女優の中山忍は22日、東京・千代田区の丸の内ピカデリー・ドルビーシネマで行われた「『ガメラ 大怪獣空中決戦』4K HDR ドルビーシネマ 復活上映」の記念舞台挨拶に登壇した。
今回の上映は、「ガメラ生誕60周年プロジェクト」の一環として実施されたもの。1995年公開の“平成ガメラ3部作”の第1作『大怪獣空中決戦』が、4K HDR版としてスクリーンに戻ってきた。中山は同作で、鳥類学者・長峰真弓役を務めた。
舞台挨拶には、中山とともに金子修介監督も参加。客席を見渡した中山は、「30年前の公開当時には、今日のような日が来るとは想像していませんでした」と、穏やかな笑みを交えてあいさつした。
長峰真弓役はオーディションで勝ち取ったもので、当時の心境について中山は「長峰という女性がとても魅力的で、これまで演じたことのない役柄でした。ぜひ挑戦したいという気持ちで臨みました」と振り返った。
金子監督もその時の印象について、「中山さんの思いがとても強く伝わってきました。セリフを言ってもらった瞬間に『長峰は中山忍さんでいこう』と決めました」と明かした。その言葉に、中山が思わず「本当ですか?」と笑顔を見せる場面もあった。
同作は国内外で高く評価され、多くの映画賞に名を連ねている。ブルーリボン賞では、姉の故・中山美穂が映画『Love Letter』で主演女優賞を受賞し、中山自身も『大怪獣空中決戦』で助演女優賞を受賞。姉妹での同時受賞として話題を集めた。
中山忍は、「公の場で姉妹そろって登壇したのは、あの時が最初で最後になりました」と当時を思い返した。「助演女優賞をいただく作品に出会えたこと、そして姉と並んで晴れやかな場所に立てたことに、あらためて感謝したい気持ちです」と話し、言葉を選びながら「思い出して涙が出てしまって、ごめんなさい」と目元を潤ませる場面もあった。
上映直後の観客から温かい拍手が送られる中、中山は「30年前の公開当時には、今日のような時間を迎えられるとは思ってもいませんでした。お越しいただいた皆さま、本当にありがとうございます」と、しみじみとした様子であいさつした。金子監督も「30年という時間がたちましたが、またこうして皆さんに観ていただけてうれしいです」と続けた。
さらに、今回の復活上映がDolby Cinema®で行われたことについて、金子監督は「以前に体験しましたが、非常に素晴らしいですね」と高く評価。中山も「ヘリコプターの音が本当に頭の上から聞こえてくるようでした。ガメラが爆風を放つシーンでは、前方から風がふわっと届くような感覚もあって、まるでその場にいるような体験でした。とても印象に残っています」と語り、最新の映像・音響技術でよみがえった作品の魅力を伝えた。
続いて、撮影時の思い出にも話が及んだ。中山が演じる鳥類学者・長峰が、ペリット(鳥が消化できずに吐き出したもの)を調べるシーンについて、中山は「初日の撮影が姫神島のシーンでした」と説明。「演出部の方がフナムシをたくさん集めてきてくださって、ペリットのまわりに動くように配置していたんです。長峰としてはためらわず手を入れるのが自然な行動なのですが、私自身は『うわ、ちょっと苦手かも…』と思いながら演じていました。今では良い思い出です」と笑顔で語った。会場では、そのエピソードに観客からも楽しい反応が寄せられていた。
姫神島のシーンについて、中山は「本当にセットが素晴らしかったんです」と語り、「ギャオスに荒らされた後の島の様子が見事に再現されていて、一気にガメラの世界に入り込めた印象があります」と振り返った。金子監督も当時の現場を思い出しながら、「スタッフが家財道具をあちこちに配置したりして、撮影の準備をしていました。怪獣映画を作っているんだという喜びを、みんなが現場で表現していたように思います」とコメント。中山も「皆さん本当に楽しそうで、怪獣映画を作れることへのワクワクした空気が現場に満ちていました」と、温かく語った。
また中山は、約30年前に金子監督と初めて会った際の思い出も紹介した。「監督に『ガメラって、緑の血を流す、クルクル回る亀ですよね?』と言ってしまったんです」と当時を回想。これに対して監督は「ガメラは亀ではありません。ガメラはガメラです」と返したという。中山は「失礼なことを言ってしまったかもしれないと、その時は反省しました」と苦笑しながら話すと、金子監督も「昭和のガメラからの長い歴史がありますからね。まあ……確かに亀っぽいところもありますよね」と軽やかに応じ、今では笑い話として語られる思い出となっている様子だった。
舞台挨拶の終盤には、中山から観客に向けて「『ガメラ』の魅力は、あきらめず、たとえ一人でも戦おうとする強さにあると思います」とメッセージが贈られた。その後、「少し長くなりますが、もう少しお話ししてもよろしいでしょうか?」と問いかけ、観客の注目を集めた。
中山は事前にファンから募った質問について触れ、「ファンの方から、『これを長峰真弓として監督やKADOKAWAに伝えてほしい』という声をいただきました」と紹介。その思いを代弁する形で、「そろそろ新しい『令和ガメラ』を届けてほしい」という熱意を言葉にし、会場は大きな拍手に包まれた。
中山は、「このお願いは5年前のガメラ生誕55周年プロジェクトの際にもお伝えしたのですが、まだ実現していません。今日はKADOKAWAの方も多く来ていらっしゃいますので、ガメラファンを代表して、皆さんと一緒に声を届けてもよいでしょうか?」と語りかけ、「会場の皆さんで一度、『令和ガメラ見たい!』と言ってみませんか?」と提案。観客席からは大きな反応が上がった。
その後、中山の「せーの!」という掛け声に合わせ、会場全体が「令和ガメラ見たい!」と一斉に声を上げ、熱気に包まれた。中山は「大満足です」と笑顔を見せ、その期待を一身に受ける形となった金子監督は、少し照れた様子を見せながらも「ガメラの魅力はあきらめないことですから……頑張ります」と語り、新作への前向きな姿勢をのぞかせた。
舞台挨拶を終えた後、中山と金子監督は、丸の内ピカデリーに隣接する有楽町マルイで開催中の「ガメラEXPO」を訪れた。会場には、クラウドファンディングによって修復された平成ガメラ3部作(G1・G2・G3)のスーツや、撮影で使用されたプロップ、ミニチュアセットなどが展示されていた。
3体のガメラのスーツを前に、中山は「懐かしいですね。久しぶりに会った気がします」と笑顔でコメント。金子監督も「長い年月が経っているという印象があまりなく、今も息づいているように感じました。やはり『次を作らなければ』という気持ちが強くなりました」と語り、作品への思いの深さをにじませた。
さらに中山が「本当に色あせない作品だなと思いました。こうして長い間愛してもらえる映画に参加できたことは本当に嬉しいですし、次の希望みたいなものも感じました。今日、客席で小さい男の子を見かけたんですが、受け継がれていくものがあるんだなと感じました」とガメラへの思いをしみじみと語った。

◆開催概要 名称:「ガメラEXPO」
■会期:2025年11月22日(土)~12月7日(日)
■会場:有楽町マルイ 8Fイベントスペース
■会場営業時間:11:00~19:00
※店舗の営業時間とは異なりますのでご注意ください。
※イベントの内容は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。主催:KADOKAWA
特別展示協力:西村祐次(M1号)
協力:角川大映スタジオ/VPC/ADKエモーションズ/M1号/須賀川市/須賀川特撮アーカイブセンター/アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)/金子修介/伊藤和典/樋口真嗣/大谷 幸/三池敏夫
展示協力:原口智生/髙濵 幹/森田 誠/瓜生遼太郎/三木悠輔/山元
企画・制作:特撮のDNA展制作委員会※チケット情報などの詳細は今後公式サイト、公式Xなどで順次発表予定!
◆公式サイト/公式X
〇公式サイト: https://cinemakadokawa.jp/gamera/ 〇公式X: @gamera_info















