公開記念舞台挨拶
日時:3月28日(土)
会場:新宿バルト9
登壇:山時聡真、菅野美穂、西野七瀬、中川駿監督

山時は、「佑とは年齢が近く、僕自身も中学・高校時代にバスケットボール部に所属していました。また、進路に悩んだ経験もあり、多くの共通点を感じていました」と語った。さらに撮影については「撮影中は監督と感情面について話し合いを重ね、菅野さんや西野さんとは芝居を通して役を深めていきました」と語りました。

難病を抱える母・美咲を演じた菅野は、「覚悟して臨まねばという決心がありました。病気について学ぶことはもちろんですが、息子を想う気持ちを一番に考えて臨みたいと思いました」と語った。

西野は、ケアマネージャー・下村役を務め、役柄について「対人関係が中心の仕事なので、どこまで踏み込んでいいのかという距離感については、監督とも現場で話し合いながら模索していました」と語った。さらに「出過ぎてもいけない一方で、自分の思いも伝える必要があり、その距離感がとても繊細な職業だと感じました」と述べた。また撮影については「現場には実際のケアマネージャーの方がいらっしゃったので、不安な点があれば『こういう場合はどうですか』と相談しながら理解を深めていきました」と明かした。

また、初共演となった菅野は西野との撮影を振り返り、「言うべきことを伝えながらも、ある程度見守ることが求められる、もどかしさのある役割だと思いました」と説明した。そのうえで共演については「西野さんと目を合わせて演技をしていると、とても自然な感情が生まれ、心地よく演じることができました。助けていただいたと感じていますし、共演できて本当に良かったと思っています」と語った。さらに現場での様子についても「西野さんは穏やかで周囲に気を配り、山時くんにも積極的に声をかけるなど、下村さんのように寄り添ってくださいました」と述べ、その姿勢が印象的だったと明かした。
その言葉を受けて西野は、菅野について「役に入ると空気が変わるほど美咲そのものになる一方で、合間の時間では明るい一面を見せるなど、そのギャップに圧倒されました」と語った。また、山時とは「ゲームの話をするなど雑談を重ね、和やかな関係を築いていました」と述べ、二人がそれぞれ佑と美咲に切り替わる様子を間近で感じる中で「自分も自然と下村としてここに存在している感覚を持つことができました」と振り返った。さらに「現場全体が温かく、互いに支え合いながら撮影を進める雰囲気がありました」とも付け加え、現場の雰囲気の良さを強調した。

中川監督は「本作が自身にとって商業映画として初のオリジナル作品であり、実体験を踏まえて脚本を書いた」と明かした。オリジナル作品であるため、監督自身の感性や好みが色濃く反映されており、「繊細で静かで押し付けがましくなく、優しく何かを気付かせる作品を目指しました」と述べた。また、「感想をいただいたら1分以内に反応する習慣があります」と語り、すでに多くの称賛を受け、観客を信頼して制作してよかったと感じたという。本作については「今後、自分にとって名刺代わりの作品となるだろう」とし、さらに「観てくださった方々に少しでも心に残る作品になれば嬉しいです」と思いを付け加えた。
山時は、佑の役柄を掴むきっかけの一つとして、菅野の爪を切るエピソードを挙げた。撮影期間中、菅野が「私の爪を切ってほしい」と申し出たことが、息子としての距離感を理解するための配慮であったと説明した。山時は緊張しながら爪を切ったが、翌日も深爪になっていないか心配だったと振り返り、その経験を通じて菅野との良好な関係性が築かれたと述べた。さらに「こうした些細なやり取りが役を深める大切なきっかけになった」と付け加えた。

菅野は、役柄の美咲が佑に日常的な世話をしてもらっていることを想像し、山時に爪を切ってもらうために爪を撮影まで伸ばしていたと明かした。爪を切っている際には、山時の優しい人柄が表れており、「緊張しているが誠実な人物だ」と感じたと述べた。さらに「こうした現場での細やかな心遣いが、役柄のリアリティを高めていた」と付け加えた。

本作は“人生の節目”を大きなテーマとしており、キャストが語る。

山時は、「自身にとってもまさに節目の作品であったと語り。本作が10代最後に撮影した映画であり、その時期でなければ演じられなかった役であること、覚悟を持って演じた作品であることを述べた。また、撮影終了後に20歳を迎え、映画の完成を迎える過程でかけがえのない時間を過ごしたと」振り返った、人生の節目を象徴する作品として本作品を位置付けた。

菅野は、自身の人生の節目について、「今年で4回目の年女を終え、間もなく50歳を迎えます。以前、小泉今日子さんが35歳になったときに驚いたのに、自身も50歳を目前にして驚いている。そのうえで、50歳を節目として捉え、ここからさらに努力していきたいと思います」と意気込みを語った。さらに「年齢を重ねることで経験や考え方が深まり、役者としてもより幅のある表現ができるようになりたい」と抱負を付け加えた。

作品の公開にあわせ、山時自身の“節目”を象徴する形で“卒業証書授与式”が行われた。菅野は、山時に対して「10代最後のすべてを本作に注ぎ、20歳という人生の節目において主演として作品を無事に送り出した努力と真摯な姿勢を称え、ここに“無事公開まで頑張りましたで賞”を授与します」と読み上げ、卒業証書を授与した。本授与式は、山時と作品が共に過ごした時間に一区切りをつけ、その歩みを“卒業”として示す意味を持つものとなった。


『90メートル』公開記念舞台挨拶

卒業証書を受け取った山時は、「小学校の卒業式を思い出す」と語り、満面の笑みでガッツポーズを見せた。山時は、オーディションから本作に携わる中で毎日素敵な時間を過ごしたこと、完成した映画を皆で鑑賞した際には20歳となっており、仲間と食事をし誕生日プレゼントを受け取ったことを振り返った。その経験は胸がいっぱいになるほど幸せで、今後も忘れられない時間だと語った。さらに「この作品を通じて得た経験や仲間との絆は、これからの自分にとって大きな支えになる」と述べた。

一方、菅野は、山時の成長した姿を称えた。初号試写での乾杯や取材での再会を通じ、映画の魅力を伝える言葉の選び方が進化していることを実感しており、現在も作品に真摯に向き合っていることを評価した。また、山時を労うジェスチャーを交え、「偉いね、頑張ったね」と称賛し、「これからも役者としてさらに成長していくことを楽しみにしている」と付け加えた。

山時は、菅野について「第2の母のような存在で、じんわりと胸に響きました」と述べ、感動を示した。この様子を見守っていた西野も、「10代最後の大切な時期を一緒に過ごさせてもらったので、これからもずっと見守ります」と山時にエールを送った。

最後に菅野は、映画について「今日この日を迎えられて良かったと思います。悲しい話の匂いがするかもしれませんが、私が演じた美咲も死なず、希望のある終わりを迎えます。皆さんの背中をそっと押してくれるような映画になりました」とアピールした。山時も、「『90メートル』を通じて多くの経験をさせてもらい、宣伝活動での取材などを通して、映画は一人では完成できないものだと実感しました」と述べ、関係者や観客への感謝を表明した。さらに山時は、「母から教わった“恩送り”の精神を大切に、皆さんからいただいた恩を誰かに返す人間でありたい」と抱負を語った。その横で、成長した“息子”の姿を目にした菅野は、感極まって涙を浮かべた。

『90メートル』©2026映画『90メートル』製作委員会

山時聡真  菅野美穂
南琴奈  田中偉登 / 西野七瀬
荻野みかん 朝井大智 藤本沙紀 オラキオ 金澤美穂 市原茉莉 少路勇介
監督・脚本 : 中川駿
プロデューサー:辻本珠子 藤本款 宇田川寧 田口雄介  共同プロデューサー:岡ひとみ アソシエイトプロデューサー:越當陽子
ラインプロデューサー:三橋祐也 音楽プロデューサー:杉田寿宏 音楽:Moshimoss
撮影監督:趙聖來 照明:藤井聡史 美術:松本良二 装飾:八木圭 録音:鈴木健太郎 編集:相良直一郎 音響効果:浦川みさき
衣裳:阿部公美 ヘアメイク:藤原玲子 キャスティング:東平七奈 助監督:安達耕平 制作担当:矢口篤史
製作:映画「90メートル」製作委員会
製作プロダクション : ダブ
配給:クロックワークス
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
©2026映画『90メートル』製作委員会
公式HP:https://movie90m.com
公式X:@movie90m
3月27日(金)より全国公開