イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督最新作で、イタリア国内で監督史上最大のヒットを記録した『パルテノペ ナポリの宝石』が8月22日(金)より全国公開。このたび、サンローランのクリエイティブが光る優雅な冒頭シーン映像が解禁された。
風光明媚な港町・ナポリが持つ二面性とパルテノペの浮き沈みのある人生に呼応するように、柔らかで華やかなスタイルから荘厳でクラシカルなスタイルに移り変わっていく贅沢な衣装にも目を奪われる『パルテノペ ナポリの宝石』。
本作の衣装ディレクターを務めたのは、60年以上の歴史を持つ世界的なファッションブランド、サンローランのディレクター、アンソニー・ヴァカレロ。イタリア人の両親をもつベルギー出身のヴァカレロは、2008年に自身の名を冠したブランド“アンソニー・ヴァカレロ”を立ち上げたのち、2016年よりサンローランのクリエイティブ・ディレクターに就任した。
カール・ラガーフェルドやドナテッラ・ヴェルサーチら名だたるデザイナーも、セクシーかつ大胆さを持つ彼のデザインに魅了され、また各ファッション媒体も彼が手掛けるコレクションについて「サンローランが表現する理想の女性像は、古典的なミューズが持つ魅惑的な完璧さよりも複雑」「シェイプ、サイズ、そして美意識において、そこには無限の可能性が感じられる」と絶賛しデビュー当時から期待を寄せていた。そんなヴァカレロが手掛け、かつてのイヴ・サンローランからインスピレーションを受けた美しい衣装は必見だ。
このたび公開された冒頭シーンは、歴史、文化、商業が交差するナポリのシンボル的存在のショッピング施設ガッレリア・ウンベルトのあるサンカルロ通りを、ナポリの自然を想起させるような緑や青を中心とした同系色の衣服を身に着けた男女が行き交う様子がスローモーションに映し出されている。優雅で活気あふれる映像には、サンローランの洗練された美意識が宿っている。
パルテノペが着用している日々のワードローブに注目してみると、前半の探求心に満ち溢れている若き日のパルテノペは、色とりどりの衣服や水着、軽やかな薄手のドレスを身にまとっている。鮮やかな色彩は広大な海と戯れ太陽を浴び、溢れんばかりの活力と自由への希望を感じる。身体のラインにまとわりつく薄手のドレスは、若き日の軽やかさを示唆する一方で、決して振り払うことのできない過去の記憶に囚われているかのよう。
そして後半、パルテノペが成長し人類学への志を固めていくにつれ、堅実で落ち着いたクラシカルなスーツスタイルへと移り変わっていく。サンローランにとってのスーツスタイルは、創業者イヴ・サン=ローランのパーソナルスタイルでブランドのアイコンとしても長い間愛されてきたスタイルで、さらに男性の衣服であったジャケット×パンツのスーツスタイルをウィメンズとして確立させた。肩がしっかりと張った男性的なシルエットのジャケットを羽織るパルテノペは、成長と自立、そして逸脱の象徴となると同時に窮屈さや脆さも併せ持ち、自由と社会の期待の間で揺れ動く女性としてのジレンマが垣間見える。
さらにイタリア・ローマにある、世界的に有名な映画スタジオの複合施設チネチッタ・シ・モストラでは、本作の豪華爛漫な映画セットや衣装が展示されている。セレステ・ダッラ・ポルタが着用したドレスやスーツのほか、大女優グレタ・クール役のルイーザ・ラニエリのゴージャスなドレスや、パルテノペがナポリ大聖堂で司教に会った際に着用したサン・ジェンナーロの聖遺物の宝飾品、ジョン・チーヴァー役のゲイリー・オールドマンが着用した白いリネンのスーツなども展示されている。
時間の経過と共に変化していくワードローブは、人生の美しさから時間の無常さまでのコントラストをより鮮やかに彩るだけでなく、二面性をもつナポリの街とパルテノペそのものを反映している。パオロ・ソレンティーノ監督が手掛ける映像美とともに、ヴァカレロが手掛ける華やかな衣装にも注目だ。

『パルテノペ ナポリの宝石』(原題:Parthenope)
監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:セレステ・ダッラ・ポルタ、ステファニア・サンドレッリ、ゲイリー・オールドマン、シルヴィオ・オルランド、ルイーザ・ラニエリ、ペッペ・ランツェッタ、イザベラ・フェラーリ
2024/イタリア、フランス/137分/カラー/ドルビーデジタル/シネスコ/字幕翻訳:岡本太郎/R15+
日本公開:2025年8月22日(金)新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下他全国順次ロードショー
配給:ギャガ
後援:イタリア文化会館
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