映画

堤真一・山田裕貴登壇 映画『木の上の軍隊』完成披露上映会@沖縄

登壇者:堤 真一、山田裕貴、平 一紘監督
司 会:真栄平仁(ひーぷー)

5月23日(金)、映画『木の上の軍隊』の沖縄完成披露上映会が実施された。本イベントがワールドプレミアとなる記念すべき日に、平 一紘監督に加え、ダブル主演を務める堤 真一、山田裕貴が本作の舞台である沖縄の地に駆け付け登壇、作品に込めた想いをたっぷり語った。

拍手に迎えられて登壇した堤は、笑顔で「楽しんでご覧いただき、ぜひ感想をお聞かせください」と挨拶した。山田は「やっと皆さんに観ていただけることが本当に嬉しい」と、感無量の面持ちを見せた。平監督は「この日のために頑張ってきた」と語り、「企画が始まったのは約2年前だが、つい最近のことのようにも感じる。本当にみんなで力を合わせて、伊江島の本物のガジュマルの木の上、本物の土地、本物の戦場で撮影した。今日、皆さんにこの作品をご覧いただけることが、何よりも幸せだ。公園のような場所に複数の木を組み合わせて植えた場所での撮影だったため、この映画にはほとんど“嘘”がない。画面に映っているものは、すべてありのままの現実である」と、力を込めて語った。

本作は現地の協力を得て制作されたこともあり、現場の雰囲気について堤は「戦争をテーマにした映画なので、“楽しい”という言い方は少し違うと感じている。むしろ“なんて前向きな力で、みんな進んでいくのだろう”と感じていた。スタッフはもちろん、カメラマンや技術スタッフもいるが、それ以外にもお茶を出してくれたり、準備を手伝ってくれたりする人たちがいる。そういった人たちから“やらされている”という空気はまったくなく、皆が先回りして動いてくれる。それは単なる“熱意”という言葉では表現しきれない、沖縄が本来持っている力、前向きさといったものを強く感じた」と、感激の様子で語った。

堤の言葉に大きくうなずいていた山田も「この劇場でアルバイトをしている子も、制作スタッフとして関わっていた。衣装のアシスタントだと思っていた子が、実はある役を演じていたりする。皆で一緒に作品を作っているという感覚が非常に強く、“自分の担当だけをやっている”というのではなく、皆が全体を見渡しながら関わっていた。その姿勢に、沖縄らしい温かさを感じた」と、感慨深げに語った。

最後に平監督は、「自分の想いひとつで、皆さんに作品を観てもらえることが嬉しい。そして、この映画が“沖縄から発信される”という意義の大きさを、作品の中に込めたつもりだ。今日ここにいる皆さんは、世界で最初にこの映画を観る人々である。ぜひ、観終わった後に感じたことを、簡単な言葉で構わないので、どんどん広めていってほしい」と、観客に向けて呼びかけた。

続けて山田は、「皆さんが観終わったあと、どんな人や言葉を思い浮かべるのかと想像している。そういった思いを馳せながら、皆さんがこの映画を観てくれることが楽しみだ」と語り、観客の感想に期待を寄せた。

堤は、「この作品は戦争を描いているが、本当に伝えたいのは、沖縄の人々が6月になると自然と戦争について考え、語り継いでいるという事実だ。今もなお基地の問題を抱える沖縄だからこそ、そうした感覚が根付いているのだと思う。だからこそ、むしろ沖縄以外に住む人々──特に都会の若い世代にこそ観て感じてほしい。そして、まずは沖縄で撮ったこの映画を、沖縄の皆さんの力を借りて全国へ届けていけたらと願っている。今日感じたことがあれば、SNSなどを通じて発信し、ぜひ周囲の人にも薦めてほしい」と、作品に込めた思いを語り、舞台挨拶は、温かな拍手に包まれながら幕を閉じた。

物語
太平洋戦争末期、戦況が悪化の一途を辿る1945年。飛行場の占領を狙い、沖縄・伊江島に米軍が侵攻。激しい攻防戦の末に、島は壊滅的な状況に陥っていた。
宮崎から派兵された少尉・山下一雄(堤 真一)と沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン(山田裕貴)は、敵の銃撃に追い詰められ、大きなガジュマルの木の上に身を潜める。仲間の死体は増え続け、圧倒的な戦力の差を目の当たりにした山下は、援軍が来るまでその場で待機することに。戦闘経験が豊富で国家を背負う厳格な上官・山下と、島から出たことがなくどこか呑気な新兵・安慶名は、話が嚙み合わないながらも、二人きりでじっと恐怖と飢えに耐え忍んでいた。やがて戦争は日本の敗戦をもって終結するが、そのことを知る術もない二人の“孤独な戦争”は続いていく。
極限の樹上生活の中で、彼らが必死に戦い続けたものとは――。
木の上の軍隊

原作:「木の上の軍隊」
株式会社こまつ座・原案:井上ひさし
作家・井上ひさしが生前やりたい事として記していたオキナワを舞台にした物語。タイトルは「木の上の軍隊」。
井上が遺した1枚のメモを基に、井上ひさし没後、こまつ座&ホリプロ公演として2013年、藤原竜也、山西惇、片平なぎさを迎え初演された。その後、「父と暮せば」「母と暮せば」と並ぶこまつ座「戦後“命”の三部作」位置づけられ、16年、19年にはこまつ座公演として山西惇、松下洸平、普天間かおりが出演し、再演、再々演され、19年には沖縄でも上演。世界からも注目され様々な国から上演依頼がある作品である。2023年6月より韓国公演がスタートし8月の終演までソールドアウトの人気を博した。

出演:堤 真一  山田裕貴
津波竜斗 玉代㔟圭司 尚玄 岸本尚泰 城間やよい 川田広樹(ガレッジセール)/山西 惇
監督・脚本:平 一紘
原作:「木の上の軍隊」(株式会社こまつ座・原案井上ひさし)
主題歌:Anly
企画:横澤匡広
プロデューサー:横澤匡広 小西啓介 井上麻矢 大城賢吾
企画製作プロダクション:エコーズ
企画協力:こまつ座
制作プロダクション:キリシマ一九四五 PROJECT9
後援:沖縄県  特別協力:伊江村
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
©️2025「木の上の軍隊」製作委員会