7月19日(日)に映画『チルド』の公開記念 舞台挨拶が実施され、脚本・監督を務めた岩崎裕介監督と、劇伴および主題歌を担当した音楽ユニット・PAS TASTAより、hirihiri、Kabanagu、phritz、ウ山あまねが登壇。

 7月17日に公開を迎えた心境について聞かれた岩崎監督は、「初めて長編映画を作ったということで、お金をかけて、時間をかけて作った作品を皆さんに観ていただき、最後までご覧になった方が目の前にいる状況が非常に光栄なのと、恐縮なのと、ハッピーです」と笑顔で挨拶した。
約1年にわたり本作の劇伴・主題歌制作に携わったウ山あまねは、「去年から劇伴と主題歌の制作をさせていただいて、1年間ぐらいずっと作っていたので、多くの人に観てもらえてとてもうれしいです」と公開を迎えた喜びを語る。Kabanaguは「SNSが大好きなのでずっとタイムラインを見ているんですが、『チルド』の好評ぶりが伝わってきて気持ちがいいなと思っています」と、公開後の反響に触れた。hirihiriは「まさか舞台挨拶まで参加させていただけるとは思っていなかったので、本当にありがたいです。これから皆さんの感想を見るのが楽しみです」と期待を寄せた。
一方、phritzは、岩崎監督との初対面を振り返り、「普通の会議室に監督が大きなキャラメル・ポップコーンを持って入ってこられて、それがすごくおいしかったのを覚えています。そんなラフな感じで始まったので、こんな規模の作品になるとは思っていませんでした」と笑いを誘った。

 PAS TASTAのメンバーが初めて作品を観た際の印象についてもトークを展開。ウ山あまねは「堺がかわいそうだと思いました」と切り出し、「怖い 映画を作ろうとして作った作品だと思って観始めたのですが、『怖がっていいのか分からない』シーンがすごく印象に残りました。煮え切らないバランスや居心地の悪さが、多くの人の印象に残る映画なんじゃないかと思いました」と作品の独特な空気感を語る。Kabanaguも「大真面目なのか、ふざけているのか判別できない感じというか、笑ってほしいのか怖がってほしいのか、本当に分からなかったのが率直な感想でした」と振り返った。hirihiriは、コンビニのバックヤードの描写を挙げ、「表はすごくきれいなのに、裏側はああいう雰囲気で、これまでもこれからもずっとこういう感じなんだろうなという停滞感がすごく好きでした」と印象的なシーンを明かした。一方で、ホラーが苦手だというphritzは、撮影現場にも見学に来てくれていたものの、「ホラーがとにかく苦手で、まだ完成した本編を観られていません。(劇伴は完成と並行して制作していたので)映像を見ながら制作していました。全編を通してずっと不穏だけど、怖さに振り切っているわけでもなく、ずっとそわそわする。その不思議な心地よさを感じました」と楽曲制作時の印象を語った。

 岩崎監督はPAS TASTAにオファーした理由について、「大ファンだったからです」と即答。「以前、CMでhirihiriさんに音楽をお願いしたこともありましたし、それぞれ個人でも活動していて音楽性の幅がある。ノイズやアンビエントも好きなので、その表現力なら作品の怖さのチューニングもお願いできると思いました」と信頼を寄せた理由を説明した。
さらに、「最初は純粋なホラーとして考えていたんですが、人物を掘り下げていくうちに作品が別の方向へ蛇行していった。そのバランスを音楽で調整する必要があったので、その対応力にも期待してお願いしました」と制作意図を明かした。

 劇伴制作については、Kabanaguが「パートごとに担当を分けて制作しました。『ここはこの人が向いていそう』という形でそれぞれが担当し、主題歌は全員で編曲しました」と制作スタイルを紹介。劇中で流れるコンビニ店内の楽曲については、「もともとはインストの予定でしたが、どうしても歌を入れたくて、自分からやりたいと言って制作しました」と振り返り、岩崎監督も「歌詞もほとんど直さなかった。最高でした」と絶賛した。
またこの日は欠席となったPAS TASTAメンバー・quoreeについても話題に。ウ山あまねが「一番仕事をしたのは、今日ここにいないquoreeです。アンビエントを担当していました」と紹介すると、岩崎監督も「依頼する時から個人的によく聴いていたので、quoreeさんのイメージも強かった」とコメント。劇中の不穏な空気を支えるアンビエントサウンドにも、PAS TASTAそれぞれの個性が生かされていることが語られた。

 続いて、話題は主題歌制作へと移り、これまでPAS TASTAが発表してきた楽曲との違いについて、phritzは「これまでの曲は明るくて元気な“若者パワー”みたいなものが多かったんですが、今回は今までやったことのない曲調でした」と振り返る。「ジェームズ・ブレイクや、レディオヘッドのような雰囲気をイメージしながら制作しました」と明かした。
岩 崎監督は主題歌のオーダーについて、「具体的なリクエストはほとんどしていません」と説明。「『ぬるま湯にいたい』『でも堺はこれから人生を進んでいく』というような抽象的なキーワードだけをお伝えしました」と振り返り、「曲が上がってきた時は『こんなものが来るんだ!』と驚きました」と完成した楽曲への率直な感想を明かした。
これを受けてウ山あまねは、「堺がああいう生き方を選んだことは、これはこれで肯定してあげないといけないと思いました。 映画を観終わった後に流れる曲だからこそ、少し鬱陶しく感じるくらい寄り添うような距離感を意識しました」と、主題歌に込めた思いを語った。

 そして岩崎監督はPAS TASTAとの制作においてのコミュニケーションについて、「僕はアーティストの皆さんにお願いする時は、最初だけ目線合わせをして、あとは『フルスイングしてください!』というスタンスです」とコメント。「作家性が強い一方で、俯瞰して作品を観てくださる力や対応力もあって、本当にお願いして良かったと思いました」と信頼を語った。さらに、「監督が細かく指示を出すのではなく、一度託してみることで、自分の想像を超えるものが返ってくる。それが今回できたことがすごく良かったです」と、今回の制作を振り返った。
これに対し、ウ山あまねは約1年に及んだ制作期間を振り返り、「ずっとライフワークのように続いていたので、終わった時は達成感と少し寂しさもありました」とコメント。「こうして作品になって、多くの方に観ていただけるタイミングを迎えられて、本当に楽しかったです」と笑顔を見せた。

イベントの最後には、それぞれが本作の見どころを紹介。phritzは、劇中に登場してくる全身ゴム製の被り物をした”自分らしくいたい人”を上げ、「暑い時期の撮影で本当に大変そうでした」と撮影時を振り返った。hirihiriは「店長の笑顔」が印象的だったと語り、「絶妙な気持ち悪さがあって、すごく好きでした」とコメント。Kabanaguは、劇中に登場するサラダチキンや登場人物同士の会話を挙げ、「サラダチキンも冷静に見ると結構気持ち悪いし、お互いがどうでもいいと思っている人同士の会話の間や所作を、ここまで見せつけられると居心地が悪くなる。でも 映画を観終わると、それまで別々に認識していた違和感が一つにつながる感覚があって、すごい作品だと思いました」と作品の魅力を語った。ウ山あまねは、自身が最も感情移入したキャラクターとして、声優志望の今井を挙げ、「この人、俺だと思って観ていました」とコメント。「頑張っているのにどこか空回りしてしまう、気持ち悪い空回りの仕方ってあると思うんですけど、自分もそういうところがある」と共感を明かし、「これから観る方は、そんな視点でも楽しんでもらえたら」と呼びかけた。

 最後に岩崎監督は、「僕自身の実感をそのまま映画にした作品です。起承転結をしっかり作るよりも、地続きの日々を描きたかった」と本作への思いを語る。「自分の弱い部分や恥ずかしい部分をさらけ出すような作品でしたが、PAS TASTAの皆さんがエンターテインメントとして仕上げてくださり、皆さんにも観ていただけたことが本当にうれしいです」と感謝を伝えた。
「これからもNOTHING NEWと一緒にもっと良い作品を作っていきたいと思っています。『チルド』がお口に合った方は、コンビニに行くたびに(この映画を思い出して)嫌な気持ちになっていただけたらうれしいです」と締めくくり、公開記念イベントは温かな拍手に包まれながら幕を閉じた。

映画『チルド』7/19(日)公開記念 一夜限りのDJイベント

 出演者:PAS TASTA(本作劇伴・主題歌担当)よりhirihiri、Kabanagu、phritz、quoree、ウ山あまね

映画

 またPAS TASTAは本作のポップアップ「エニーマート六本木駅前店」 にて 一夜限りのDJイベントも開催した。
劇中の世界観を再現した不気味で異質な空間が、この日限りはPAS TASTAのDJによって熱気に包まれ、 映画ファンや音楽ファンが入り混じる特別な夜となった。
会場時間を迎えると「エニーエニーエニーマート♩」という劇中のコンビニテーマソングとともにエニーマートの制服も着用した5人が入場。

 映画『チルド』においてホラー映画の音楽制作に初めて挑戦したPAS TASTAは、本作の劇伴楽曲を織り交ぜながらDJプレイを披露。来場者は映画の余韻とクラブミュージックが交錯する、この日だけのコラボレーションを思い思いに楽しんだ。

 最後の曲は主題歌「無限の国」で締めくくられ、映画の世界観と音楽が融合した、一夜限りのスペシャルイベントは大きな盛り上がりのうちに幕を閉じた。

 なお、映画『チルド』の世界観を体験できるポップアップ「エニーマート六本木駅前店」は、六本木のTANAMAX(住所:東京都港区六本木7丁目19番9号 VORT六本木ビル 1F)にて7月20日(月)まで開催中。映画『チルド』の世界観を再解釈し制作された“何かがおかしい”店内を楽しみながら、実際にAnyMartオリジナルグッズを購入できる空間となっている。

『チルド』©『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)

出演:染谷将太
唐田えりか 西村まさ彦
くるま 長島竜也監督・脚本:岩崎裕介
プロデューサー:林健太郎 下條友里 井上淳
企画・プロデュース:NOTHING NEW
制作プロダクション:東北新社
配給:NOTHING NEW
©︎『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)Instagram : https://www.instagram.com/NOTHINGNEW_FILM/

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