映画

映画『みんな、おしゃべり』公開直前トークイベント

公開直前!トークイベント
日程:11月27日(木)
場所:ユーロライブ
登壇:河合健監督、五十嵐大、中津真美

河合健監督のオリジナル最新作『みんな、おしゃべり!』が11月29日(土)よりユーロスペース、 シネマ・チュプキ・タバタほか全国順次公開を迎えます。本作は、先日開催された第38回東京国際映画祭のアジアの未来部門、そして、「手話のまち東京国際ろう芸術祭」で先行上映し、多くの反響を呼んでいます。

2人の感想を改めて聞いた河合監督は、自身がCODAであることを「映画を作り始める段階では深く自覚していなかった」と明かす。映画祭での上映時やこれまでの取材でも、テーマを“ろう者・音声言語・クルド人”の文脈から語られることが多かったと振り返り、「お2人の感想を聞いたとき、初めて聴者でもろう者でもない“別の軸で受け取られる”ことに救われた」と話し、本作の制作が自身のCODAとしての自己理解にも繋がっていったと語った。

また、河合監督は「わからなくていい、という前提で作った。わからないことに対して、聴者は無自覚なことが多いが、ろう者は“わからない”ことに自覚的。本作では、“理解させる映画”ではなく、“わからないままでも他者と並び立てる”ことを前提にしました」と見解を述べた。
『みんな、おしゃべり!』
イベント後半にはティーチインを実施。観客から、「夏海はその場の空気を読んで、言葉を端折ったり、意訳するが、ヒワは相手が話したことを忠実に通訳する。なぜそのような設定にしたのか?」と問われると、「クルド語は作品内でも触れられるように“奪われた言語”。ヒワの父親はクルド語を“アイデンティティそのもの”として大切にしているので、ヒワもその価値を理解しており、“発した言葉をそのまま伝えること”が誠実だと考えているから」だと理由を明かした。
「現代的な翻訳ツールをなぜあえて排除ぎみにしたのか?」と質問が及ぶと、「劇中では翻訳アプリのYYSystem(主に聴覚に障害のある方を対象に、会話や環境音をリアルタイムに文字起こしし、雰囲気までオノマトペやアイコンで表現することで意思疎通をトータルに支援するアプリケーションシリーズ)が登場します。ただ、夏海の父親・和彦は使用しません。彼は、日本手話という言語への誇り、聴者に寄り添いたくないという人物。なので、 “日本語へ変換すること自体” を拒否しているんです」と説明した。
※イベント中は、手話通訳に加え、YYSystemを使用し、発言をリアルタイムでスクリーンに投影

自身が“台湾人の母の通訳をして育った日本手話の話者”でもあるため、夏海の姿に深く共鳴したという、ろう者の観客からは、「この映画をきっかけに、3人はどう変わりたいか」との問い。河合監督は、CODAとしての自覚が強まり、“手話ができないCODA”への罪悪感から解放されたと改めて語り、「同じ境遇の人が楽になるよう、発信していきたい」と決意を伝えた。
中津さんは、「違いに蓋をしたまま、“みんな一緒だよね。みんな平等だよね”っていうのがよくあると思いますが、映画『みんな、おしゃべり!』では、違いをとことん突き詰めて表現している。 “みんな同じ” と覆い隠すのではなく、違いを認めた上で、どう一緒に生きていくかっていうところを描いているです。その素晴らしさを伝えていきたいです」と自身の想いを述べた。また、五十嵐さんは、本作を通して、社会が良くなっていったらいいなって言うのは大前提として願うことだと語り、「残念ながら、社会ってすぐには変わらないわけです。本当にゆっくりゆっくりと変わっていく。だから、この映画を観たひとりひとりが明日からほんの少し変わることで社会は変わっていくんじゃないかなと思います。ろう者やクルド人のこととか、特に何も知らない人たちに、とりあえず、映画『みんな、おしゃべり!』を観て!って勧めるようにしたい」と想いを託した。
会場は温かい余韻に包まれてイベントは幕を閉じた。

物語
ろう者の父と弟がいる古賀家と、その街に新しく越してきたクルド人一家が、些細なすれ違いから対立する。二つの家族の通訳として繰り出されたのは、古賀家で唯一の聴者である娘の夏海と、クルド人一家で唯一日本語が話せるヒワだった。二人は次第に惹かれ合っていくが、両者の対立は深まるばかり。そんなある日、夏海の弟・駿が描いた謎の文字をきっかけに、小さな対立は街を巻き込む問題へと発展、想像を超えた結末へと向かっていくー。

出演:長澤樹、毛塚和義、福田凰希、ユードゥルム・フラット、Murat Çiçek、那須英彰、今井彰人、板橋駿谷、小野花梨
監督:河合健
脚本:河合健、乙黒恭平、竹浪春花
プロデューサー:小澤秀平
ろうドラマトゥルク・演技コーチング:牧原依里 /手話指導:江副悟史 /ろう俳優コーディネート:廣川麻子/ クルド表現監修:Vakkas Colak
企画・配給・製作プロダクション:GUM株式会社
配給協力:Mou Pro.  助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
©2025映画『みんな、 おしゃべり!』製作委員会

error: Content is protected !!