漫画家・水木しげるの生誕100周年を記念し、2023年に劇場公開された映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、“鬼太郎誕生”の背景にある秘密を軸に、鬼太郎の父と水木との出会い、そして彼らが向き合う運命を描いた長編アニメーション作品である。本作はその映画を原作とし、舞台作品として新たに構築された。映画に込められたメッセージを尊重しつつ、舞台表現ならではの演出に重点を置き、多様な「愛の形」を描き出している。人間の身体表現や舞台独自の発想を取り入れることで、新たな『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の世界観が提示された。

物語の舞台は、山深い場所に位置する哭倉村である。古くからのしきたりを重んじる龍賀一族が支配するこの村は、いわゆる因習村として描かれるが、その実態は日本の政財界に影響力を持つ一族の拠点でもある。帝国血液銀行に勤める水木は、龍賀家当主・時貞の死をきっかけに、自身の出世を目指して次期当主に近づくため、村へと足を運ぶ。

幽霊族という人間とは異なる存在である鬼太郎の父は、人間界に身を置きながらも独特の存在感を放つ人物として描かれる。演じる鈴木は、人外であることを感じさせつつ、慈愛や控えめなユーモアを含んだ人物像を表現している。一方、水木はスーツ姿で合理的に行動し、自身の欲求に忠実な人物である。演じる村井は、「命」を重視する姿勢を持つ水木像を描き、鬼太郎の父を村人から救う行動にも、その性格が表れている。こうした水木の姿勢が、孤独に妻を探し続けてきた鬼太郎の父の心に受け入れられる要因となっていく。

鬼太郎の父と水木は、それぞれの目的を抱えながら村で「探し物」をする中で、知恵と行動力を発揮し、村に隠された秘密へと近づいていく。当初は互いに警戒心を抱いていた二人だが、行動を共にするうちに協力関係を築き、次第に信頼を深めていく様子が描かれる。

また、都会から来た水木に希望を託し、村の外へ出る可能性を求めて協力を申し出る沙代の存在も重要である。岡本は、沙代の持つ少女性と自立心を併せ持つ側面に加え、内面に秘めた複雑な感情を静かに表現している。

哭倉村に暮らす人々は、それぞれに歪みや葛藤を抱えている。龍賀一族をはじめ、村の大人たちの思惑や生きづらさが次々と明らかになる中で、長田時弥という子どもの存在には、村の未来への希望が託されている。

本作では、妖怪たちの描写も重要な要素として取り入れられている。パペット操作や人力による表現、デザイン性を重視した映像演出など、多様な手法を用いることで、妖怪たちは敵役・味方役として舞台上に立体的に表現されている。アンサンブルとの連動も効果的に機能しており、鬼太郎の父との戦闘場面におけるアクションは、舞台演出上の大きな見どころの一つとなっている。

演出は中屋敷法仁が担当し、繊細さと力強さを併せ持つ構成によって作品全体をまとめ上げている。脚本を手がけた毛利亘宏は、登場人物それぞれの立場や感情に焦点を当て、物語に深みと一貫性を与えている。音楽は川井憲次が担当し、映画版の楽曲を再構成しながら舞台作品として再解釈することで、物語世界を効果的に支えている。

これらの演出・脚本・音楽に加え、キャストおよびスタッフが一体となって制作に取り組むことで、怪奇性と叙情性を併せ持つ舞台『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が構築された。

囲み取材

*鈴木拡樹(鬼太郎の父)

2026年の幕開けとなる公演作品として、本作は印象的な位置づけとなっている。本作は人間関係が複雑に絡み合う物語構造を持つが、その中で妖怪側の視点からどのように物語へ関与していくかという点は、舞台表現としても特徴的な試みである。人間同士のドラマが展開される中に、妖怪という異質な存在が介在することで生まれる違和感や緊張感が、役柄の持つ魅力として機能している。

また、妖怪たちによるアクションシーンも重要な見どころの一つである。人物同士の対峙に加え、大型の妖怪や映像表現と組み合わせた戦闘場面など、多様な演出手法によって迫力ある場面が構成されている。

本作には「愛」をはじめとした複数の主題や副次的なテーマが織り込まれており、鬼太郎作品の原点に位置づけられるエピソードとして、観客に多角的な解釈の余地を提示している。鑑賞後に物語や人物関係を振り返ることで、作品理解がより深まる構成となっている点も特徴である。

本作は、幅広い観客に向けて提示される舞台作品として制作されており、千穐楽まで一貫した表現を届けることを目標としている。観客には、本作が描く物語の行方を最後まで見届けてもらいたい。

*村井良大(水木)

本作は初日公演を迎え、無事に開幕した。初日からライブ配信が実施される点も特徴の一つであり、劇場での鑑賞に加えて、多様な鑑賞方法が用意されている。舞台作品は公演を重ねるごとに変化していく性質を持つため、初日を鑑賞した観客にとっても、配信やライブビューイングを通じて再度楽しめる構成となっている。

本作の見どころは多岐にわたるが、映像表現と連動したアクションシーンや、大型の妖怪である狂骨の造形を間近で体感できる点は、舞台ならではの特徴である。また、水木という役柄が物語の中心に位置する一方で、アンサンブルキャストによる素早い転換や早着替えが舞台進行を支えており、人力による演劇表現の技術力の高さも本作の重要な要素となっている。

一見すると恐怖や残酷さを伴う物語であるが、その根底には「愛」というテーマが据えられている。舞台上では激しい描写が展開されるものの、鑑賞後には人物同士の関係性や感情のあり方に焦点を当てた物語であることが浮かび上がる構成となっている。家族や親しい人と共に鑑賞することで、作品の持つテーマをより深く共有できる舞台作品である。

*岡本姫奈(龍賀沙代)

本作は初日を迎え、本公演がスタートした。本作は、出演者にとってグループを離れて初めて挑む舞台作品となり、経験豊かなキャストおよびスタッフと共に制作に携わる機会となった。稽古期間中は多くの学びを得る場となり、表現面・技術面の双方において成長を実感できる時間となった。

公演にあたっては、これまで積み重ねてきた経験を基盤とし、千秋楽まで安定した表現を届けることを目標としている。

演じる沙代は、静かな場面においても内面で大きな感情の動きを抱える人物として描かれている。観客が沙代の視点から物語を捉えることで、作品の別の側面を感じ取ることができる構成となっている点も特徴である。また、本作全体に通底する「重み」や主題が観客の心に残るような作品となることを目指している。

*中屋敷法仁(演出)

原案となる映画は、人間の憎しみや悲しみといった感情を色濃く描いた作品であり、本舞台はその世界観を基盤として制作されている。舞台版では、脚本を担当した毛利亘宏の演劇的視点と人物描写を通じて、原作に内包されていた感情が再構成され、劇場空間においては喜びや慈しみ、愛情といった要素を含む多層的なメッセージが提示されている。その結果、本作は恐怖を前面に押し出した作品というよりも、情緒的な広がりを持つ物語として立ち上がっている。

劇場での最終リハーサル期間を経て、現場では緊張感と活気が共存する環境の中で創作が進められた。キャストおよびクリエイターが密に連携し、それぞれの表現と技術を持ち寄ることで、本作は舞台作品として形作られている。

本作は、劇場での観劇に加え、ライブ配信やライブビューイングなど複数の鑑賞手段が用意されており、多様な環境で作品に触れることが可能である。観客には、それぞれのスタイルで本作を体験してもらいたい舞台作品となっている。

本公演は、2026年1月9日(金)から1月25日(日)まで東京・サンシャイン劇場、1月29日(木)から2月2日(月)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2月7日(土)および2月8日(日)に佐賀・鳥栖市民文化会館 大ホールにて上演される。

U-NEXTでは、大千穐楽公演を含む計3公演のライブ配信が実施される。3公演通しチケットには、特典としてブロマイドが付属する。また、2月8日(日)13:00開演の大千穐楽公演は、全国の映画館にてライブビューイングが行われる。

ライブビューイングのオフィシャル先行受付は、1月11日(日)23:59まで実施されており、詳細は専用受付ページおよび公演公式サイトにて確認することができる。

さらに、本公演を収録したBlu-rayが、2026年9月9日(水)に発売されることが決定している。限定予約版には、ビジュアルコメンタリーや全景映像などを収録したスペシャルディスクが付属する予定である。商品の詳細は、発売元の公式サイトにて案内されている。

オフィシャル先行(https://l-tike.com/kitaro-tanjo-stage-lv/)の受付は 1月11 日(日)23:59 まで。詳細は公演HP(https://www.kitaro-tanjo-stage.com/)をご確認ください。

今回、本公演のBlu-rayが2026年9月9日(水)に発売されることが決定した。
限定予約版は【ビジュアルコメンタリー】【全景映像】等を収録したスペシャルディスク付き。この機会にお買い求めください。
詳細はこちら(https://www.toei-video.co.jp/special/kitaro-tanjo-stage/

<Introduction>

漫画家・水木しげる生誕 100 周年記念作品として 2023 年に劇場公開された映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』。
“鬼太郎の誕生”の秘密について、鬼太郎の父と水木との出会い、そして二人が立ち向かう運命を描いた長編アニメーション作品を舞台化!
昭和31年、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。
帝国血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を帯び、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。
そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。
それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
時が、血が、彼らを出会わせた――。

ゲネプロ写真

<開催概要>

タイトル:舞台「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
原作:水木しげる
原案:映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
脚本:毛利亘宏(少年社中)
演出:中屋敷法仁(柿喰う客)
音楽:川井憲次
出演:
鈴木拡樹、村井良大
岡本姫奈(乃木坂46) 、沢海陽子、しゅはまはるみ、岡内美喜子
コッセこういち、加藤啓、中田翔真、橋本偉成
三上市朗、良知真次
沖育美、齋藤明里、佐々木穂高、田中廉、中嶋海央、藤本裕真、細川晃弘、光永ヒロト
声の出演:白鳥哲

会場・日程:
2026年1月9日(金)~1月25日(日)東京:サンシャイン劇場
2026 年1月29日(木)~2月2日(月)大阪:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2026 年2月7日(土)・2月8日(日)佐賀:鳥栖市民文化会館 大ホール
公演特設HP:https://www.kitaro-tanjo-stage.com/
公演公式X:@kitaro_tanjo_sthttps://x.com/kitaro_tanjo_st

【ライブ配信について】
U-NEXTで大千穐楽公演を含む全3公演のライブ配信を実施
1 月9日(金)19:00 東京初日公演(特典映像:メイキング映像)
1 月25日(日)17:00 東京千穐楽(特典映像:キャストインタビュー映像)
2 月8日(日)13:00 佐賀大千穐楽
詳細は公演特設HP https://www.kitaro-tanjo-stage.com/ まで

【ライブビューイングについて】
佐賀大千穐楽公演である2月8日(日)13:00公演を全国映画館でのライブビューイング開催
オフィシャル先行受付(抽選):https://l-tike.com/kitaro-tanjo-stage-lv/
※受付は1月11日(日)23:59まで

【Blu-ray 発売決定】
2026 年9月9日(水)にBlu-rayの発売が決定。限定予約版はスペシャルディスク付き!
https://www.toei-video.co.jp/special/kitaro-tanjo-stage/