史実に残る〝UMA目撃情報〟から生まれた、新たなる半魚人伝説。ディーン・フジオカ主演作で第二次大戦下、インドネシア近海の無人島で繰り広げられるクリーチャー・ホラー『オラン・イカン』が、5月22日(金)よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国公開となります。
この度、第38回東京国際映画祭でのディーン・フジオカさんとマイク・ウィルアン監督が登壇した舞台挨拶のレポートをお届けします。

第38回東京国際映画祭のガラ・セレクション部門に選出された『オラン・イカン』公式上映後に、マイク・ウィルアン監督(監督/脚本)、ディーン・フジオカさんが登壇し、Q&Aが行われました。

マイク・ウィルアン監督(以下、監督):今日は、私が非常に尊敬するディーンさんが一緒に登壇してくれています。彼はスター俳優であるだけではなく、私にとっては、作品を一緒につくるコラボレーターであり、仲間です。次回作も一緒に撮りたいなと思っております。そして、制作に関わったクルーの皆さんにお礼申し上げたいと思います。

ディーン・フジオカさん(以下、ディーンさん):斎藤役を演じましたディーン・フジオカです。先ほど(監督に)コラボレーターという形でご紹介いただきましたが、実は、 途中から自分もプロデューサーの1人としてこの作品に関わることになり、この作品を皆さんにお届けできるということを心から嬉しく思います。“オラン・イカン”がなんなのかというね。寿司、刺身、トロなどいろんな説がありますが(笑)ご自身の目で作品を観て確かめてみてください。

市山尚三プログラミング・ディレクター(以下、市山PD):僕は、本作にプロデューサーとして参加している映画監督のエリック・クーさん(以下、エリック監督)からこの作品の話を聞きました。内容は知らずに「モンスター映画」とだけを聞いて映画を観たので、本当にびっくりして、また納得もしたんですが。この映画の設定の発想は一体どこから来たのでしょうか。


©2024 TIFF

監督:エリック監督も私もモンスター映画が大好きなんです。『大アマゾンの半魚人』という作品がそのきっかけになりました。オラン・イカンはマレーシアに伝わる民話です。あまり知られていないので調べてみると、インドネシアの東に位置する、ケイ諸島(カイ諸島)で、戦争中の日本兵がオラン・イカンを観たという報告があると分かりました。それを知って、アジア人として自分たちなりの『大アマゾンと半魚人』を作りたいと思ったんです。第二次世界大戦を背景に、人間の悲劇や人間性、友情、家族愛といった要素を描いたような作品としてです。この作品はホラー映画ではありますが、それだけではなく、クリーチャーと人間の関係性やつながりを描いた、ホラーを超えた作品をつくりたいという思いがありました。

ディーンさん:最初に脚本を読んだとき、もちろんホラー映画やパニック映画、そして戦争映画、そうしたイメージも持ちましたが、それ以上に、ハートが揺さぶられる物語だというのが第一印象だったんです。

──Q:本作ではオラン・イカンという神話を用いて物語を描いていますが、今の人間に神話は必要だと思いますか。
監督:どの国にも、こうした神話はあると思います。半魚人の神話というものは世界中に存在しています。知らないものへの恐怖や畏敬の念は脈々と何世代も引き継がれるものです。見ていないからこそ伝わっていくんですね。ただ、このオラン・イカンは、日本兵が見たという記録が残っており、それが意味する文化的な要素が加わっています。アジアにおける歴史と、民話が融合した作品です。


©2024 TIFF

──Q:ディーンさんは俳優としてアクションに力を入れていますが、その原動力はなんですか。
ディーンさん:ずっとアクションやスタントをやってきて、今回、斎藤というキャラクターがその要素を必要としているキャラクター設定だったので、自分としてはすごく自然な形で、ブレンドさせていきました。今までアクションをやってきたことが、斎藤のために何かを準備したり決められたアクションワークをやるという意味ではなくて、むしろ、人間がサバイブする生存本能によって、どういう一挙手一投足をとるかを表現するという意味で、とても自然な反応を得られたことが良かったのかなと思いました。
前回東京国際映画祭へ参加させていただいたのは、確か2007年とか8年でしたよね。その時自分は中華圏をベースに活動していて。その時は日本で仕事をしたことはなかったのですが、当時は本当に無計画だったので、俳優のキャリアがこんなに長く続くとは思えずにいて。衝動のままに動いたなかで色々な願いに導かれて、色々な国に渡り、そうして、この度めぐりめぐって監督のマイクと出会い、東南アジア、シンガポール、インドネシアを中心とした今回のプロダクション作品と出会いました。自分はインドネシアには、とても縁が深い人生なので、そこで、映画クルーが体を張り、命をかけて頑張って作った作品を、こうした形で、代表して監督と一緒に皆さんにお届けできるということが、ひとつの奇跡のような感慨深い気持ちで、今このステージに立っています。この作品は、本当に様々な国の方々がそれぞれの資質を持ち寄ってくださり、作られました。

監督:この作品は、インドネシアで撮影したにもかかわらず、本当に国際的な作品になりました。この映画は、とても未来志向な作品だと思います。資金調達の方法もそうですが、シンガポール、インドネシア、日本、イギリスの間で、より広いパートナーシップを築き、共通言語としての映画を製作したことで、この東京国際映画祭に皆で集まることができました。

監督:撮影したときはインドネシアのジャングルのど真ん中で、まさか携帯が繋がらないとは思いませんでした。

ディーンさん:電波も届かず天井のない場所で寝ることもあったよね(笑)

監督:私がこれまで経験した中でも、最も過酷な制作でしたよ(笑)。これまで、いつも屋内のスタジオで撮影していたから野外で取りたいなと思っていたけれど、まさかこんなに過酷だとは思わなかったです。雨風もありますし。ディーンさんは、撮影現場まで毎日45分ほど歩いていて、ほとんどあれはトレッキングでしたね。
でもそうした環境でも、彼はすべてを出し切ってくれました。ついてすぐ彼は、「さあ、カメラはどこだ?」と言ったんです。撮影する前には、2人で静かな中色々な確認をして。 ジャングルという場所と、そして撮影のクルーたちが、困難な環境にもエネルギーをもたらしてくれました。だから本当に感謝しています。


©2024 TIFF

ディーンさん:特に、私の日本語での台詞や細かい所作などを確認しておきたかったんです。日本の皆さんに見てもらうときに、そこに共感してもらえるかというのはとても大事なことでした。ジャングルだろうと、ビーチだろうと、スタジオだろうとその場所で撮影をする以上、そこは私たちのクリエイティブルームみたいなものです。私たちはこうした環境でも信頼を築き上げることができました。もちろん、ジャングルでの撮影は大変なものでしたけどね。タフでなければいけませんでした。だって、ジャングルでの撮影では、冷蔵庫もなく、電気も使えないなんて想像できますか?(笑)でも、こうした何の設備もないジャングルの中でも撮ったということが、この作品にさらなる深みを与えたと思います。撮影したのはインドネシアですが、映し出される自然や風景は、とてもローカルでありながらグローバルなものとも言えて、国籍問わず映画を観た人が、自分は地球の一部なんだと感じられるような、普遍性をもった作品に仕上がったのではないでしょうか。
そして、景色というものがこんなに情感を持つんだということも感じました。最後にもうひとつお伝えしたいのは、 この作品に参加して、もちろんマイク(監督)との出会いも大きかったですが、(プロデューサー)のエリック・クーとの出会いも大きかったです。どのようにこの作品がシンジケートされるのか、 コンテンツ制作における資金調達の仕組みというものを、エリックからも直々に色々教えていただきました。

『オラン・イカン』

5/22(金)シネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国公開
出演:ディーン・フジオカ、カラム・ウッドハウス、アラン・マクソン

監督・脚本:マイク・ウィルアン
プロデューサー:エリック・クー、フレディ・ヨー、タン・フォンチェン、鈴木ランカスター文江
エグゼクティブ・プロデューサー:YOSHI クリーチャー・デザイン:アラン・ホルト 音楽:松本晃彦

2024年/シンガポール・インドネシア・日本・イギリス/英語・日本語/スコープサイズ/5.1ch/83分/原題: Orang Ikan
配給:ハーク 配給協力:Elles Films https://hark3.com/oi/
ALL RIGHTS RESERVED © 2024 COPYRIGHT GORYLAH PICTURES PTE LTD,