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映画『火の華』公開記念舞台挨拶

10月31日(金)よりユーロスペースほか全国順次公開を迎えた映画『火の華』。実際に報道された自衛隊日報問題から着想を得た『火の華』は、元自衛官の壮絶な体験とその後の宿命を克明に描いた完全オリジナルストーリー。PTSDの深刻さを見据えながら、日本伝統の<花火>をモチーフに、<戦う>ことや<平和>の在り方、そして人間の本質までを問いかける。この度、満を持して劇場公開され、本日、公開記念舞台挨拶を実施。登壇者は総勢13名。延期から約1年を経て公開を迎えた喜びや、圧倒的な熱量で制作された本作への想いを語った。

昨年のマスコミ試写では満席になり、日本映画界の重鎮にして、時に超辛口の映画評を展開する映画監督・井筒和幸監督ほか各界の著名人から絶賛されるなど、作品への評価が非常に高い作品でありながら、昨年、2024年11月に出演者兼プロデューサーの起訴を受けて同年12月に公開延期となった本作。公開延期の原因となった刑事事件が今年2025年4月に終結したことを受け、この度、満を持して劇場公開され、本日、公開記念舞台挨拶を実施。

13名の登壇者は、長編デビュー作『JOINT』で新藤兼人賞銀賞に輝き、本作では、企画・脚本・編集・音楽までを手がけている小島央大監督。主人公の島田には、『JOINT』でも主演を務め、本作では共同企画・脚本にも名を連ねる山本一賢。元自衛官の葛藤と再起を等身大で演じ、圧倒的な存在感を放っている。そして、共演者の柳ゆり菜、松角洋平、伊武雅刀らが集結し、延期から約1年を経て公開を迎えた喜びや、圧倒的な熱量で制作された本作への想いを語った。

10月31日(金)に公開初日を迎えた『火の華』。11月1日(土)に行われた公開記念舞台挨拶の上映回は満席の会場となった。登壇者は監督・キャストら総勢13名。昨年、2024年11月に出演者兼プロデューサーの起訴を受けて同年12月に公開延期となった本作は、公開延期の原因となった刑事事件が今年2025年4月に終結したことを受け、この度、満を持して劇場公開されわけだが、待望の公開ということもあり、会場は熱気であふれた。いざ登壇者達が会場の中に入ってくると、観客は立ち上がり、大きな拍手と歓声で迎えた。鳴りやまないスタンディングオベーション。

感無量の表情を浮かべた小島央大監督はまず「監督の小島です。本日はありがとうございました。約5年、この映画を作り始めてから、ようやくこの日を迎えられて本当に幸せです。作る前からもずっと考えていたことですが、なぜ花火が美しいんだろう?そして同時になんで映画が好きなんだろう?ということをずっと考えていました。キャストの皆さん、スタッフの皆さん、そして観客の皆さんとスクリーンで映画を観るという一体感を感じることができて、本当に幸せで仕方ありません。ありがとうございます。」と挨拶。

小島央大監督

続いて、本作では共同企画・脚本にも名を連ね主演を務めた山本一賢は、凛々しくまっすぐに観客を見据えながら「島田役の山本一賢です。今日は本当にありがとうございます。今日を迎えられて、なんとも言えない気持ちです。ユーロスペースの支配人の北條さんには本当に感謝しています」と満席の観客と再上映に踏み切ってくれた劇場の支配人に感謝の意を述べた。そして、共演者もそれぞれの万感の思いを語った。

山本一賢

山本一賢扮した主人公・島田東助を花火師の道へと導く「藤井煙火」の社長にして名花火師の藤井与一を演じた伊武雅刀は「撮影は1年以上前ですが、多くの方に見ていただきたい映画なので、今日、こうやって実際に皆さんに見ていただけて幸せです。ありがとうございます。」と満席の観客に向けて感謝の意を述べた。

伊武雅刀

与一の娘で島田のことを気にかける昭子を演じた柳ゆり菜は「今日という日を迎えられて嬉しいです。この作品の大部分が新潟で撮影されていますが、私が撮影現場で見たり感じた新潟の自然の風景は、まるで呼吸音までもが聞こえるほど豊かで美しかったです。それをそのまま映画の中で体験できる映画というのは中々ないと思います。」と本作の映像美について触れた。

柳ゆり菜

続いて、島田が自衛隊に所属していたときの同僚でその後、行方不明となる伊藤を演じた松角洋平は「この日を迎えるまで色々とありましたが、今日という日をみんなで迎えられて本当に嬉しいです。思いがたくさん詰まった作品で、このような最高のメンバーで、なおかつ、撮影が終わった後も作品について話したりできるチームと出会えることはあまりないので、今日という日を迎えられて感慨深いです。」と最高の仲間たちと出会えたことに感謝した。

島田の自衛隊時代の部下、田中を演じた田中一平は「今日を迎えられたことがとても嬉しいです。公開日をずっと待ち望んでいました」と感無量な面持ちで挨拶。

同じく島田の部下、古川を演じた原雄次郎は作中でも印象的なシーンとなった口笛を披露。作中の再現に、会場からは「おー」という歓声も飛び、和やかな雰囲気に。

続けて、同じく島田や古川の同僚だる香川に扮した新岡潤は「僕は雄次郎みたいに口笛のシーンのようなものを持っていませんが、」と前置きをしながら「この日を待ち望んでいました。公開が決まって、この作品の色んな宣材物が世に出始めて、それを見て僕は思わず泣いてしまいました。それぐらいの思いを持っていたのですが、そのことを“自衛隊”のLINEグループで話したら、「お前、そんなんで泣いたのか」と笑われました。」と会場の笑いを誘いつつ、本作への思いを語った。

次に挨拶をしたのは、島田、田中、古川、新岡の上官でもある神崎を演じた山崎潤。「私はそのLINEグループには入っていませんが、」と、観客の笑いを誘いつつ口火を切ると、「私はこの作品にはオーディションを経て参加していますが、その時の相手役がまさかの主演の山本一賢でした。その時にどうしてもこの作品に参加したいと強く思ったことを今でも覚えています。」とオーディションでの思い出を振り返ると、「皆が心血を注いで作った作品です。これからより多くの人に届くようにこれからも皆さんの応援をよろしくお願い致します。」と本作への熱い思いを語った。

自衛隊を束ねる防衛大臣の秘書官、神崎を演じた遠藤祐美は「本日はありがとうございます。この(満席の)光景に感動しています。作品を撮ってから公開されることが当たり前じゃないこととか、こういう日を迎えられたということへのありがたさを今噛みしめています。」と感慨深く話した。

極左活動家を演じたゆかわたかしは「“映画という花火”が打ち上がったかのような今日という日に立ち会えたことに感激しております。今年、初めて長岡の花火を生で地元の方々と見させていただいたんですけれども、とても綺麗で、見てるだけで涙が出そうになりました。この映画の中でも、子供が生まれたら花火をあげるというシーンがあったと思うんですけど、ああいう感覚が僕にはそれまでなかったので、とても素晴らしいなぁと思って見てました。火薬っていうものを、戦争とかに使わず、花火で火薬が余っちゃったから花火で使おうよみたいな平和な世の中が来てくれたらいいなと本当に思っています」と本作のモチーフにもなっている“火薬”の二面性を引き合いに、本作への思いを語った。

自衛隊を退官した島田が密かに身を寄せることになる鉄工場での同僚、ジョン・ウスマンを演じた今村健斗は「こうして多くの方に映画を見ていただけて、とても幸せに思います。素晴らしいキャストの皆さん、そしてスタッフの皆さんの力でここまで来れたと思います。昨日から映画の公開が始まりましたが、色んな方に薦めてもらえたら嬉しいなと思います。」と挨拶。

最後に藤井花火の社員で島田に花火づくりを手引きする安田を演じたYUTA KOGAは「この映画で自分が花火師を演じるということで、生半可な準備だと通用しないと思って、しっかり2週間3週間、長岡にある花火屋さんがいるところで修行させていただきました。再公開までの1年間の中でたくさんの思いが詰まり、今日その思いの花火を打ち上げることができて、自分は本当に感極まっております。」と感謝の意を述べ、続けて「実はここに本当は登壇するはずだった自分の花火師の同僚を演じた高橋和明さんという俳優さんがいらっしゃいまして、この映画の公開の前に去年亡くなってしまったんですけれども、その方にも打ち上げた花火が届くように皆さんぜひ、ご応援のほどよろしくお願いします。お祝い事も弔い事もぶち上げていきましょう。今日はありがとうございました」

と作品への意気込みと、最後に、登壇者を代表して、昨年8月に心筋梗塞で亡くなられた高橋和明さんへの弔いの言葉を述べた。

13人の思い思いの挨拶が終了した後、作品の制作への経緯を聞かれた小島監督は、「2021年の第一作の「JOINT」を山本さん主演でやらせていただいたんですけど、そこからやっぱり山本さんとまた一緒に何を描くべきか、どういうキャラクターがいいのかっていうことを2人で話し合いました。僕は昔から花火が好きなんですが、花火を打ち上げている職人ってすごく謎めいた存在だなという思いがあって、その魅力を探っていきたいなというところも含めて花火職人が山本さんに似合うなという直感がありました。」と説明すると、撮影現場の話も展開。

「現場はすごく緊張感がありつつ、すごく楽しくて、スタッフ・キャストのみんながこの映画に対して魂を毎日注いでくれているのがわかりました。なので、撮ってるうちに「これは、いいものが出来上がるんじゃないか」っていう期待値も高まっていきました」と述懐すると、山本もまた現場の雰囲気について「撮影の時のことは、正直あんま覚えてないことが多いのですが、雰囲気っていうものは、そうですね、少なくてもチャラチャラしている人間は一人もいなかったですよね。」と小島監督に同調していた。

山本一賢
柳ゆり菜 松角洋平 田中一平 原雄次郎 新岡潤 キム・チャンバ
ゆかわたかし 今村謙斗 山崎潤 遠藤祐美 YUTA KOGA ダンカン / 伊武雅刀
監督・編集・音楽:小島央大 企画・脚本:小島央大、山本一賢
主題歌:大貫妙子&坂本龍一「Flower」(commmons/Avex Music Creative Inc.)
エグゼクティブプロデューサー:成宏基 プロデューサー:キム・チャンバ アソシエイトプロデューサー:前原美野里
撮影監督:岩渕隆斗 撮影:巻島雄輝 学 美術:原田恭明 照明:渡邊大和 録音:加唐学 ヘアメイク・キャラクタースーパーバイザー:橋本申二
衣裳:YK.jr 視覚効果:大塚裕磨 カラリスト:亀井俊貴 音響効果:柿添真希 制作担当:青木翔平
宣伝プロデューサー:山口久美子 宣伝協力:平井万里子 山口慎平 宣伝デザイン:成瀬慧 予告制作:谷口恒平
製作・配給:アニモプロデュース 制作プロダクション:雷・音 OUD Pro.
2024年/日本/シネマスコープ/5.1ch/カラー/124分  © animoproduce Inc. All Rights Reserved.

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