1995年放送のTVシリーズで社会現象を巻き起こし、アニメ史に残る名作となった『新世紀エヴァンゲリオン』。その後も2007年には企画・脚本・総監督:庵野秀明による『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズとして再始動し大ヒットを記録するなど、幅広い層から絶大な支持を誇ってきました。
深い心理描写と独自の世界観、そして圧倒的な映像美や音楽など、ファンの心を掴んで離さない魅力満載の『エヴァンゲリオン』は国内のみならず、国境を越えて爆発的な人気を誇るようになり、グッズやコラボ商品も多数展開。世界中から愛される“伝説的な作品”を届けてきた、『エヴァンゲリオン』シリーズは今年10月4日(土)についにシリーズ30周年を迎えます。
そんなアニバーサリーイヤーを祝して、トロント、ダラス、ロサンゼルスで北米初公演となる〈EVANGELION WIND SYMPHONY 2025〉が開催。アメリカを席巻しました。8月31日(日本時間)に行われたばかりのハリウッド・ドルビーシアター公演のレポートが到着しています。
[ライヴ・レポート]
日本で毎公演チケット完売の人気を博す『エヴァンゲリオン ウインドシンフォニーコンサート』初の海外公演となる「EVANGELION WIND SYMPHONY 2025」が6月に韓国・ソウルで開催。そして今月、北米ではタナポン・セタブラーマナ氏の指揮のもと、北米3都市で行われ、最終日を飾る公演が現地8月30日(土)にロサンゼルス・ハリウッドの中心地でアカデミー賞の授賞式が行われる、ドルビーシアター(Dolby Theatre)で開催!約3,300人が来場し会場を埋め尽くした。
吹奏楽演奏による『エヴァンゲリオン』シリーズの名曲の数々で構成される「EVANGELION WIND SYMPHONY 2025」。会場には「エヴァンゲリオン」のコスプレをしたファンや、「エヴァンゲリオン!!」「Yoko Takahashi!」と公演前からテンションMAXで“エヴァ愛”溢れるファンが大集結、物販スペースは会場の2階まで並ぶほどの長蛇の列を成し大盛況。
そんな愛の詰まった観客から大きな拍手と歓声で迎えられ既に熱気が高まるなか、最初に披露されたのは、1997年公開の映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シ新生』の主題歌であり、『エヴァンゲリオン』シリーズを代表する楽曲の一つ「魂のルフラン」。クラシカルな黒の衣装で登場した高橋洋子は、キャッチーな旋律にのせて伸びやかな歌声を響かせ、会場の観客も一緒に大合唱!一気に『エヴァンゲリオン』の世界へと誘う。そして、楽団は、謎に満ちた敵・使徒の襲来時に流れるスリリングなメロディの「ANGEL ATTACK」や、エヴァンゲリオン初号機を紹介する重要なテーマ「EVA-01」の生演奏を立て続けに披露。
再び登場した高橋が、戦闘前の緊張感をより高める「TENSIONS」を熱唱すると会場の熱気がますます上昇!その後もレイの孤独感や儚さ、不思議な存在感を美しく表現した「Rei Ⅰ」をはじめ、エヴァンゲリオンの深いテーマ性を象徴する「THANATOS」、TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』の象徴的なエンディングテーマ曲「Fly Me to the Moon」など、演奏と高橋洋子の美しい歌声が会場いっぱいに響き渡り、観客を魅了させた。
シリーズ30周年となる2025年に初の「EVANGELION WIND SYMPHONY 2025」北米公演を迎え、高橋はMCで「1995年の時は、こんなに長く〈残酷な天使のテーゼ〉を歌い続けることになるとは、夢にも思いませんでした。当初“こんなにこのアニメは人気になるんだ?!”と驚いたり、放送の最中に、最終回はどうなるのかと聞かれて戸惑ったりと、あまりの影響に、いわば十字架を背負っているような気持ちになったこともあります」と、30年の様々な思い出を振り返る。そして「30年の月日はたくさんの素晴らしい方々との出会いを与えてくれました。この曲、この作品との出会いは天からのギフトだと、とても感謝しています」と時代を超えて、『エヴァンゲリオン』シリーズと共に歩んできた熱い思いを募らせる。さらに名曲「魂のルフラン」については「レコーディング当日まで歌詞が決まっていませんでした。FAXでレコーディングスタジオへ歌詞が届き、スタッフが楽譜に書き入れて、そのあと歌った思い出があります」と貴重な“裏話”が披露されると、会場のファンたちは高橋の言葉に引き込まれ、熱心に耳を傾けた。
本公演では、演奏中もバックスクリーンに『エヴァンゲリオン』本編の名シーンが映し出されたり、指揮者からは、劇中で音楽が流れるシーンの解説を含んだMCトークあり、観客へ「レイ派?アスカ派?」と質問が投げかけられ、観客とコール&レスポンスあり、多彩なシーンに溢れる構成。高橋洋子へも好きなキャラクターの問いかけをし、『碇シンジ』と答えると観客から大拍手が出るなど、始終エヴァ愛が溢れていた。
そして『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の劇中曲である「psycho」「the path」を高橋洋子がオペラボイスで歌唱、そして映画本編の印象的なシーンで流れる楽曲へ、さらに壮大なアレンジが施された「What if? 2022」が、楽団の演奏と高橋の歌声により披露されると会場全体が感動の渦に包まれ、鳴りやまない拍手が送られた。
最後にアンコールとして、『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌「残酷な天使のテーゼ」を、ウインド・オーケストラならではのアレンジで演奏。イントロが流れるやいなや手拍子と歓声が鳴り響き、圧巻のパフォーマンスに約3,300人がスタンディングオベーション!拍手喝采を受ける中、さらに高橋洋子本人から、エヴァのキャラクター・葛城ミサトによる名台詞「サービス、サービス!」のコールをきっかけに、不朽の名曲「次回予告( F02 )」音楽を演奏。鳴りやまない歓声と共にロサンゼルスでの「EVANGELION WIND SYMPHONY 2025」は終了。公演を見届けたロサンゼルスの観客は、子供の頃から「エヴァンゲリオン」をみて育ったという熱狂的な人や、ここ数年で見始めてどんどん魅力にハマったという人まであらゆる形のエヴァ愛が溢れ、中には思わず涙するファンの姿も。「鳥肌が止まらなかった」「高橋さんの歌声を聞いて何度も泣いた」「とにかく圧巻で心を打たれた」と興奮冷めやらぬ様子で、これ以上ない最高の盛り上がりでフィナーレを迎えた。
なお日本では、2026年2月に30周年企画の集大成となる横浜アリーナにて3日間開催される大型イベント「EVANGELION:30+;30th ANNIVERSARY OF EVANGELION」を控え、日本だけではなく海外でもさらなる広がりを見せる『エヴァンゲリオン』シリーズの今後にご期待ください。
©khara ©カラー/Project Eva.
Photo by @mayakuraki
■「EVANGELION WIND SYMPHONY 2025」ロサンゼルス・ドルビーシアター公演
会場: Dolby Theatre
日程: 2025年8月30日(土)
来場者: 約3,300人
※全20曲のセットリスト(アンコール含む)