最高高度16,000フィート(約4,800メートル)、逃げ場ゼロの上空を舞台にした超上空・超密室サバイバル『タービュランス 絶空16,000フィート』が7月10日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中。この度、制作秘話とメイキング写真が一挙解禁された。

イタリアの世界遺産ドロミーティ(ドロミテ)山脈を熱気球で横断するツアーに参加した夫婦、ザックとエミー。そこへ謎めいた女性ジュリアが同行し、3人は地上を遥かに見下ろす高度へと上昇していく。しかし、上空に差し掛かった瞬間、ジュリアは突如ザックの不貞を暴露し、ナイフを手に狂乱状態へ。壮絶な痴話げんかに巻き込まれた操縦士はゴンドラから転落し、無線は断線、バーナーは出力全開のまま暴走。熱気球は操縦不能となる。

操縦士不在のまま気球は酸欠寸前の高度16,000フィート(約4,800メートル)に達し、そこから急上昇と急降下を繰り返す。バルーンを裂くほど鋭い岩肌の山腹、突発的な暴風雨、乱気流(タービュランス)など、自然の脅威が次々と襲いかかる。狭いゴンドラの中で助け合うどころか互いを罵り合う3人。極限状況の中で事態は容赦なく彼らを追い詰めていくーー。

監督は、幅広いジャンル映画を手がけ、『エア・ロック 海底緊急避難所』(24)では飛行機×サメという異色スリラーで注目を集めたクラウディオ・ファエ。さらに、『FALL/フォール』(22)、『海底47m』シリーズ(17・19)、『ブラック・クローラー』(20)など、シチュエーション・スリラーを熟知したプロデューサー&脚本陣が参加。ジャンルの名手たちが“未踏の気球パニック”に挑み、新たな恐怖を創出する。キャストには『移動都市/モータル・エンジン』(18)のヘラ・ヒルマー、『戦火の馬』(11)主演のジェレミー・アーヴァイン、エミー賞受賞のケルシー・グラマー、ボンドガールとしても知られるオルガ・キュリレンコら実力派が集結。極限状況のドラマに確かな厚みをもたらしている。

ザックとエミーの熱気球デートは、ザックの過去とつながる謎の“第三の乗客”の出現によって一変し、ロマンティックな空の旅は心理戦と生死を賭けた攻防へと姿を変える。ケルシー・グラマーをはじめ、ヘラ・ヒルマー、ジェレミー・アーヴァイン、オルガ・キュリレンコら実力派が揃い、観客を最後の瞬間まで翻弄するスリラー『タービュランス 絶空16,000フィート』。

クラウディオ・ファエ監督は、この企画に向き合った最初の瞬間から「これは簡単な撮影にはならない」と覚悟していたという。「ほぼ全編が熱気球の中で展開する映画なんて、普通に考えて無茶ですよね」と監督は笑う。「でも、その無茶さこそが魅力でもあったんです。空の美しさと、そこで起きる密室劇の緊張感。そのギャップをどう映像化するかが挑戦でした」。

熱気球は観光には理想的だが、映画撮影となると話は別だ。風に流され、制御が効かず、思い通りに動かせない。監督は「熱気球は本当に気まぐれなんです。風がすべてを決めてしまう。だから“本物をそのまま使う”という選択肢は最初からありませんでした」と語る。そこでチームが選んだのが、実物と人工物を巧みに組み合わせるハイブリッド方式だった。キャメロン・バルーンズ社が製作したバスケットとスカート部分だけの特注リグをクレーンで吊り下げ、俳優が実際に触れ、揺れを感じられる“半分だけ本物”の熱気球を作り上げた。

一方で、熱気球から見える壮大な空の景色は、実際の熱気球ではなく、ドロミーティ山脈に飛ばしたドローンが担った。監督は「ドローンを飛ばして、空の“本物の息遣い”を撮りました。あれが作品の背骨になっています」と振り返る。こうして撮影された空撮映像は、後にブルースクリーンの背景として合成され、物語の舞台となる“空の世界”を形づくった。

しかし、ブルースクリーンにはどうしても“人工的な匂い”が残る。ファエ監督と撮影監督ハイメ・レイノソは、その無機質さを徹底的に排除するため、三つの方針を掲げた。「手持ちで撮ること。アナモフィックレンズを使うこと。そして、撮影監督がバスケットの中に入ること。この三つは絶対に譲れませんでした」と監督は語る。

レイノソは俳優と肩が触れ合うほどの距離でカメラを構え、空間を“外から撮る”のではなく“内側から体験する”ように撮影した。「狭いバスケットの中で、毎朝まず動線を確認して、マスターショットを決めるんです。でもそこから先は、俳優とカメラに任せました。テイク中にパンしたり寄ったり、反応を拾ったり。あの即興性が、閉ざされた空間に“生きた空気”を与えてくれたんです」。

作品の中でもひときわ緊迫感を放つ嵐のシーンは、まるで別作品のような規模で撮影された。三日間にわたり風と水が容赦なく吹きつけ、俳優たちは濡れ続け、寒さと戦いながら演技を続けた。監督は「あれはもう、撮影日という名の“非常に濡れる持久戦”でした」と苦笑する。「俳優たちは本当に大変でしたよ。だからセット脇に移動式サウナを置いて、体を温めながら撮影を続けました」。

自然では再現できない部分はCGIが補い、実景とデジタルの境界を丁寧に馴染ませていった。編集を担当したタムシン・ジェフリーは、全シーンをブルースクリーン版と完成版の二度編集するという異例の作業に挑んだ。「まず演技を基準に編集して、そこに空撮プレートやVFXが入ると、またリズムが変わるんです。だからもう一度切り直す必要がある。タムシンは本当に忍耐強くて、技術的な嵐の中心で常に冷静でした」と監督は称える。

『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』のような大規模空中アドベンチャーと比べれば、本作の予算は決して潤沢ではない。しかしファエ監督は、制約を嘆くどころか、むしろ創造性を加速させる燃料として受け止めた。
「制約があるからこそ、工夫が生まれるんです。実際の空撮、クレーン吊りのリグ、手持ちの親密なカメラワーク、必要最小限のCGI、そして俳優の身体性。全部が噛み合って、低予算に見えないスリラーになりました」。

本作を特別な作品にしているのは、物語だけではない。その裏側には、空撮の知恵、現場の工夫、技術と情熱のせめぎ合いが詰まっている。ヘリで撮った大自然、クレーンに吊られた半分だけの熱気球、手持ちカメラの息遣い、嵐の中で震える俳優とサウナで温まる俳優、そして編集室で嵐を鎮める編集者。監督は最後にこう語る。「数々の制約は、映画を縛るどころか、むしろ作品を空へと押し上げてくれました」。

併せて解禁となったメイキング写真では、一面に広がるブルースクリーンの中、大きな気球が鎮座する大掛かりなスタジオセットの全貌をはじめ、キャストたちの仲睦まじい素顔や、緊張感あふれる撮影の舞台裏まで余すことなく切り取られている。

映画『タービュランス 絶空16,000フィート』

監督:クラウディオ・ファエ『エア・ロック 海底緊急避難所』
脚本:アンディ・メイソン『海底47m』『海底47m 古代マヤの死の迷宮』(製作総指揮)
製作総指揮:バリー・ブルッカー『FALL/フォール』
音楽:マーカス・トランプ
撮影:ハイメ・レイノソ
出演:ヘラ・ヒルマー『移動都市/モータル・エンジン』、ジェレミー・アーヴァイン『戦火の馬』、ケルシー・グラマー『エクスペンダブルズ3 ワールド・ミッション』、オルガ・キュリレンコ『007/慰めの報酬』
2025年/イギリス・アメリカ/英語/カラー/シネマスコープ/95分/原題:TURBULENCE/字幕翻訳:額賀深雪 配給:彩プロ
公式サイト

ABOUT ME
エンタメスクリーン
映画を中心に繋がる、アニメ・音楽・ファッション・スポーツとエンターテイメントなイベントをリポート ニュースも掲載しております。イベント取材・内覧ニュース掲載は こちら release.ensc@outlook.jp編集部にご連絡ください。