日本国内初!シネマサンシャイン三郷「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos ?」内覧会
シネマサンシャイン三郷(埼玉県)のプレミアムシアター「BESTIA」に、日本初となるDolby Vision+Dolby Atmosの上映環境「BESTIA in Dolby Vision + Atmos」が誕生した。
10月5日に開かれたマスコミ向け内覧会には、佐々木興業株式会社 代表取締役社長の佐々木武彦氏と、DOLBY JAPAN株式会社 シネマ&コンテンツソリューション部 部長の尾崎卓也氏が登壇し、導入の経緯やDolby Cinemaとの違いを語った。一般向けの上映は同日18時、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のオープニング特別上映から始まる。

冒頭で挨拶に立った佐々木社長は、「ここでしか得られない感動と興奮を最高の環境で楽しんでいただきたい。その思いを大切に歩んでまいりました」と、シネマサンシャイングループの姿勢を語った。グループはこれまで複数のプレミアムラージフォーマットを導入してきたほか、独自のプレミアムブランド「BESTIA」(ベスティア)の展開にも力を入れてきた。BESTIAという名称は「Best Immersive Audio Visual」に由来しており、最高の没入型映像・音響体験を意味している。
三郷のBESTIAにはもともとDolby Atmosが導入されていた。今回はここに新たにDolby Visionを加え、映像と音響の両面でDolbyの技術を備えた上映環境が整った。佐々木社長は「BESTIAは多くの映画ファンの皆様から高い評価をいただいております。その体験をさらに進化させるため、DolbyVisionを新たに導入することを決定いたしました」と説明し、ドルビージャパンとの協力によって実現した「世界最高水準の体験」を三郷の観客に届けられる喜びを語った。
佐々木興業 代表取締役社長の佐々木武彦氏(右)、DOLBY JAPANシネマ&コンテンツソリューション部 部長 尾崎卓也氏(左) © cula
家でも高画質が当たり前の時代に、映画館が示す「体験」の価値
続いて登壇した尾崎氏は、今回の取り組みについて「単なる設備の導入ではない」と強調した。家庭でも高品質な映像や音響を楽しめるようになったいま、映画館で観る価値をどう提供していくかは、世界中の映画館に共通するテーマだという。優れた映像と没入感のある音響、そして劇場という空間だからこそ生まれる特別な体験。今回の導入は、そうした映画館ならではの価値をさらに高めるための新しい挑戦だと位置づけた。
尾崎氏によると、Dolby Cinemaを含め、Dolby VisionとDolby Atmosを体験できるスクリーンは現在17か国311スクリーンまで増えている。2026年に入ってからは、日本以外にも北米、欧州、アジアの各地域で導入が進んでいるそうだ。Dolby Atmosに限れば、導入予定を含めて111か国、8,625スクリーン以上に広がっている。尾崎氏は「単にスクリーン数や座席数を増やすのではなく、どんな体験を提供できるかがこれまで以上に重要になっている」と述べ、今回の三郷への導入もこの世界的な流れの中で実現したものであり、日本におけるDolby Vision+Atmos展開の重要な第一歩になると語った。
「BESTIA in Dolby Vision + Atmos」ロゴ
上映される作品の面でも、環境は整いつつある。Dolby VisionとDolby Atmosで公開済み、または公開予定の長編映画は930作品を超えた。過去5年間の世界興行収入上位50作品はすべてDolby Visionに対応しており、上位100作品のうち99作品がDolby Atmosに対応している。ハリウッド作品だけでなく、日本の実写やアニメ、音楽ライブや演劇などの非映画(ODS)作品まで対応ジャンルは幅広い。尾崎氏は「今回の導入は一度きりの取り組みではなく、今後も多くの作品を継続的に楽しんでいける環境になっていく」と期待を込めた。
黒の中の黒、体感する色彩と音響——デモ映像で体感したDolby Vision+Atmos
尾崎氏は、Dolby Visionを「単に映像を明るくする技術ではない」と説明する。深い黒や繊細な暗部表現、鮮やかなハイライト、豊かな色彩によって、制作者が意図した映像をより忠実に再現する技術だ。明るい部分だけでなく暗い部分に残された細かな表現まで見えることで、映像の奥行きがより豊かに感じられるという。一方のDolby Atmosは、高さ方向を含めた空間全体で音を表現する立体音響技術である。音が頭上を通過したり、前から後ろへ移動したりすることで、自然でリアルな没入感を生み出す。尾崎氏はその体験を「音を聞くことから、音を感じることへ」と表現した。
内覧会では、4分間のCGアニメーション『ESCAPE』をはじめとするデモ映像が上映された。『ESCAPE』で特に印象に残ったのは、真っ黒を表現できるからこそ可能になる、黒の中で黒いものが蠢く描写だ。闇に溶け込みそうな動きまでしっかり見て取れる。その一方で、鮮やかな色や光は暗部とのコントラストによっていっそう際立っていた。映画館では暗すぎる場面がよく見えないこともあるが、Dolby Visionは暗い中でも明暗の差をきちんと映し分けてくれるため、画面で何が起きているのかがわかりやすい。
音響面でも、Dolby Atmosの実力を実感した。デモ映像では、乗り物の走行音や爆発音の轟音を耳で聴くというより、体で感じるような立体的な迫力があった。それでいて、さまざまな音が同時に鳴る中でも、些細な音が一つひとつ粒立って聞こえる。迫力と緻密さを両立した音響は、まさに尾崎氏の言う「音を感じる」体験だった。
「BESTIA in Dolby Vision + Atmos」
Dolby Cinemaとの違いは「劇場ブランドと鑑賞環境」。優劣ではなく、新たな選択肢に
これまで日本でDolby VisionとDolby Atmosを同時に体験できる環境は、Dolby Cinemaに限られていた。では、BESTIA in Dolby Vision + Atmosは何が違うのか。尾崎氏はプレゼンの中で、よく受ける質問としてこの点に触れた。BESTIAは佐々木興業のプレミアムシアターブランドで、Dolby CinemaはDolbyのプレミアムシネマブランドだ。上映されるのはどちらもDolby VisionとDolby Atmosで制作された作品で、作品と使われている技術は共通している。違うのは“劇場のブランドと鑑賞環境”であり、尾崎氏は「これが最もシンプルな違い」と説明した。
合同取材では、県外などからもわざわざこの劇場を選んで足を運ぶ観客に向けて、BESTIAならではの個性やアピールポイントを尋ねた。佐々木社長は、Dolby Cinemaが「Dolbyが考える最高の劇場体験」であるのに対し、BESTIAは「我々のグループで考え得る最高の劇場を作るためのパッケージの一つ」であると答えた。そこにDolby Vision+Atmosという最高峰の機材を加えることで、これまでのBESTIAよりもさらに良いものを表現できると考えているという。
尾崎氏も「基本的に優劣はないと思っています」と話す。Dolby CinemaはDolbyがデザインまで手がけたプレミアムシアターのブランドだが、佐々木興業はすでにBESTIAという独自のプレミアムな空間を作り上げ、Dolby Atmosも採用していた。Dolby側としては、そこにDolby Visionを導入することで、BESTIAの価値を高める手伝いができればと考えているそうだ。
映像のスペックについての質問には、個別の機材については明かさなかったものの、「明るさやコントラストといったDolby Visionのスペックは、Dolby Cinemaとまったく同じです」と答えた。プレゼンで尾崎氏が語った「プレミアムな映画体験の形は一つではない」という言葉のとおり、BESTIAの魅力とDolbyの映像音響技術の組み合わせは、日本の映画ファンに新たな選択肢をもたらすことになる。
シネマコンでの直談判から3年——映写窓のガラス1枚までこだわった日本初の劇場
佐々木興業が運営する16劇場の中から三郷を選んだ理由としては、すでにDolby Atmosを備えていたことが大きい。何もない劇場にAtmosとVisionを一から入れるより、スムーズに進められると判断したそうだ。三郷は昨年開業したばかりで、グループとしてこのエリアにもう少し力を入れたいという思いもあったという。佐々木社長は「東京からは外れていますが、都内から来られない距離ではない」と話し、Dolby Cinemaやほかのプレミアムラージフォーマットを好む映画ファンにも、積極的に発信することで選んでもらえる場所だと考えている。
こだわった点を尋ねると、佐々木社長はスクリーンやプロジェクターだけでなく、客席後方の映写窓のガラスまでDolbyが指定したものを使用していると明かした。Dolby Visionを本来の形で表現するために、両社で最善を尽くしたという。「今この環境の中では、最高の映像体験、音響体験をしていただけるのではないかと思っています」と自信をのぞかせた。
プロジェクターのガラスまでこだわり © cula
ハリウッド新作、『鬼滅の刃』、ジブリ作品まで。多彩なラインナップがそろう
オープンを記念し、10月6日から8日までの3日間は、これまでDolby Cinemaで上映され好評を得た作品から4本を選んだオープニング特別上映が行われる。上映作品は『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『AKIRA』『オデュッセイア』。このうち『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、内覧会当日の18時から一足早く上映される。
10月9日からは、話題の新作3本がBESTIA in Dolby Vision + Atmosに登場する。トム・クルーズの最新作として注目を集める『DIGGER/ディガー』、砲撃や戦車戦の迫力を立体音響で味わえる『ガールズ&パンツァー 最終章 第5話』、そして『WEAPONS/ウェポンズ』のザック・クレッガー監督が手がけるサバイバルホラー『バイオハザード』だ。さらに10月16日からは『ストリートファイター/ザ・ムービー』、10月30日からはスタジオジブリの『耳をすませば』と『借りぐらしのアリエッティ』の上映も決まっている。
『DIGGER/ディガー』より © 2026 WBEI and Legendary
アクションやアニメ、ホラー、ファンタジーまで、ジャンルは幅広い。尾崎氏は「今後も話題作から名作まで、ここでしか味わえない映画体験をお届けしてまいります」と語った。
『バイオハザード』より
三郷から全国へ。日本初の環境が切り開く、新たな映画体験の可能性
今後、ほかの劇場への導入はあるのか。佐々木社長によると、今回の劇場が完成した際に尾崎氏とも、将来的な可能性を含めて話をしたという。「まずはここを宣伝することでDolby Vision+Atmosの認知を上げ、我々のほかの劇場にも導入できるようにしていきたい」と、今後の展開に意欲を見せた。
尾崎氏はプレゼンの最後に、今回の導入を、世界で広がるDolby VisionとDolby Atmosが、佐々木興業の培ってきたBESTIAと出会ったことで実現した取り組みだと語った。「日本初となるこの環境から、多くのお客様に新しい映画体験をお届けできることを、私たちも非常に楽しみにしております」。三郷で始まった新たなプレミアム体験が、どこまで広がっていくのか注目したい。
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