ポルト国際映画祭(ファンタスポルト)2025にて監督週間部門コンペティションで主演男優賞(木村知貴)を受賞した北海道・小樽ロケーションの映画『蘭島行』(読み方:らんしまいき)の日本版予告編が、このたび解禁となった。併せて、足立正生監督、作家の窪 美澄などの著名人よりコメントが到着した。
本作は、運に見放されたパンクロッカーとその妻のふりをする天涯孤独の女、そして何年も会っていなかった弟との数日間を描く。
パンクロッカー崩れの独身男(芳夫)に音信不通だった弟(悟史)から電話が入る。どうやら、母親(美智子)が自殺をして昏睡状態のようだ。男は何年も帰っていない故郷、北海道小樽に向かった。わけありの女(真紀)を連れて。男はその女に嫁のふりをしてくれと頼んでいた。母親の喜ぶ顔が見たかったのだ。果たして、意識不明の母は目を覚ますのか? 男の願いは叶うのだろうか? 会話も少なくぎこちないまま、二人は小樽の蘭島駅に降り立った……。
メガホンを取ったのは、『YUMENO ユメノ』『TOCKA タスカー』に続く、長編三作目となる鎌田義孝監督。
前二作品と同様に本作も北海道で撮影、小樽市近郊の蘭島をロケ地に選んだ。
主人公の芳夫には木村知貴(『はこぶね』『室井慎次 敗れざる者』)、真紀には輝有子(『逃走』)、弟の悟史には足立智充(『夜を走る』『夜明けのすべて』)、母の美智子には竹江維子(『TOCKA[タスカー]』)。
『蘭島行』公開を記念して9月12日より1週間、シアターギルド代官山にて KIM FES〜過去から現在へそれなりに木村知貴を堪能する1週間〜 と題し、 木村知貴主演映画『トータスの旅』(16/永山正史監督)、『マニアック・ドライ バー』(21/光武蔵人監督)、『はこぶね』(22/大西諒監督)の3作品を日替わり で上映する木村祭りを開催予定。合わせてご注目いただきたい。
[日時]9月12日(金)~9月18日(木)
*時間は直接ご確認願います。
[会場]シアターギルド®
東京都渋谷区猿楽町11-6 サンローゼ代官山 103区画
https://theaterguild.co/(外部サイト)
コメント
足立正生(映画監督)
ここに、新たに紡ぎ出された鎌田節による麗しいメルヘンは、「あなたの苦しい人生の。重たさ全てを引き受けます!」と 問いかける。自らに正直に生き繋げば、闇の向こうに沈んで見えない未来への一歩すら生まれてくる、と物語る。しかも、 それを信じるかどうかは、観ている貴方の決断に委ねるとさえ、念を押している。だから断言する。熊の食い残した命を繋いできた北海道人の末裔である鎌田義孝の真面目さを映す幻像には決して 騙されて涙せず、各自勝手に生き抜いて見せよう!
山本政志(映画監督)
“今”と馴れ合えず、地面スレスレの低空飛行でなんとか生き延びてきた二人は、最果ての地、原点の地へ漂着する。寡黙で端正な語り口で紡がれる映像は、微かな再生への道を照らす。自らも馴れ合うことを拒絶した、鎌田義孝の見事な無骨ぶり。エグい!
窪 美澄(小説家)
みんなそれぞれにひとりぼっちであるはずなのに、じりじり他者との距離を詰めていくというか、 少しずつ人間の「ほんとう」があらわになっていくところがスリリングでもあり、あわれでもあり、愛しくもありました。
堤 幸彦(映画監督・演出家)
ポルトガルの映画祭で観た『蘭島行』に言葉を失う。私も作品を抱えていたが、すっかり虜になって監督や役者の皆さんと飲み明かした。経験だけでは語り得ない“映画的な何か”を知りたくて。それは監督の内面にある喪失感なのか、役者たちとの協働で生まれる温かいものなのか、きっとどんな大資本でも決して写すことのできないものだろう。『蘭島行』にそれは確実に存在した。
ニイマリコ(Loupx garoux/音楽家)
パンクが敗北を認めて始まる物語。
戌井昭人(作家)
ダメな奴の抜けられないダメさに、優しさがありました。
片岡礼子(俳優)
世界中のどこからも切り離したはずなのに、そのせいで新たな場所に辿り着いているふたり。

物語 東京に住む売れないパンクロッカーの佐々木芳夫(木村知貴)は、母が自殺を図ったという連絡を受けた。彼は妻のふりを頼んだ黒沢真紀(輝有子)を連れて、生まれ故郷の北海道蘭島に駆けつける。 エリート建築デザイナーの弟・悟史(足立智充)を加えた3人は、母が目を覚ますまで奇妙な時間を過ごす。 芳夫は母の日記に、死んだら父の遺骨と一緒に海に散骨してほしいと書いてあるのを目にした。母の願いを悟史にも告げ、芳夫たち3人は母の散骨場所を探しに出かけるが・・・。 ![]() |
出演、木村知貴 輝 有子 足立智充 竹江維子
企画・脚本・監督、鎌田義孝
脚本、中野太
音楽、山田勳生 プロデューサー、山野久治 撮影、新宮英生 録音・助監督、植田中
製作・配給、鎌田フィルム
2024年、カラー、日本、83分
映倫レイティング、G
©鎌田フィルム