映画『さとこはいつも』釜山凱旋!ティーチイン付き舞台挨拶
映画『さとこはいつも』釜山凱旋!ティーチイン付き舞台挨拶
日程:10月17日(土)
会場:池袋シネマ・ロサ(豊島区西池袋1丁目37−12 ロサ会館)
登壇:姫野花春、沖田修一監督
沖田修一監督が、年齢も育った環境も異なる3人の女性<さとこ>の人生をユーモアたっぷりに描き出す完全オリジナル新作『さとこはいつも』。この度、第31回釜山国際 映画祭のコンペティション部門で<The Best Actor Award(最優秀俳優賞)>を受賞した姫野花春と、沖田監督が登壇する凱旋舞台挨拶が実施された。
映画初出演にして国際映画祭で快挙を成し遂げた姫野は、昨日釜山から帰国したばかり。冒頭、最優秀俳優賞の受賞を祝福、お祝いで手渡された大きな花束を手にした姫野は「今日お客さんに会えたのがとにかく嬉しくて、そして今目の前には映画観てくださった方がいて、もうこれ以上嬉しい空間はないなっていう感じです。ありがとうございます」と、受賞の喜びと観客への感謝を語った。一方、仕事の都合で映画祭への参加が叶わなかったため、授賞式を日本から見守っていた沖田監督。オンラインの画面でレッドカーペットや授賞式の様子を見ていたと明かし「夢みたいな光景でしたね」と振り返り、姫野の晴れ姿を見届けたことを振り返った。
■「さとこ!」コールが響いた釜山国際映画祭 現地の観客の反応に感激
釜山国際映画祭を振り返った姫野は、到着した瞬間から会場の熱気に圧倒されたという。「空港に着いた瞬間から<釜山国際映画祭!ドン!>っていう感じですごい盛り上がっていて。会場の外にもたくさんの方がいて、なんかもうほんとに世界中からこの 映画が大好きで、ここに来てる映画を楽しみにしてる人がたくさんいるんだなと思って」と、世界各国から映画ファンが集う映画祭ならではの熱気を語った。
なかでも印象に残ったのは、上映後のクロージングセレモニー。オープニング時とは雰囲気が一変し、会場からは「さとこ!さとこ!」という<さとこ>コールが沸き起こったという。さらに、サプライズで流れた現地の映画監督が書き下ろしたというテーマ曲に合わせ、筒井竜平プロデューサーと一緒に踊ったという微笑ましいエピソードも披露した。
現地の観客と一緒に作品を鑑賞したプレミア上映では、観客の率直なリアクションも印象的だったと振り返る。「映画を真剣に、すごく素直に観てくださってる」「だからその素直な反応がそのまま出る空間だったので、本当に隣の人も後ろの人も前の人も、それぞれ独り言みたいな感じで、ツッコミを入れていったりもしてるんです」と、会場全体で作品を楽しむ様子を明かした。
劇中、有村架純が登場する<西田沙都子>パートで登場する韓国ドラマのパートも、現地ならではの盛り上がりを見せたそう。「もう、韓国ドラマの本場の知ってる人ならではの<ハハハ!>みたいな(笑)」「あるあるなんだけど、でもそれが現実に、西田沙都子さんのパートところに、ああいう出来事が起こるっていう、ギャップとテンションの差に皆さんものすごく笑いが起きてました」と、韓国ドラマのお約束と物語の展開が生み出す、日本と韓国の笑いの違いを実感したという。
さらに、姫野が演じる<中井聡子>が歌舞伎鑑賞中に大口を開けて爆睡するシーンをきっかけに会場の笑いが一気に広がったとのこと。沖田監督も、日本ならではの歌舞伎文化や塩辛などの食の描写が海外の観客にどう受け止められるか気になっていたことを明かしつつ、「よく伝わってますね。不思議だね。塩辛の茶漬けとか、韓国では全然分かんないかなと思いましたけど(笑)」と、予想を超える反応に驚いていた。
さらに、上映後に行った姫野のサイン会では、姫野は「翻訳機を使って感想を伝えてくださる方とかもいて、すごい嬉しかったです」と、国境を越えて作品が届いた喜びを語った。

■姫野花春が愛してやまない食べ物は「芋」!オーディション秘話も明らかに
会場からの質問コーナーでは、観客から作品への感想とともに、劇中で塩辛を愛する15歳の聡子にちなみ、姫野自身がラブレターを書きたいほど好きな食べ物について質問が寄せられた。
これに対し、姫野は「私は芋です。サツマイモが大好きなんですけど、さっきも監督から大量の生のサツマイモをいただいて、そこに祝・俳優賞受賞おめでとうって書いてあって、最後にカムサムニダって書いてあって」と告白。実は沖田監督が、姫野の受賞を祝してサツマイモを贈っていたことが明らかになった。
沖田監督によると、サツマイモはスーパーで全種類を購入したそう。「芋の品種に厳しいって聞いたので(笑)」と、そのこだわりに合わせて選んだことを明かし、会場の笑いを誘った。
さらに、このエピソードから、姫野がオーディションを受けた際の秘話も飛び出した。沖田監督は、文字を書いたり読んだりするシーンが多い作品だったことから、<書く姿>などを見ようと、好きな食べ物にラブレターを書いてもらったと説明。姫野は「芋への気持ちを5分で書いてくださいって言われて」と振り返った。
沖田監督は「それで姫野さんにも書いてもらって、で、ものすごい長い文章書いて、完成させてたんで」と、姫野の熱意あふれる姿を回想。今回の受賞祝いにもつながる、サツマイモへの深い愛情が明らかになった。

■「 映画は、いろんな人が持ってる世界を映してくれるもの」創作への思いを語る
また、観客からは、作品を観たことで自分も何かを書いてみたいという気持ちになり、公式note企画を通じて人生初の投稿をしたという感動的な感想と、そこから自身の経験や感情を創作・表現に生かすことについての質問も寄せられた。
沖田監督は、日常のなかで心が動かされる瞬間が物語の種になると説明。「ずっと同じ毎日のようなことを繰り返してる中で、急に誰かが病気になったとか、なんか何か変な日があったとか、すごい笑っちゃうようなことが起きたとか、別に大した映画にもなりそうもないようなことかもしれないんだけど、ちょっとこう波風が立ったりして、突きつけられたりする時とか、そういう時に、面白いなって思ったり」「もう悲しいなとか、無様だなと思ったり、ちょっと心が動いたりするようなことを、物語として客観的に、僕の場合は笑いに走ったりするんですけど笑」と、自身の創作の原点を語った。
さらに、聡子の初登場シーン、劇中に登場する耳鼻科のネブライザーについても、小学生の頃に感じていた疑問が着想のひとつになったと明かし、何気ない日常の記憶が作品へとつながっていく過程を紹介した。
姫野は、映画の魅力について「沖田監督が今おっしゃったみたいに、いろんな人がそれぞれ持ってるなんか世界を、映してくれるものだなって」「私はそれがすごく映画の好きなところで」とコメント。続けて、自身の演技についても「カメラの前に立つと、思い通りにいかないし、コントロールもできないし」としながら「そういうところに私は連れてってもらっているなっていう感じがしてるので、私は逆にそういう時間の中でいろいろ経験が増えて積み重なっているように思います」と語り、 映画や芝居を通じて得られる経験への思いを明かした。
■沖田監督「こんな日が来ると思いませんでした」姫野も感謝を伝える
イベント終盤には、姫野が釜山国際 映画祭で受賞したトロフィーも披露され、会場は改めて祝福ムードに包まれた。
最後に、沖田監督は公開から約1ヵ月が経った今の心境について、「この映画がどこまで、どういう反応があるだろうって思っていました」「特に姫野さんを見たらみんなびっくりするだろうなと思ってたんですけど、自分の予想を超えて、こんな華やかな中で賞もいただいて」「今日こういうふうに皆さんの前で笑いながらトロフィー持って、写真撮って……、こんな日が来ると思いませんでした」と、今回の快挙への驚きと喜びを語った。
姫野は「どの言葉もちょっと当てはまらなくて」としながらも、「公開されて1ヵ月経って、なんか来てくださって、こうやって笑顔でお話聞いてくださる方がいて。沖田監督ともお話できて。言葉が合ってるかどうか分からないけれど、すごくしびれてます」「感謝でいっぱいで、本当に今日はお越しいただきありがとうございました」と、感謝の思いを伝え、凱旋舞台挨拶を締めくくった。
釜山国際映画祭での受賞を経て、改めて作品を愛する観客と喜びを分かち合った姫野花春と沖田監督。世代を超えた3人の<さとこ>が織りなす物語は、国内外の観客の心をつかみながら、さらなる広がりを見せている。






