映画

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』東京プレミア

東京プレミア上映会
日時:11月19日(水)
会場:ユナイテッド・シネマ豊洲
登壇:板垣李光人、中村倫也、武田一義(原作・共同脚本)

映画のお披露目イベントで、主人公・田丸均を演じた板垣は、作品への参加について「嬉しい気持ちでいっぱいです」と語った。終戦80年という節目の年に本作に関われたことを、20代の俳優として光栄に感じているという。原作を通してペリリュー島の歴史を知った自身の体験を振り返り、「この映画を通じて多くの方に知っていただけるきっかけになれば」と胸の内を明かした。

田丸の相棒・吉敷佳助を演じた中村も「素直に嬉しい」と心境を述べ、題材の重さから緊張もあったとしつつ、上白石萌音が披露した主題歌「奇跡のようなこと」の歌声に心が和んだことを笑顔で語った。

板垣は演じた田丸について、絵を描くことが好きという共通点から親近感があると説明。「物語の中心人物ではあるものの、前に立って引っ張るタイプではなく、そばにいると温かさを感じさせる存在」と表現し、「定食に添えられたゆで卵のように、なくても成立するけれど、あると嬉しい存在」と比喩を交えて語った。中村もその説明に共感を示した。

また、原作と共同脚本を担当した武田一義氏は、キャスティングの過程で板垣が候補に挙がった際、声の印象を確認するためにパン作りを紹介した“ナイトルーティン動画”を見たことを明かした。その姿が田丸のイメージに重なったため、すぐにプロデューサーへ推薦したという。思わぬエピソードに会場では驚きの声が上がり、板垣は照れた様子を見せていた。

吉敷を演じた中村については、「声の印象が良ければ、どなたでもその方なりの吉敷になる」と考えていたと振り返った。しかし実際に中村が声を当てた吉敷は、武田氏の想像とは異なる魅力を持っていたという。中村の声には、勇敢な兵士としての姿だけでなく、家族を支えるしっかり者の兄としての一面や、素朴で純粋な青年らしさがにじみ出ていたとし、その演技がキャラクターに深みを加えたと評価した。

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』普段は人見知りだという板垣だが、中村には自然と心を開けたと話す。「小学生の頃に遊んでくれた兄のような感覚だった」と振り返り、初対面から距離を感じる間もなく近くに寄り添ってくれたことが、役柄同士の絆を築くうえでも大きな助けとなったと感謝の気持ちを述べた。

一方、中村は板垣について「会う前から好印象だった」と語り、取材を重ねる中で「可愛らしさの中に独特の個性も見えてきた」と興味を示した。さらに、文を書くことを勧める場面もあり、板垣の内面表現に強い関心を寄せていた。武田氏が板垣の愛読書に江戸川乱歩の短編があることを明かすと、中村はその理由に納得した様子を見せ、「これからの活躍が楽しみ」とエールを送った。

イベントは企画コーナーに移り、板垣と中村が参加する「パラオ語クイズチャレンジ」が行われた。
第1問は、パラオ語で「美味しい」を意味する「○○ダイジョーブ」の空欄を埋めるというもの。開始前に板垣が誤って答えの書かれた資料を見てしまいそうになったと明かし、会場が和やかな雰囲気に包まれる中、2人は熟考しつつ「アジダイジョーブ」と回答。見事正解となった。

続く第2問は、「混乱している様子」を意味する「アタマ○○」の空欄を当てる問題。難易度が高く、まず「回っているもの」というヒントが出されたものの、「アタマダイジョーブ」「アタマナルト」などユーモアのある回答が続き、会場は大いに盛り上がった。さらに、人気キャラクターにちなむ「アタマニョロゾ」や、「混乱で頭がいっぱい」というニュアンスを込めた「アタマアタマアタマ」といった回答も飛び出し、笑いが弾んだ。

武田氏から「夏の日本の風物詩」という追加ヒントが提示されると、2人は「アタマカトリセンコウ」と導き出し、こちらも正解。難問を突破した瞬間には、会場から驚きと喜びの声が上がった。

クイズを振り返り、板垣は「当時の時代背景や遊び心が感じられて面白かったです」とコメント。中村は「ニョロゾの回答は冗談として、実際に現地を訪れてみたくなりました」と語り、企画を楽しんだ様子を見せていた。

イベントの最後に、板垣は作品のテーマについて言及し、「少し怖さを感じる場面もあるかもしれませんが、その感覚を大切にしてほしい」と来場者に呼びかけた。歴史の痛ましい出来事を“正しく恐れる”姿勢を忘れず、この映画が新たな気づきや学びにつながることを願っていると語り、平和への思いを示した。

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』キャスト:板垣李光人 / 中村倫也
天野宏郷 藤井雄太 茂木たかまさ 三上瑛士

主題歌:上白石萌音「奇跡のようなこと」(UNIVERSAL MUSIC / Polydor Records)

原作:武田一義「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」(白泉社・ヤングアニマルコミックス)
監督:久慈悟郎 脚本:西村ジュンジ・武田一義
キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治 プロップデザイン:岩畑剛一 鈴木典孝 メカニックデザイン:神菊薫
美術設定:中島美佳 猿谷勝己(スタジオMAO) コンセプトボード:益城貴昌・竹田悠介(Bamboo)
美術監督:岩谷邦子 加藤浩・坂上裕文(ととにゃん)
色彩設計:渡辺亜紀・長谷川一美(スタジオ・トイズ) 撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)
3DCG監督:中野哲也(GEMBA) 髙橋慎一郎(STUDIOカチューシャ) 編集:小島俊彦(岡安プロモーション) 考証:鈴木貴昭
音響監督:横田知加子 音響制作:HALF H•P STUDIO
音楽:川井憲次
制作:シンエイ動画 × 冨嶽 配給:東映

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