全国公開中の『劇場版モノノ怪 第三章 蛇神』。

5月30日(土)に都内映画館で公開記念舞台挨拶を実施し、声優の神谷浩史さん
・榊󠄀原良子さん・細見大輔さんに加え、全三章にわたり主題歌を担当したアイナ・ジ・エンドさん、越田知明監督、中村健治総監督が登壇。シリーズ最終章の公開を観客と一緒にお祝いしました。

6人は大歓声を浴びながら登場した。モノノ怪を斬り祓う力を持つ「退魔の剣」を携える謎多き主人公・薬売り役を演じる神谷は「ようこそ、劇場に足を運んでくださいました」と観客に感謝。

大奥の警備を司る広敷番(ひろしきばん)・坂下役の細見は、司会を務めた荘口彰久から髪がピンク色であることについて話題を振られると、「坂下はイメージカラーがピンク。今日は“衣装の差し色にピンクを”とリクエストがあったんですが、衣装を買うお金がなかったので、頭をピンクにしてきました」と茶目っ気たっぷりに説明し、会場の笑いを誘った。

主題歌を担当したアイナ・ジ・エンドは菊柄のあしらわれた艶やかな黒の振袖姿を披露し、「かわいい!」と声援を集めていた。

いよいよ最終章となる本作の注目ポイントについて、神谷は「全部が見どころ」だと力強くアピールした。

第一章、第二章と物語は深化しつつ、「第三章では、大奥がなぜ生まれたのか。そしてなぜ、大奥に蛇神というモノノ怪が巣食っているのかまでお見せする。観たいものがすべて詰まっている。1分1秒、逃すことなく観ていただきたい」とすべての謎を解明していくと語る。

さらに「展開が速く、映像の洪水」だとアクションや映像の濃密度にも太鼓判を押しながら、「第三章は、1回目は“すごい!”と圧倒されて観た。2回目に観て、“そうか、そうだよね”と理解を深めた。この想いを抱えながら、第一章からもう1回観たら、また全然違う見え方をするだろうなと思いました」とシリーズをリピートすることで、理解や発見が深まるはずだと持論を述べた。

入野自由演じる天子の母であり、事実上大奥において最も影響力を持つ水光院役を担ったのが、榊󠄀原だ。榊󠄀原は「録り終わって2~3日寝込みました。体力を使いました」と明かして、会場を驚かせた。

続けて榊󠄀原は「毎回いろいろな役をやらせていただくんですが、今回は久々に人間の女性の役をやらせていただいた。研究をして、役作りを深めて練習した。どうしても全力投球しないとできない役だった」と難役を熱演したアフレコを回顧。

シリーズの生みの親である中村総監督は、第三章『蛇神』の監督である越田監督ともども、「榊󠄀原さんが大好き」とかねてより大ファンだったとのこと。

素直な告白に周囲が笑いに包まれる中、中村総監督は「榊󠄀原さんが大好きすぎて。僕らは、それを抑えて仕事をしていた。榊󠄀原さんが一言セリフを話された後にセッションしたりとすごく集中していたんですが、本音は“榊󠄀原さんがいる!”みたいな感じ。素人の僕らと、プロの僕らがせめぎ合っていた」とあふれそうになるファン心を抑えながら仕事に打ち込んだと振り返りつつ、「終わった後に、“絶対にサインをもらおう”と思った。台本とペンを持ってサインをもらいに行こうとしたら、スタッフのみんなが“ずるい!”と。スタッフが列になっちゃって。榊󠄀原さんが一人一人に、名前まで書いてサインをしてくれた」と感激しきり。

収録後に榊󠄀原が「寝込んだ」という話を耳にして反省した中村総監督だが、「ウキウキ、ときめいていた」とステージでも榊󠄀原愛を隠しきれなかった。

中村総監督のトークに笑顔を浮かべた神谷は、「榊󠄀原さんのお芝居が、本当にすごかった。(常磐井役の)平野文さんと2人のシーンは怖くて観ていられないなと思った。たまらない。ゾクゾクしました。最高でした」と熱っぽく賛辞を重ねていた。

また章を進めるごとに、薬売りと坂下の関係性にも変化が生まれ、2人の絶妙なコンビネーションも多くのファンを魅了している。坂下役の細見は、「裏のテーマは、坂下と薬売りの恋愛関係というか…(笑)。2人がどう心を通わせていくか」とキャラクターの関係性に触れ、にっこり。

「大奥と薬売りを繋ぐ、唯一のポジションが坂下。同時に、観ている方々と、この作品を繋げるのも坂下だと思っている」と坂下の役割について言及し、「特に三章は、“これは私なんだ”、“坂下は自分だ”と思って観ていると、そういう気持ちの流れで最後まで観ることができると思う。そこに注目していただければ」とオススメの鑑賞方法を伝えた。

神谷は、坂下について「ありがたい存在。ほぼ唯一、薬売りにとって協力的な人。坂下が大奥にいる人たちから信頼を得ているからこそ、坂下が薬売りを信頼しているようなそぶりを見せると、“そうなんだ”という想いが広がっていく」と坂下を通して大奥での薬売りの居場所が形作られていると話し、「第三章ではどうなるのか」と期待を込めていた。

『劇場版モノノ怪』三章すべてにおいて主題歌を務めてきたアイナ・ジ・エンドは、「2022年くらいから、『劇場版モノノ怪』に携わらせていただいている。自分の人生の中でも大きな過渡期を、一緒に過ごしてきた感覚があります」と本シリーズに寄せる特別な心情を口にした。

シリーズ最後の楽曲となる「No Epilogue」に込めた想いを尋ねられると、「終わってしまうのが寂しくて」と目を細めながら、「シンプルにその気持ちから、『劇場版モノノ怪』のキャラクターたちも、このままずっと生きていたらいいなと思って。『No Epilogue』というタイトルで書き進めていきました」とコメント。

「歌詞に“唐傘”や“火鼠”、“蛇神”を入れています。“蛇神”なら、“ヘビー”という重さで例えていたり、いろいろな比喩表現がある。『劇場版モノノ怪』を好きなあなたにとっては、面白おかしく味わっていただけるように書いてみました」とこれまでのシリーズを噛み締めることができるような楽曲になっていると続け、「会場を出られる時には、“こういうことだったんだ”とわかってもらえる気がする。ぜひ愛していただけたらうれしいです」と願っていた。

第三章を制作する上では、越田監督は「『モノノ怪』には愛が深く、大切に思ってくれている方が多い」とファンの存在を思い浮かべながら、「皆さんが観ても、納得してもらえるようなものにしなければいけないというのが大前提」と覚悟したことを述懐。

「劇場3作品に関しては、ものすごい情報量が押し寄せてくるような作品。画面の端、遠くにいるようなキャラクターたちまで、気を配って作らせていただきました」と隅々までこだわりを込めたと胸を張る。

全三章、濃密な世界観を鮮やかに広げながら、壮大な物語を完結させた中村総監督は「いろいろなことがあった。最終的には僕自身、ものすごく楽しかった」と充実感を握りしめながら、「またやれたらいいなという気持ちもある。どうなるのかなという気持ち」と未来に目を向ける一幕もあった。

最後に神谷は「『劇場版モノノ怪』が終わります」と改めて強調。「見事なまでに終わっていきます。皆さんが観たいものが詰まっている。劇場という作品を楽しむためだけにある、贅沢な空間で楽しんでいただけたら。押し寄せる映像の渦に巻き込まれ、最後のメッセージまで受け取っていただけたら幸いです」と晴れやかな表情を見せた。

榊󠄀原は「ご覧になると、いろいろな感情が湧き起こってくると思います。それに没入してくれるといいなと思っています」、

細見も「第三章は、“あのシーンをもう一度観たい”という気持ちがさらに高まる作品」と約束。

そして越田監督は「スタッフ一同、キャストさんの多大なる献身と情念が詰まった作品」だと紹介し、

アイナ・ジ・エンドが「SNSでつぶやいてもらったら、私も監督もエゴサーチすると思うので。よかったらお言葉を聞かせてください」と感想を楽しみにすると、

中村総監督も「皆さんの感想を読もうと思います。叱咤激励も含めて、皆さんの気持ちを受け取っていけたらなと思います」と目尻を下げ、「今後も『モノノ怪』をよろしくお願いします」とメッセージを送った。

会場からは、シリーズ完結を祝福するかのような温かい拍手が上がっていた。