、「実写映画に出演するよりも、今のほうがドキドキしています」と率直な心境を明かした。さらにアフレコでの体験について、「隣の人と会話するシーンでは、思わず横を向いてしまうんです。でも実際には画面の中の人物に合わせて声をあてるので、マイクから外れてはいけない。そのちょっとした違いに戸惑うこともありました」と振り返り、声の仕事ならではの難しさや新鮮さを語った。
9月4日は、小林の74歳の誕生日にもあたった。ステージ上では木下監督から小林の似顔絵イラスト、戸塚から花束が贈られるサプライズが用意され、小林は「こんなに嬉しいことはありません。このイラストは家宝にします」と満面の笑みを見せた。
イベントの締めくくりに、木下監督は「静かで力強く、美しい映画になりました。ぜひ最後までお楽しみください」と観客へメッセージ。戸塚も「完成した作品を観て大きな感動を覚えました。その思いが皆さんにも届き、『ホウセンカ』という輪が広がっていくことを願っています」と呼びかけた。
さらに小林は「出演者それぞれが抱く思いはありますが、ご覧いただいた皆さんにも、少しでも幸せな気持ちを抱いて帰っていただければ嬉しいです」と語り、本作に込めた期待をにじませていた。
キャスト:
小林 薫 ⼾塚純貴 満島ひかり 宮崎美子
安元洋貴 斉藤壮馬 村田秀亮(とろサーモン) 中山功太
ピエール瀧
監督・キャラクターデザイン:木下麦 原作・脚本:此元和津也 企画・制作:CLAP
⾳楽:cero / 髙城晶平 荒内佑 橋本翼
演出:木下麦 原田奈奈 コンセプトアート:ミチノク峠
レイアウト作画監督:寺英⼆ 作画監督:細越裕治 三好和也 島村秀⼀
⾊彩設計:のぼりはるこ 美術監督:佐藤歩 撮影監督:星名⼯ 本䑓貴宏
編集:後田良樹 ⾳響演出:笠松広司 録⾳演出:清⽔洋史
制作プロデューサー:伊藤絹恵 松尾亮⼀郎
宣伝:ミラクルヴォイス 配給:ポニーキャニオン 製作:ホウセンカ製作委員会
10/10(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
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