『この本を盗む者は』公開記念舞台挨拶
日時:12月27日(土)
場所:新宿バルト9 シアター1 (新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル 13階)
登壇者:片岡凜、田牧そら、土屋神葉、朴璐美、福岡大生(監督)、黒澤桂子(キャラクターデザイン/作画監督)
劇場アニメーション『この本を盗む者は』の公開を記念した舞台挨拶が、12月27日(土)に新宿バルト9で開催された。イベントには、御倉深冬役の片岡凜、真白役の田牧そら、春田貴文役の土屋神葉、御倉たまき役の朴璐美のほか、福岡大生監督、キャラクターデザインおよび作画監督を務めた黒澤桂子が登壇した。
本作は、2021年本屋大賞にノミネートされた深緑野分氏の同名小説を原作とするアニメーション映画である。物語は、本にあまり親しみのない少女・御倉深冬を中心に展開する。深冬は、曾祖父が創設した書庫「御倉館」の本が盗まれたことをきっかけに、不思議な力を持つ少女・真白と出会う。
やがて二人は、本の盗難によって引き起こされた異変を解決するため、本泥棒を追いながら物語の世界を巡る旅に出る。作品は、ファンタジー要素と謎解きを織り交ぜながら、登場人物たちの成長や関係性を丁寧に描いている。
ある日、御倉館の蔵書が盗まれたことをきっかけに、町は本にかけられた呪い「ブックカース」によって物語の世界へと変貌してしまう。事態を収束させるため、深冬は不思議な少女・真白とともに、本泥棒を追う旅に出ることとなる。
物語の中で、盗まれた本の真相や呪いの正体、そして御倉家に隠された秘密が徐々に明らかになっていく。二人の少女が本の世界を巡りながら謎に向き合う本作は、ファンタジー要素とミステリーを融合させた作品として描かれている。
片岡凜と田牧そらは、アフレコ収録を振り返り、それぞれが新たな表現への手応えを語った。片岡は、「普段は完成されたセットの中で感情を重ねながら演じていますが、アニメでは絵や決められた尺に合わせて表現する必要があり、これまでとは大きく異なる経験でした。その分、難しさもありましたが、とても心地よく、充実した時間だったと感じています」と振り返った。
片岡凜同じく声優に初挑戦した田牧は、収録当時を振り返り「とても緊張していましたが、片岡さんと一緒に収録できたことや、監督やスタッフの皆さんが丁寧に導いてくださったおかげで、落ち着いて楽しみながら臨むことができました」と穏やかな表情で語った。
これに対し田牧も、演技の一環として印象的な動作を取り入れた場面があったと振り返り、その経験が役作りに良い影響を与えたことを語っていた。
田牧そら収録は片岡と田牧が同時に行う形で進められたという。作中の「真白、行くよ」というセリフの場面では、監督の提案により、実際に手をつなぎ、相手を導くような動作を交えながら演じたことが明かされた。当時の様子を身振りで再現する場面もあり、そのエピソードに共演者の朴璐美や土屋神葉が驚く様子を見せていた。
また、福岡大生監督による特徴的な演技指導についても語られた。演出方法を模索した結果、田牧に対して、いわゆる「壁ドン」をするような心情をイメージして演じることを求めたという。田牧は、この指導が役作りの助けになったと振り返り、演技への手応えを感じた様子を見せた。
劇中で、御倉たまきを演じる朴璐美と対峙する場面があったことについて、片岡は当時を振り返り「最初は圧倒される思いもありましたが、演じていくうちに自然と気持ちが高まり、役に向き合うことができました」と語った。
これに対し朴は、片岡の芝居について冗談を交えながら触れ、その姿勢を前向きに受け止めていた。経験豊富な共演者とのやり取りから、片岡が積極的に演技に挑んでいた様子がうかがえるエピソードとなった。
朴璐美このエピソードに対し、朴が冗談交じりに反応する場面もあり、会場は和やかな雰囲気に包まれていた。
土屋神葉イベントでは、まもなく迎える2026年に向けた抱負についても語られた。片岡凜は、今後も表現に向き合い続けていきたいと述べ、役柄を大切にしながら丁寧に理解する姿勢を持ち続けたいと語った。また、その積み重ねが将来につながるという周囲からの言葉を励みにしていることも明かした。
一方、翌年に20歳を迎える田牧そらは、自立した大人の女性になることを目標に掲げ、前向きな思いを示した。これを受けて土屋神葉が同様の言い回しで自身の抱負を語り、さらに朴璐美も続く形でコメントするなど、登壇者同士のやり取りが自然な流れで展開された。
キャスト陣の掛け合いからは、和やかな雰囲気とチームワークの良さがうかがえ、会場は終始温かな空気に包まれていた。

【STORY】
「本なんて、読まなければよかった⋯⋯!」
書物の街・読⾧町に住む高校生の御倉深冬。曾祖父が創立した巨大な書庫「御倉館」を代々管理する一家の娘だが、当の本人は本が好きではなかった。ある日、御倉館の本が盗まれたことで、読⾧町は突然物語の世界に飲み込まれてしまう。それは本にかけられた呪いc“ブックカース”だった。呪いを解く鍵は、物語の中にc町を救うため、深冬は不思議な少女・真白とともに本泥棒を捕まえる旅に出る。泥棒の正体は一体誰なのか?そして、深冬も知らない“呪い”と“御倉家”の秘密とは⋯⋯?
2人の少女が“本の世界”を旅する、謎解き冒険ファンタジーが開幕!すべての呪いが解けるとき、あなたは奪われた真実と出会う――。
原作:深緑野分『この本を盗む者は』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:福岡大生
脚本:中西やすひろ
キャラクターデザイン・作画監督:黒澤桂子
音楽:大島ミチル
アニメーションプロデューサー:比嘉勇二
アニメーション制作:かごかん(株式会社かごめかんぱにー)
配給:角川ANIMATION
製作:「この本を盗む者は」製作委員会
コピーライト表記:©2025 深緑野分/KADOKAWA/「この本を盗む者は」製作委員会
公式HP:http://kononusu.com/
公式X:@kononusu_anime












