映画

映画『ルノワール』外国特派員協会記者会見

外国特派員協会 (FCCJ)記者会見
日時:6月10日(火)
会場:公益社団法人日本外国特派員協会
登壇:早川千絵(監督)、鈴木唯、石田ひかり、リリー・フランキー

この度、第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、世界の脚光を浴びた映画『ルノワール』が、6月20日(金)から新宿ピカデリーほか全国公開となります。
本作は、長編初監督作品『PLAN 75』(22)が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞に輝き、同年のアカデミー賞®日本代表として選出、更に世界各国の映画祭で監督賞にノミネートされるなど、恐るべき評価を集めた早川千絵監督待望の最新作。

80年代後半の夏、闘病中の父と、仕事に追われる母と暮らす11歳の少女・フキの物語。主人公・フキを演じるのは多数の候補者の中からオーディションで抜擢された、驚異の新人・鈴木唯。役柄と同様 11 歳だった彼女の、真っ直ぐに大人を見つめる視線、この年齢ならではの自然な躍動感、時折見せる寂しげな表情など、スクリーン一杯に広がる瑞々しい演技に誰もが心奪われる。フキの母・詩子役に石田ひかり、父・圭司役にリリー・フランキーと、数々の映画賞を受賞してきた名優に加え、フキが出会う大人たちには、中島歩、『PLAN 75』に続き河合優実、そして坂東龍汰ら大ブレイク中の若手実力派俳優陣が出演する。

この度、外国特派員協会(FCCJ)にて、先日開催された第78回カンヌ国際映画祭へも参加しました早川千絵監督、鈴木唯、石田ひかり、リリー・フランキーが登壇する記者会見を実施いたしました。

11歳の沖田フキを演じた鈴木は、やや緊張した面持ちで登壇するも「今日はお越し下さりありがとうございます。皆様と共にいられることを嬉しく思います」と流暢な英語で挨拶し、拍手喝采となった。
そんな鈴木の起用理由を早川監督は「フキ役が決まらなければこの映画は撮れないと思って意気込んで大規模オーディションを始めたら、最初に彼女が来た。フキに最初に会ってしまうという幸運な瞬間でした」と運命的一目惚れだと告白。

鈴木はカンヌ国際映画祭が選ぶ「注目すべき10人の才能」にも選ばれたが、「とても光栄で凄く嬉しくて思い出に残って、これからも俳優を頑張りたいと思う兆しにもなりました」と感謝と意気込みを伝えた。また、共演した石田とリリーについては「石田さんからは、何も考えず普段通りにやってみるといいよと教わり、リリーさんら先輩の演技を見て、私もこんな演技をしてみたいと思うところもあったし、二人の演技を見習って私もどんどん上手になりたいと思いました」とリスペクトすると、リリーは「彼女は未成年なので20時までに帰らなければいけない!お世辞を言わせる時間がもったいないですよ!」と照れ隠しのジョークで笑わせた。
ルノワール
一方、フキの母・沖田詩子役の石田は鈴木について「完成作を観た時に、私の知らない唯さんが沢山いました。彼女の素晴らしい所は、純粋にそこに存在する事が出来るということ。大人になって色々な事を身につけた私には出来ないことが沢山あって、それをまざまざと見せつけられました」と絶賛。
ルノワール
フキの父・沖田圭司役のリリーも「フキは11歳ですが、この年頃の女の子は不安定で不完全で捉えどころのない形があるけれど、彼女はそれを安定した演技で魅せることのできる瑞々しい素晴らしさがあった。そんな唯ちゃんとフキの両方の成長を記録したこの映画も素晴らしいです」と賞嘆した。

また鈴木は、演じたフキとの共通点を聞かれると「一番似ていると思うところは、素直なところ。思ったことを率直に行動に移すところは同じだと思いました」と分析し、これにリリーは「フキよりも唯ちゃんの方が個性的ですよ!?」とニッコリ。お気に入りのシーンを聞かれると「楽しかったシーンは林間学校の場面。撮影は同世代の人たちと一緒でお話をしたりして楽しかった。完成した作品を観て良いと思ったのは、ポスターにもある船で踊るシーン。フキが新しい場所で生き生きと楽しく華やかな感じで、そこが目に焼き付いて良いシーンだと感じました」と見どころに挙げ、演技をしている際の感覚については「何も考えていないというか、感情があり過ぎるわけではない、ちょうどいい感じです」と述べた。

劇中ではフキが馬の鳴き声をリアルに真似するシーンがあるが、これは鈴木にとっては特技だという。司会からおねだりされると、リアルな馬の鳴き声を生披露。鈴木は拍手喝采に恥ずかしがりながらも笑顔を浮かべていた。さらに印象的なおかっぱヘアについて聞かれると「私は小さい頃からおかっぱで、撮影時にもっと短くしたいと言われて短く切りましたが、それが案外気に入っていて撮影後もこの髪型です」とお気に入りだった。

一方、様々な作品で父親役を演じ、子役と触れ合う機会の多いリリーは「この現場のスタッフ一同、彼女を子役として扱わないようにという暗黙の了解があった。彼女を女性として扱うことで彼女のもろさが見えやすくなったと思う」と回想すると、早川監督も「撮影中は彼女を一人の表現者として頼りました。私が教え諭して導いた感覚はなくて、唯ちゃんと一緒にフキというキャラクターを作っていきました」と実感を込めていた。

6か国の共同製作という点も注目されているが、早川監督は「脚本を書いている時は非常にパーソナルな物語だと思っていて、世界の観客に受け入れられるかどうかは考えておらず、それよりも自分が観たいものを作りたいという思いが強かった。しかし制作の過程で各国の反応がとても良くて、これはどこの国の人の心にも届く映画だと実感しながら作っていきました」と話していた。
ルノワール

物語
1980 年代後半のある夏。11 歳のフキは、両親と3人で郊外の家に暮らしている。ときには大人たちを戸惑わせるほどの豊かな感受性をもつ彼女は、得意の想像力を膨らませながら、自由気ままに過ごしていた。ときどき垣間見る大人の世界は、複雑な感情が絡み合い、どこか滑稽で刺激的。闘病中の父と、仕事に追われる母の間にはいつしか大きな溝が生まれていき、フキの日常も否応なしに揺らいでいく――。『ルノワール』
鈴木唯
石田ひかり 中島歩 河合優実 坂東龍汰 / リリー・フランキー
Hana Hope 高梨琴乃 西原亜希 谷川昭一朗 宮下今日子 中村恩恵
プロデューサー:水野詠子 Jason Gray 小西啓介 Christophe Bruncher Fran Borgia
製作:ハピネットファントム・スタジオ ローデッド・フィルムズ 鈍牛俱楽部 KINOFACTION テンカラット
Ici et Là Productions/Akanga Film Asia/Nathan Studios/Daluyong Studios/ARTE France Cinema/KawanKawan Media/Panoranime
企画・制作:ローデッド・フィルムズ 制作協力プロダクション:キリシマ 1945
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ 助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際共同製作映画)
2025年/日本、フランス、シンガポール、フィリピン、インドネシア、カタール/122分/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/日本語、英語/英題:RENOIR/G
© 2025「RENOIR」製作委員会 / International Partners
6 月 20 日(金) 公開
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