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2025年度「新藤兼人賞」:金賞は『見はらし世代』団塚唯我監督に決定

日本映画製作者協会が今年度公開作品の中から将来性のある新人監督を選出する「新藤兼人賞」が発表された。金賞は「見はらし世代」の団塚唯我監督、銀賞は「ひみつきちのつくりかた」の板橋知也監督に贈られる。

1998年生まれの団塚監督は、東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部中退。映画美学校修了。在学中は万田邦敏や脚本家の宇治田隆史より教えを受ける。同校修了作品として制作した短編「愛をたむけるよ」が、なら国際映画祭、札幌国際短編映画祭、TAMA NEW WAVE 等の映画祭で入選、受賞。22年「ndjc:若手映画作家育成事業」にて、短編「遠くへいきたいわ」を脚本・監督、第36回高崎映画祭等に招待される。「見はらし世代」が初長編映画となり、第78回カンヌ国際映画祭の監督週間に日本人史上最年少として出品された。

【「見はらし世代」あらすじ・概要】
画像2(C)2025 シグロ/レプロエンタテインメント
再開発が進む東京・渋谷を舞台に、母の死と残された父と息子の関係性を描いたドラマ。NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で俳優デビューを果たし注目を集めた黒崎煌代の映画初主演作となった。
渋谷で胡蝶蘭の配送運転手として働く青年・蓮は、幼い頃に母・由美子を亡くしたことをきっかけに、ランドスケープデザイナーである父・初と疎遠になっていた。ある日、配達中に偶然父と再会した蓮は、そのことを姉・恵美に話すが、恵美は我関せずといった様子で黙々と自らの結婚準備を進めている。そんな状況の中、蓮は改めて家族との距離を測り直そうとするが……。

板橋知也
板橋知也

板橋監督は、1994年生まれの東京都出身。学生時代には「WE LOVE トンボ」絵画コンクール金賞、世界絵画大賞展優秀賞など、数々の賞を受賞。その後映画製作の道へ進み、短編映画「SAUDADE」でTUJフィルムフェスティバル金賞を獲得した。2020年の短編映画「ある母」では門真国際映画祭最優秀脚本賞をはじめ、立川名画座通り映画祭グランプリ、函館港イルミナシオン映画祭観客賞など、国内各地の映画祭で高い評価を得る。「ひみつきちのつくりかた」は長編デビュー作となり、脚本・撮影・監督を手掛けている。

【「ひみつきちのつくりかた」あらすじ・概要】
画像4(C)2025 emir heart inc.
大人になっても心の奥底に宿る子ども心をテーマに、友人の突然の死をきっかけに再会した初老の男4人組が、少年時代に夢見た「ひみつきち」作りに没頭する姿を描いた作品。
ある夏の日、都内のアパートの小さな一室で、50歳を迎えた佐藤がスパゲッティに頭を突っ込み急死する。佐藤の小学校時代からの旧友である山上は、佐藤の葬儀に出席するため帰省し、そこで同じく同級生の御手洗、工藤、豊永と再会する。大人になり別々の人生を歩んできた4人は、昔話に花を咲かせる。すると工藤が1冊のノートを取り出す。そこには、佐藤が小学生のころに考えていた「ひみつきち建設計画」が描かれていた。4人は忘れていた子ども心を取り戻し、あの頃に抱いていた夢の「ひみつきち」を実現させようとするが、そんな彼らの前にさまざまな“大人の事情”が立ちはだかる。

松井俊之
松井俊之

2025年度は、215作品が選考対象となり、最終選考監督13名(13作品)から金賞、銀賞の受賞者を選出。また、プロデューサー賞は 松井俊之氏(「この夏の星を見る」)に贈られることになった。第30回授賞式は、12月5日に如水会館スターホールで開催予定。

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