原作は、2008年に第88回オール讀物新人賞を受賞した短編「フォーゲットミー、ノットブルー」を第1話においた全4編からなる連作集。世田谷区の小田急線沿線にある私立女子高校に進学したばかりの少女たちが登場する。第1話は、中学校から上がってきた内部生の希代子と外部生の朱里が主人公。第2話は、朱里に親友の希代子を取られた奈津子を主軸にした物語。第3話は3人のクラスメイトでもあり、リーダー格の華やかな美人、恭子(きょうこ)に焦点をあて、第4話はそんな彼女たちの7年後の話が描かれている。本作では、第1話の「フォーゲットミー、ノットブルー」に注力して映画化される。

主人公の希代子を當真が演じ、希代子が惹かれる存在の朱里に中島が扮する。また、希代子と朱里の同級生、奈津子と恭子を、オーディションで選ばれた平澤宏々路と南琴奈が担う。メガホンをとったのは「好きでもないくせに」「愛の病」の吉田浩太。2021年の「Sexual Drive」ではロッテルダム国際映画際に招待されるなど、これまで女性を主体的に描いてきた吉田が、狭い世界に固執する私立女子校を舞台に、痛くて切ない青春時代を描く。

新たに発表されたキャストが命を吹き込むのは、希代子の高校の先輩で、美大生の瑠璃子に深川。希代子が何でも相談できる年上の先輩であり、希代子には無い明確な目標を掲げ、未来を見据えた行動力と芯の強さを持つ知的で大人びた女性を演じる。希代子の母で、ひとりで老舗の呉服屋を経営する美恵子に扮したのは石田。娘の希代子を時には優しく包み込み、時には厳しく接し、愛情と献身さに溢れながらも厳格さも持ち合わす母親役を演じている。
そして、希代子と朱里の同級生で、クラスのリーダー格でもある恭子の恋人の大学生・卓也には新原。希代子たちの担任教師役に野村。世界的カメラマンでもある朱里の父親の恋人役を小西が担当する。その他に今森茉耶、陣野小和の出演がアナウンスされた。

特報は、変わり映えのない日常を過ごしていた希代子と、彼女の前に突如として現れた青い服を着た転校生・朱里の姿を映し出す。自由奔放で他のクラスメイトとは異なる、知的で大人びた風格と孤高さを纏った朱里に惹かれ、徐々に彼女と行動を共にするようになった希代子の世界は、眩しいほどに明るく輝き出す。朱里が自分の手を引けばそれに身を任せ、すぐ隣でうたた寝をする朱里を見れば、自分もそれに倣ってみる。「私も朱里のように“特別な存在”になりたいー」。映像の前半では、その煌めく表情と共に、朱里に惹かれる希代子の姿が映し出されるが、一転、轟音と共に不穏さが映像を包み込む。「私のことなんて忘れてよ」というセリフを皮切りに、強く握りしめた拳、切り裂かれた似顔絵、一人立ち尽くす朱里の姿など、2人の間に生じてしまった亀裂の断片が次々と映し出され、最後は、取り返しのつかないことをしてしまったかのような、不安ともの寂しさに満ちた表情をした希代子がこちらを見つめる映像となっている。
「終点のあの子」は、2026年1月23日からテアトル新宿、グランドシネマサンシャイン池袋、アップリンク吉祥寺ほかにて公開。
新キャストの深川、石田、原作者・柚木氏のコメント全文は以下のとおり。

