ベルギー映画『ナイトコール』が10月17日より新宿武蔵野館ほかにて公開される。
本作は、ミヒール・ブランシャールによる初の長編監督作。都市の闇を舞台に展開する一夜の逃走劇、そして暴動と現代社会を背景にした人間ドラマが描かれる。
毎夜、日々の生計を立てるため、ブリュッセルで鍵屋として働く青年マディ(ジョナサン・フェルトレ)は、ある晩、クレールと名乗る若い女性から部屋の鍵を開けてほしいと依頼され、ともにアパートへ向かう。難なくドアを開錠し、部屋で支払いを待つマディに現金を下ろしに行ったクレールから「部屋を出て」と電話が。その後、現れた男に突然襲われるマディ。その部屋の住人も、持ち去ったバッグも彼女のものではなく、マフィアのヤニックのものだったのだ。マディは逃走をはかるがヤニックに捕まり、自身の無実を証明するために取引をする羽目になる。マディに与えられた時間は朝までの数時間、それまでにクレールとバッグを見つけなければならない。捜索するブリュッセルの夜の街ではちょうど、“ブラック・ライヴズ・マター”(BLM)のデモが激化しており、警察と市民の衝突がいたるところで起きていた。混乱の中、街は静かに、だが確実に、彼を“犯罪者”に仕立てていく。
アメリカ、イギリス、フランスの主要メディアでは高評価を獲得している本作。『ガーディアン』では「ブランシャール監督は、緊張感と解放感をタイトなリズムのビートを繰り返し、地下鉄の駅の階段を自転車で駆け下りるような緊張感のあるシーンを華麗なアクションと織り交ぜる」(レスリー・フェルペリン)、『ウォール・ストリート・ジャーナル』では「タイムリミットが迫る中で、観客は鍵屋のように息を呑むだろう。『ナイト・コール』は、ブリュッセルで過ごす思い出深い夜を、私たちのほとんどが体験できる最高の瞬間だ」(カイル・スミス)、『ニューヨーク・タイムズ』では「この映画は、普通の男が裏社会に引き込まれるというおなじみのテンプレートに沿っているのかもしれないが、ブランチャード監督の機敏な演出と、街の隅々まで描き出すことで、犯罪アクション映画の地位を高めている」(ベアトリス・ロアイザ)、ル・フィガロでは「ミブランシャール監督による、スピーディーな追跡劇は迫力満点だ。結末はありきたりで、あまりにも予想通りだが、ブラック・ライブズ・マターの精神が散りばめられたこのナイト・スリラーの面白さを損なうものではない」と絶賛評が紹介されている。
ブリュッセルの夜を舞台に、信頼と裏切り、暴動と孤独が交錯する本作。その混沌の中で静かに流れる一曲は、ペトゥラ・クラークの「La Nuit N’en Finit Plus」(夜が終わらない)。1963年にリリースされ、クラークを世界的スターに押し上げた楽曲だ。都会の孤独と希望を歌ったポップソングで、映画の舞台であるブリュッセルの夜の街と絶妙に重なり、物語の緊張感や主人公の心情に深みを与えている。
■公開情報
『ナイトコール』
10月17日(金)より、新宿武蔵野館ほか公開
出演:ジョナサン・フェルトレ、ナターシャ・クリエフ、ジョナ・ブロケ、ロマン・デュリス(特別出演)
監督:ミヒール・ブランシャール
提供:スターキャット
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
2025年/フランス・ベルギー/90分/カラー/シネスコ/5.1ch/英題:Night Call/日本語字幕:星加久実
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