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映画『愚か者の身分』林裕太ら登壇!釜山国際映画祭ワールドプレミア、Q&A、記者会見

第30回釜山国際映画祭ワールドプレミア・舞台挨拶・Q&A
日時:9月18日(木)
会場:Busan Cinema Center Haneulyeon Theater (841席)
登壇:林裕太、永田琴監督、森井輝プロデューサー

『愚か者の身分』 第30回釜山国際映画祭 記者会見
日時:9月19日(金)
会場:Busan Cinema Center BIFF HILL 1F Press Conference Room
登壇:林裕太、永田琴監督、森井輝プロデューサー

人間ドラマを巧みに描くことに定評のある永田琴監督が、主演に北村匠海、共演に綾野剛、林裕太の豪華実力派キャストを迎え、愛を知らずに育った3人の若者たちの青春と、闇ビジネスから抜け出す3日間を描く逃亡サスペンス『愚か者の身分』は、10月24日(金)公開となります。

世界三大映画祭〈カンヌ、ベルリン、ベネチア〉と同様に、非コンペティション形式からコンペティション形式へと歴史的な転換を遂げた釜山国際映画祭。

今年から新設された“メインコンペティション部門”に『愚か者の身分』が選出され、林裕太、永田琴監督、森井輝プロデューサーが、9月18日(木)に行われた本作のワールドプレミアの舞台挨拶及び上映後のQ &A、さらに、翌19日(金)には記者会見に登壇しました。
『愚か者の身分』釜山国際映画祭

 

9月17日(水)に開幕した第30回釜山国際映画祭の<メインコンペティション部門>に選出され、オープニングのレッドカーペットを歩いた『愚か者の身分』。翌9月18日(木)には、映画祭のメイン会場≪Busan Cinema Center Haneulyeon Theater≫でワールドプレミアが行われ、キャストの林裕太、永田琴監督、森井輝プロデューサーが登壇した。

『愚か者の身分』釜山国際映画祭
上映前の舞台挨拶では、林裕太、永田監督、森井輝全員が韓国語で挨拶し会場を沸かせたあと、「お会いできて本当に嬉しい、ぜひ楽しんでいってください」「今日の世界で初めて映画『愚か者の身分』を見ていただくために、皆さん方にたくさん詰めかけていただいてありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。続いて、自身のフィルモグラフィーについて質問を受けた永田は、「今までの作風と今回の作風がガラっと変わりました。本当に今、日本の問題を自分の中でしっかりと捉えたいという想いと、今後自分のキャリアの中でも再デビューのつもりでこの映画を作りました」と吐露。岩井俊二監督の助監督を務めていた経験に話が及ぶと「厳しく努力家の方なので、本当に人としても学ぶことが多かった」と振り返った。

『愚か者の身分』釜山国際映画祭

出演した映画『HAPPY END』が最近韓国でも公開されたという林。『愚か者の身分』の撮影中に印象に残った出来事について「とにかく暑かった」と笑顔を見せたあと「すごく北村匠海さんと綾野剛さんが僕に対して優しくしてくださったこと」だという。
そして「北村さんとは何度もご飯に行って、本当に、劇中の役の設定通りの2人みたいな関係を築くことをやっていました。それがすごく記憶に残っています」と語った。

Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズ、「幽☆遊☆白書」(23)などの話題作を手掛けるプロデューサーの森井は、永田監督とは「アシスタントのアシスタントぐらいの時から助手時代も過ごした仲間」だったと明かす。そんな永田から本作の企画を持ち込まれた時には「僕もとても面白いと思いました」「永田さんのような女性が撮る映画の色を失わないように気を付けました。そこに僕、プロデューサー森井の色がうまく融合するように意識しました」と述べた。
『愚か者の身分』釜山国際映画祭
上映後の熱気が残る中、林、永田監督、森井が再び登壇して始まった観客とのQ&A。まず司会者から、ワールドプレミアを迎えた感想を求められた永田監督は、「初めてたくさんのお客さんに観てもらったので緊張しました。去年の夏、とても暑い中で撮影し、ようやく今日、自分の子供が生まれたような気持ちです」と言葉を詰まらせながら語った。続いて林は「こうやってお客さんと一緒に観られることが本当に嬉しい。作品を分かち合えた感覚」と笑顔で答え、森井は「映画は観ていただくために作るもの。映画祭で皆さんと同じ時間を共有できたことを心から嬉しく思います。感謝しています」とそれぞれが観客へ感謝の言葉を伝えた。

観客からの質問では、まず永田監督に「完成後、当初の想像以上の手応えを感じた部分はありましたか?」との問いが。監督は林が演じるマモルがタクヤとアジを食べる場面での勘違いの表情や、北村が視力を失うシーンなどを挙げ「たくさんありました」と手応えを語った。

林には「演じる上で難しかったこと、NGが続いたことは?」との質問が寄せられた。林は「撮影初期はNGが多かったです。複雑な背景を背負う役に入り込みすぎて身体が硬くなり、自由に演じられず苦戦しました」と振り返りつつも、「監督や匠海くんがケアしてくれて、次第に心身ともにほぐれ、自由に演じられるようになった」と感謝を口にした。
さらに「撮影内外でも兄貴分である共演者から支えてもらったことは?」という問いには、「僕が感動を与えられたかはわかりませんが」と謙遜しつつ「特に匠海くんには演技でもプライベートでも支えてもらいました」と回答。さらに、林が無意識に見せた演技の仕草を北村が「俺それすごい好き」と褒めてくれたことを明かし、「心が穏やかになり、助けられていると実感しました」と笑顔で振り返った。
『愚か者の身分』釜山国際映画祭翌日、9月19日(金)に行われた記者会見にも、キャストの林裕太、永田琴監督、森井輝プロデューサーの3名が登壇。
第30回という節目の歴史の中で、初めて本格的な形式が導入された記念すべき今年の釜山国際映画祭――その注目度を象徴するように、会場では作品に関する記者たちの熱意あふれる質問が次々と飛び交った。
『愚か者の身分』釜山国際映画祭
闇ビジネスというハードな世界を女性監督が描くことについて、永田監督は「最初は意識はしていなかった」と話し、「エンターテインメント性がありながら社会性のあるものを作りたいという思いだけがあって、完成していくにつれて『こういう題材を扱う女性がいるんだ』と周囲から言われ、『そうだったんだ』と逆に自分も気づかされました」と振り返る。

さらに「男性監督が手がけるサスペンスを見ると、数多くのエピソードの間にアクションが挟まれていて、スピード感やスリル、登場人物の人間性が見えないまま激しいアクションが求められることが多いのかな?と、感じていました。私はやはり、そこにも人の感情が必要だと思っています」と語った。

また、オーディションでマモル役に決まった林についての第一印象や決め手を問われると、「彼は切長の鋭い目を持っていた」と、まずそのビジュアルに強く惹かれたことをコメント。マモルは、警戒心を抱えながら誰を信じるかを模索していく繊細なキャラクターだが、オーディションで林が見せた演技が決め手となったという。「マモルが初めてタクヤからコンビニのパンを投げてもらい、心を許していく場面があるのですが、そこに垣間見える<人への警戒心>や、少しハングリーな雰囲気がとても合っていました。さらにタクヤ役の北村さんとの顔立ちのバランスも違いがあって、そこも魅力的だと思いました」と明かした。
『愚か者の身分』釜山国際映画祭
一方、林はマモルを演じる上でのアプローチについてこう語る。肉親からのDVやさまざまな不遇な環境で暮らしながらも「マモルは<飯が食えて雨風がしのげればそれでいい>と思っているふしがあるんですけど、それでいいから生きていきたいっていう力強さがあって、そこがとてもいいなと思った」「その強さが彼の根幹にあることは演じていく中でも変わっていないというか、ずっとそのイメージがずっとあった」と明かす。そして「物語が続いていく中で起こるマモルの心境に変化や、タクヤからもらった幸せを享受して、でも、それを失いかけた時マモルはどうするのか?この先も生きていられるんだろうかっていうことを考え、監督と話しながら、うまくたどり着けるようにしました」と語り、永田監督も「人に対する警戒心をしっかり表現できる俳優だと感じました」と称賛を送った。
さらに永田監督は、現代の日本の格差社会についても言及。「日本は海外の人から『平和で美しい街』『ゴミが落ちていない国』と見られがちですが、実際には国内にも格差社会が存在します。若い世代も経済的な貧困だけでなく、精神的な貧困にも苦しんでいると思う。結果として、理由もわからないまま犯罪に巻き込まれるケースがあることを知ってほしい。そうした思いもあって、この映画を作りました」とメッセージを寄せた。

本作は、アジア各国から選ばれた計14のコンペティション作品とともに、最優秀作品賞を含めた5つの釜山アワードを巡って競うことになります。結果発表と授賞式は9/26(金)を予定しており、栄誉ある第一回目の受賞に向けて期待がかかります。

愚か者の身分北村匠海
林 裕太 山下美月 矢本悠馬 木南晴夏
綾野 剛

プロデューサー:森井 輝 監督:永田 琴 脚本:向井康介
原作:西尾 潤「愚か者の身分」(徳間文庫) 主題歌:tuki.「人生讃歌」
製作:映画「愚か者の身分」製作委員会 製作幹事:THE SEVEN
配給:THE SEVEN ショウゲート
©️2025映画「愚か者の身分」製作委員会

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