113分、笑ってしまうほど、もう限界試写会
日時:9月7日(月)
会場:ヒューマントラストシネマ渋谷スクリーン2
登壇:ゲスト 大九明子(映画監督)、ゲスト兼MC SYO(物書き)

第75回ベルリン国際 映画祭銀熊賞(主演俳優賞)、第83回ゴールデン・グローブ賞最優秀女優賞(ミュージカル/コメディ部門)を受賞し、第98回米アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされるなど、世界の映画祭・賞レースを席巻した話題作『ワンオペレーション』(原題:If I Had Legs I’d Kick You)が、2026年9月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開となります。
『ワンオペレーション』

この度、 映画『ワンオペレーション』の試写会【『ワンオペレーション』113分、笑ってしまうほど、もう限界試写会】を開催し、物書きのSYOさんが司会を務め、 映画監督の大九明子さんが登壇。トークでは、極限状態を捉えるクローズアップや、緊張感のなかに突然差し込まれる可愛らしい音、ローズ・バーンの繊細な演技、そしてラストで訪れる“視点の反転”まで、本作に仕掛けられた演出を徹底解剖。自身の作品にも通じる“怒り”への共感を交えながら、「本当に優れた素晴らしい映画」と絶賛した。
ワンオペレーション

上映直後、SYOさんが「この作品を観て、笑ってしまった方は?」と観客に問いかけると、手を挙げたのはおよそ半数。一方、大九監督は「皆様とご一緒に拝見したんですけれど、すごい緊張感だった」と会場の様子を振り返った。オンライン試写で一度鑑賞していたものの、劇場で改めて観ると「音の再現性とか全然違いまして」と、音による違いも感じたという。

“しんどさ”を描きながら、ものすごく楽しんで作っている映画

SYOさんが、主人公リンダを捉える極端なクローズアップについて「当事者のしんどさみたいなものを体験させる映画でもある」と語ると、大九監督は、個人の辛さを表現するためのひとつの手段として、「クローズアップばかりを撮る」カメラワークがあるのではないかと語った。
ワンオペレーション
一方で大九監督は、本作を「ものすごく楽しんで作っている映画」だと感じたという。激しい場面に突然キラキラとした可愛らしい音が入る演出について、「ものすごいものを、激しいものを表現しようとすればするほど、ちょっとふざけたり、ちょっと可愛くしたりしたい」と、自身の感覚とも重ねてコメント。幻のように現れる光の表現にも触れ、「一つ一つがとても可愛らしくて、そういうところもとても楽しい」と語った。

SYOさんは、大九監督の過去作に触れながら、本作との共通点について話を振り、「『勝手にふるえてろ』との共通点があるのかもしれない」とコメント。大九監督はそれを受け、本作の冒頭に原題「If I Had Legs I’d Kick You(足があったら蹴ってるわ)」という言葉が赤字で大きく映し出される場面が印象的だったと語り、自身も「以前はもっと“怒り”があった、その怒りをスクリーンに叩きつけるような表現を楽しんでいたので、本作のブロンスタイン監督もその感覚があるのではないか」と語った。
ワンオペレーション
SYOさんはさらに、リンダが周囲から差し伸べられた手を払いのけたり、モーテルの店員にきつく当たったりする姿に触れ、「『かわいそうでしょ』って描いていない感じ」「好かれようとしていない感じが非常にリアル」とコメント。主人公を単純に“かわいそうな人”として描かない本作について共感した。

A24作品を数多く手がけてきたスタッフが参加している本作について、SYOさんは、A24作品に通じる魅力として、「地べたを生きてる人のこの切れ気味な感じに、物語的・寓話的な面白さを混ぜてくる」と述べ、「これがあなたたちの 映画なんですと作家性を押し出してくるような感覚がある」と語る。大九監督も「久々に“らしい”やつが来たなって感じがしました」とコメント。続けて「編集や音の付け方、ゆっくりとカメラを動かすような演出など、私もすごい好きでやっちゃいます」と笑顔で明かした。さらに、極限まで張り詰めた場面の直後に、楽しそうに歌う場面へ切り替わる構成についても触れ、「場面があっちこっちへ行ってしまう、それがまさに日常のリアルさを感じさせる演出でした」と称賛した。

続いて、主人公リンダを演じるローズ・バーンの演技について、大九監督は、片方の目や頬の筋肉をわずかに動かす細やかな表現に注目。「本当にそのほっぺの筋肉だけを上手に動かして」と絶賛し、「どうやって自分を追い込んでやっていったんだろう」と、その演技に驚きを見せた。SYOさんも、カメラが極端に近い距離まで迫るなか、リンダ自身は必死で切迫しているにもかかわらず、「ちょっと笑えちゃう」という絶妙なバランスを指摘。

ラストで“視点がひっくり返る”。そして、観たあとに話したくなる映画
ワンオペレーション
終盤では、ラストシーンで、今まで見えてこなかったことが現れる、その解釈についての話題に。SYOさんが「ようやく視野が広がったのかな」と語ると、大九監督も「視点がひっくり返ったということ」なのではないかと共感した。海などの開けた場所が登場することにも触れ、それまでの「息苦しさ」から「抜ける感じ」についても語った。

本作が観る人に何を問いかけているのかと問われると、大九監督は「問いかけてるの?」と笑いながらも、本作は「色々話したくなる映画ですよね、作者の作為的な遊びについても、あれってなんなんだろうね、と。邦題の通りワンオペレーションを経験したことがある方も気づきがあると思います。」とコメントした。

最後に大九監督は、「気に入らないなって思う方もいるでしょうし、気に入ったなって思う方もいるでしょう。でも、それこそが優れた 映画だと私は思います。」とし、続けて「私は本当に優れた素晴らしい映画だと思いました」と絶賛。観客に向けて、映画について感じたことを周囲の人にも伝えてほしいと呼びかけ、イベントを締めくくった。

9月18日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

物語
家事と育児、セラピストの仕事に追われるリンダは、原因不明の病を抱える幼い娘の世話に追い詰められていた。顧客の患者への対応、娘の担当医からの叱責、出張中の口うるさい夫からの電話──休まる暇もない日々の中、自宅アパートの天井が突然崩落し、娘とともに海辺の格安モーテルへ移り住むことに。誰にも頼れない孤独のなかで限界を迎えた彼女は、思いもよらぬ事態へと飲み込まれていく──。
ワンオペレーション監督・脚本:メアリー・ブロンスタイン
出演:ローズ・バーン、コナン・オブライエン、エイサップ・ロッキー、ダニエル・マクドナルド
2025年/アメリカ/英語/113分/2.39:1/5.1ch/カラー/原題:If I Had Legs I’d Kick You/日本語字幕:堀上香/配給:東京テアトル、シンカ
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