永瀬正敏が、長澤まさみが主演する「おーい、応為」に長澤扮する葛飾応為の父で、師でもある葛飾北斎役で出演することわかった。筆を持つ姿が印象的な北斎のキャラクタービジュアルと、応為の人柄が垣間見える特報が公開された。
監督・脚本を手掛けたのは、「日日是好日」「星の子」などで人間の奥行きを繊細に描いてきた大森立嗣。長澤とは「MOTHER マザー」以来の再タッグとなる。
「美人画では父を凌ぐ」と言われた才を持ち、北斎の右腕として、数少ない女性の絵師として、人生を描きぬいた応為。夫と喧嘩し離縁、北斎のもとに出戻ったお栄(のちの応為)は、すでに有名な絵師だったがより高みを目指し、絵のことしか頭にない父・北斎と再び暮らし始める。

絵筆を握る父の背中を見つめながら、お栄もいつしか絵を描き始め、絵師として生きる覚悟を決めたお栄に北斎は「葛飾応為」の名前を送る。それは、いつも北斎が「おーい、飯! おーい、筆!」と、何かにつけて、お栄に用を頼むことから付けられた、師匠から弟子へ、父から娘へと渡された名前だった。
大森監督と「星の子」以来のタッグを組む永瀬が挑むのは、孤高の天才浮世絵師・北斎役。世に知られる“絵の天才”の顔だけではなく、破天荒な一人の人間としての顔、不器用な一人の父としての顔を見せ、その知られざる一面を大森監督とともに紡ぎあげる。
永瀬は撮影を振り返り、「大森立嗣監督の筆、長澤まさみさんの筆、皆さんが持ち寄ったそれぞれの筆と様々な濃度の墨によって描かれた一枚の合作作品の様な素晴らしい現場で葛飾北斎として生きられた日々は一生忘れられないものとなりました」とコメント。
そして、「揺れ動く不安定な感情の行く末を案じる時、ふと気がつくと、そこには必ず大森監督の視線が寄り添っていただけている」と大森監督に感謝し、応為役の長澤に対しても「大胆に自由に生きられた北斎の“心”というべき存在・お栄(応為)。長澤まさみさんは、僕にとってまさに同様の存在でした」と深い信頼を寄せた。


特報では、応為が「北斎の娘で悪かったな!」と啖呵を切る姿を皮切りに、応為の様々な表情が映し出されていく。北斎と並んで姿勢で筆を取る姿、散らかった家の中での賑やかそうな共同生活、そして現代にも残る名画「吉原格子先之図」の誕生を捉えたシーンなども収められている。
「おーい、応為」は10月17日よりTOHOシネマズ日比谷ほかで全国ロードショー。永瀬のコメント全文は以下の通り。
皆さんが持ち寄ったそれぞれの筆と
様々な濃度の墨によって描かれた
一枚の合作作品の様な素晴らしい現場で
葛飾北斎として生きられた日々は
一生忘れられないものとなりました
揺れ動く不安定な感情の行く末を案じる時
ふと気がつくと、そこには必ず
大森監督の視線が寄り添っていただけている事
絵に魂を捧げ
大胆に自由に生きられた北斎の
“心”と言うべき存在のお栄(応為)
長澤まさみさんは
僕にとってまさに同様の存在でした
スピード感溢れる大森監督の現場は
今後の日本映画の基本になるはずです
一つの小さな細い線を描くのにも
おぼつかなかった自分を
丁寧に諦めず
最後まで指導してくださった
絵画指導の先生方にも
心から感謝しています