公開記念舞台挨拶
日時:12月27日(土)
会場:新宿武蔵野館
登壇:美絽、池端杏慈、蒼戸虹子、坂本悠花里監督

2019年公開の『21世紀の女の子』の一篇「reborn」を監督し、国内数々の映画祭でその才能が評価されてきた坂本悠花里の初の長編作品『白の花実』(しろのかじつ)が12月26日(金)より全国順次公開っとなりました。
先日スペインで行われた第73回サン・セバスティアン国際映画祭のNewDirectors部門ではクロージング作品として上映され、現地で熱い喝采を浴び注目を集めました。

この度、本作の公開を記念して公開記念舞台挨拶が行われ、映画初出演にして初主演を務めた美絽をはじめ、池端杏慈、蒼戸虹子、坂本悠花里監督が登壇。CLUEL編集長・竹本健一氏と坂本監督がこだわった寄宿学校の制服を着用してキャストが登場しました!
今年9月、スペインで開かれた第73回サン・セバスティアン映画祭のワールドプレミアには、美絽と坂本監督が現地参加した。美絽は、上映後に観客が総立ちとなり拍手を送ったことが印象的だったと振り返る。坂本監督も、上映中は観客の息遣いが伝わってくるように感じたと述べ、海外の観客が作品世界に深く引き込まれていた様子を語った。

本作は昨日から劇場公開され、反響が寄せられている。美絽は家族から好意的な感想を受け取ったことを明かし、池端も友人や祖母が鑑賞を予定していると語り、感想を聞くのを楽しみにしているという。蒼戸は、SNS上に並ぶ称賛の声に触れ、本作には観る側が受け止める余白があり、その時間を多くの人と共有できていることに手応えを感じていると話した。

ダンスに初挑戦した美絽は、五感を重視するレッスンを通じて表現の基礎を学んだと語る。蒼戸も、振付を覚える前に自身の身体の使い方を理解することから取り組んだと振り返り、役柄に即した呼吸や視線を意識して踊ったことを明かした。

池端は、三人で共にレッスンを重ねる中で、心と体を結び付け、見て感じたものを大切にしながら、目に見えないものを想像して表現を膨らませていくことを基礎として学んだと、レッスンの日々を振り返った。

年齢の近い三人は、本作が初共演だったが、長期間にわたるレッスンを通じて次第に親交を深めていったという。蒼戸は、当初は挨拶を交わす程度で会話も少なかったものの、ダンスレッスンを重ねることで時間をかけて互いを知り、自然と距離が縮まっていったと語った。美絽も、三人で打ち解けて過ごせた時間が楽しかったと振り返り、池端は、当初は皆静かな印象だったものの、同年代ということもあり、好きなお菓子の話題など撮影外でも会話を重ねながら撮影に臨むことができたと、築かれた関係性を明かしている。

坂本監督は、タイトル『白の花実』に込めた思いについて、その背景を明かした。当初は、思春期の少女たちが持つ純粋さや儚さを表現するため『白い花』という題を考えていたという。しかし、「花」に「実」を加えることで、彼女たちの未来にも視線を向けることができ、儚さだけでなく、その先へと続いていく意志や時間を感じさせるタイトルになったと説明した。

イベントの締めくくりには、キャストが観客に向けてそれぞれメッセージを送った。蒼戸は、かつて言葉にできなかった感情を思い出してもらえたら嬉しいと語り、池端は、四人で舞台に立ち、観客の表情を直接見ることができた喜びを伝えた。美絽は、学生時代の少女たちが抱える葛藤を繊細に描いた作品であり、世代を問わず多くの人に観てほしいと呼びかけた。坂本監督も、本作には「大切な人を失う」というテーマがあり、それは年齢を超えて多くの人に届くものだと思うと語り、作品が広く受け止められることへの期待をにじませていた。

物語
周囲に馴染めず、転校を繰り返す杏菜(美絽)が、新たな寄宿学校で出会ったのは、美しく完璧な少女・莉花(蒼戸虹子)。しかし、莉花は突然、屋上から飛び降りて命を絶ってしまう。残されたのは一冊の≪日記≫。ページをめくるたび、莉花の苦悩や怒り、痛み——そして莉花の幼なじみ・栞(池端杏慈)との記憶と、言葉にできなかった“ある秘密”が浮かび上がる。
やがて日記から青白く揺れる“鬼火”のような魂が現れ、杏菜の心に静かに入り込み…杏菜は予想もつかない行動へと踏み出す——。
白の花実美絽 池端杏慈 蒼戸虹子
河井青葉 岩瀬亮 山村崇子 永野宗典 田中佐季
伊藤歩 吉原光夫 / 門脇麦
監督·脚本·編集:坂本悠花里
プロデューサー:山本晃久
製作·配給:ビターズ・エンド
制作プロダクション:キアロスクロ
英題: White Flowers and Fruits
2025年/日本/カラー/DCP/5.1ch/ビスタ/110分
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