映画『ハッシュ!』4K 秋野暢子&光石研登壇!公開記念トークイベント
名匠・橋口亮輔。そのキャリアを代表する傑作『ハッシュ!』と『ぐるりのこと。』の4Kリマスター版が、シネマート新宿、シネスイッチ銀座、渋谷ホワイトシネクイントほか全国で絶賛公開中。
『ぐるりのこと。』は2008年6月の公開から18年ぶり、『ハッシュ!』は2001年の製作から25年(公開は2002年4月)、実に四半世紀ぶりとなる。
この度、公開を記念して、『ハッシュ!』の主人公・勝裕(田辺誠一)の兄夫婦を演じた俳優・秋野暢子と光石 研、橋口亮輔監督によるトークイベントを開催した。
上映後、観客とともに客席で本編を鑑賞していた秋野暢子、光石研が登壇。橋口亮輔監督も加わり、製作から25年を迎えた『ハッシュ!』を4Kリマスター版で改めて鑑賞した感想や、撮影当時の思い出を語った。
冒頭、秋野は「久しぶりに作品を拝見しましたが、本当にいい作品だなと改めて感動しました」と笑顔を見せると、「監督とは25年ぶりにお会いしました。また作品に呼んでねと言ったのに、全然呼んでくれないんだもの」と冗談交じりに語り、久々の再会を喜んだ。光石も「どうも、こんなになっちゃいました」と25年前の自分と重ねて挨拶し、会場を和ませた。
今回のリバイバル上映について、秋野は「25年前の作品とは思えないですよね。ようやく時代がこの作品に追いついたような気がします」とコメント。光石も「終盤の家族会議のシーン、すごかったでしょう。秋野さんが最高ですよ。冨士(眞奈美)さんと二人であの場を引っ張っていく感じ」と、改めてスクリーンで観た感動を語った。
橋口監督も「25年前の作品とは思えないと自分でも感じます」と応じ、四半世紀を経ても色褪せない作品の魅力を語る。さらに登壇者同士で「みんな歳は取りましたけどね」と笑い合う場面もあり、久々の再会ならではの温かな空気に包まれた。
名シーン“家族会議”誕生秘話「監督、大丈夫よ。10倍いい芝居するから」
現像に失敗し、意気消沈した監督を励ました秋野の一言
話題は、本作屈指の名場面である勝裕のマンションでの“家族会議”のシーンへ。橋口監督は、「本来は丸一日リハーサルを行い、その後、本番と予備日の二日間で撮影する予定でした。しかしリハーサルの日に秋野さんが『監督、今日撮っちゃうでしょ。私、この朝子って女に言ってやりたいことがあるの』と言ってくださって、その勢いにのまれて撮り始めたんです」と当時を懐かしそうに振り返った。
秋野は撮影時を振り返り、「光石さんに『頬をちゃんと叩いて』とお願いしたんです」と明かす。「いや、でも、そんな……」と躊躇する光石に対し、「ダメ、ちゃんと叩いて」と伝えたと言い、「本番では本当に頬を叩かれて、こんなにちゃんと叩くとは思わなかった(笑)」と会場を笑わせた。
さらに秋野は、当時実際に子どもを出産した経験があったことから、「出産は身体がめくれるような痛み」という自身の実感を込めた言葉が、そのまま家族会議のシーンのセリフとして生かされたことを明かし、迫真の演技を支えた舞台裏を披露。また、「橋口監督は役者を絵コンテにはめるのではなく、役者が自由に動いた中から一番いい瞬間を拾ってくださる監督なんです」と、現場での演出を絶賛した。
光石も橋口監督の演出について、「リハーサルでは『絶対に嘘をつかないでください』と役者にずっと伝えていました。うわべだけの芝居ではなく、本当の感情が生まれる瞬間を大切にされている監督です」と厚い信頼を寄せる。また、「家族会議の撮影中は、実はずっと緊張していました」と意外な舞台裏も告白。長回しで撮影された重要なシーンだけに、大きなプレッシャーを感じていたことを振り返った。
橋口監督は、「みんなの積み重ねのおかげで、本来3日かかる予定だったシーンを1日で撮り終えることができた。最高の長回しが撮れたと興奮したのも束の間、翌日、現像に失敗したという知らせを受けて目の前が真っ暗になりました。あんなにいいシーンはもう撮れないと思いました」と当時を回想。幸い予備日が設けられていたため再撮影が可能となったが、「キャストの皆さんに申し訳ない気持ちでお願いしました」と明かす。そんな落ち込む監督に対し、秋野が「監督、大丈夫よ。10倍いい芝居するから」と声を掛けてくれたと言い、「あの言葉にどれだけ励まされたか分かりません」と感謝の思いを語った。
共演者の話題では、秋野が「光石さんは気の弱い男性を演じるのが本当に上手。とてもいい役者さんです」と絶賛。光石も、家族会議のシーンを撮り終えた後に秋野と新宿へ食事に出かけたり、ホテルのプールでクールダウンしたりした思い出を披露し、「夫婦役だったのでデートしましたね」と懐かしそうに振り返った。
また、橋口監督は二人のキャスティングについても言及。光石については、「田辺誠一さんのお兄さん役なので、細面の顔立ちがいいなと思っていました。『博多っ子純情』や『男はつらいよ』の光石さんを観て、この人しかいないと思ってお声がけしました」と明かした。秋野については、「『岸和田少年愚連隊』でのお母さん役が本当に素晴らしく、ぜひお願いしたいと思いました」とオファーの理由を語った。
最後に橋口監督は、「改めて観て、画面から放たれるエネルギーに自分でも圧倒されました。25年前の作品とは思えないほど、いまも新鮮に感じられました」と率直な思いを語った。四半世紀を経てなお、新たな観客の心を揺さぶり続ける『ハッシュ!』の魅力を改めて実感する、貴重なトークイベントとなった。
原作・脚本・編集・監督:橋口亮輔
出演:田辺誠一 高橋和也 片岡礼子 秋野暢子 冨士眞奈美 光石研 つぐみ
撮影:上野彰吾 照明:矢部一男 録音:髙橋義照 音楽:ボビー・マクファーリン
提供:中央 映画貿易 配給:ビターズ・エンド ©2001 SIGLO
135分/ドルビーデジタル/2001年





