発表当時、若冠21歳の大学生によるユーモラスでオフ・ビートな文体が癖になる新時代の青春小説で、第28回松本清張賞を満場一致で受賞した波木銅『万事快調<オール・グリーンズ>』(文春文庫)が、『猿楽町で会いましょう』の児山隆監督により映画化決定。時代の閉塞感を吹き飛ばす、不適切で爽快な青春映画が誕生、2026年に公開します。
未来が見えない町に暮らす秀美と美流紅たち。自分たちの夢をかなえるために、この町とおさらばするには、一攫千金を狙うしかない。彼女たちは、同好会「オール・グリーンズ」を結成し、禁断の課外活動を始めます。
ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送る朴秀美(ぼく・ひでみ)役には、映画初主演した『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018)で多くの映画賞新人賞を獲得、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022)、『光る君へ』(2024)に出演、今年は『愛されなくても別に』で主演を務めるなど、多くの映画やドラマで活躍している南沙良。もう一人の主人公、陸上部のエースで社交的、スクールカースト上位に属しながらも、家庭では問題を抱えている映画好きの矢口美流紅(やぐち・みるく)役には、雑誌『Seventeen』の「ミスセブンティーン2018」に選ばれ、現在は『non-no』専属モデルに加え、俳優としてNetflix『舞妓さんちのまかないさん』(2022)、映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(2024年)、『赤羽骨子のボディガード』(2024)、『か「」く「」し「」ご「」と「』(2025)など話題作への出演が続く出口夏希。この度公開された、秀美・美流紅のグリーンのツナギを着た場面写真とともに、学園ドラマとは一線を画した、疾走感と爽快感を兼ね添えた青春映画の誕生を感じさせます。
また、映画化発表にあたり、クリエイティブ・ミクスチャー・ユニット“NIKO NIKO TAN TAN”の書き下ろし主題歌「Stranger」を使った超ティザー映像も公開。南が演じる朴秀美と出口が演じる矢口美流紅の会話シーンから始まり、主題歌のイントロと共に、最後は「不適切な青春がはじまる」のテロップが。
撮影は、昨年10月~11月にかけて行われ、映画はすでに完成しているとのこと。未来を切り開くために、彼女たちが結成した、同好会「オール・グリーンズ」とは!? 続報にぜひご期待ください。
[コメント]
何ひとつ快調じゃない日常のなかで、乾いた感情は不安や閉塞感を助長させる、と思います。
そんな鬱屈した世界を踏み潰して進もうとする彼女たちは、無軌道で危なっかしくて、どうしようもなく愛おしく感じました。
傷を負っても走り続ける姿は本当に輝いていて、演じていてその力強さに救われる瞬間が何度もありました。
刹那的な疾走感に、身も心も委ねながらとにかく走り抜いた撮影期間だったと思います。
この作品が「どこへも行けない」と感じてしまう私たちに確かな力を与えてくれるものになっていると信じています。
――朴秀美:南沙良
脚本を読み終わった後、とても痛快な気持ちになり、このような役を演じた事がなかったので、美流紅を演じられる嬉しさと、面白そう!という気持ちが湧いてきました。
撮影は、同世代の方々とお芝居させていただく事で刺激を受けながら、日々、美流紅を作り上げていけたかな。と思っています。
悩みはたくさんあるけれど、人生を変えたくて一発逆転にかける高校生活。
後先考えずに真っ直ぐに突っ走る不適切な青春物語です。
この痛快さと彼女たちの行く末をぜひ感じていただきたいです!
――矢口美流紅:出口夏希
思い返してみると、僕にはいわゆる「映画みたいな青春」はなかったと思う。
陸上部には入ったけれど3ヶ月も続かなかったし、誰かに夢中になってこっぴどく失恋するようなこともなかった。
「青春」なんてものは、たぶん、もっと選ばれた人たちのものだったんじゃないかと少なくとも当時の自分は思っていた。
教室の隅っこで、漫画やアニメ、映画や音楽にばかりふれていた。
それらの中にしか自分の居場所はなかったし、誰も知らないものを知っているという、ちっぽけな優越感でなんとかバランスを取っていたんだと思う。
この映画は青春時代がただ過ぎ去っていくことを指を咥えて見ていることしかできなかった男が監督した「青春映画」だ。
あの頃好きだったもの、逃げ込んでいたもの、救われていたもの、全部詰め込んだ。
そうやってできた「万事快調」は、あの頃のひねくれた自分が観てもきっと面白いと言ってくれる映画になったと思う。
そうか、自分にもちゃんと青春があったんだ。
それはきっとこの映画を撮るための。
とまあ、なんだかそれらしいコメントはこの辺にして…、
超絶スーパーおもしろカッコいい映画が爆誕したんでみんな絶対観てね!!!!
――監督:児山隆
この度、主題歌を担当させていただきますNIKO NIKO TAN TANです。制作チームから「青春」をテーマに楽曲制作のオファーをいただき、映像や原作を拝見して、女子高生の諸刃の剣的な青い疾走感と、作中のモチーフである緑を重ねて碧色をイメージに制作しました。青春をテーマにするということが自分自身の中でも新鮮な体験で、バンドにとっても大切な一曲に仕上がったと思っています。映画とともに楽しんでいただけたら嬉しいです。劇場公開をお楽しみに!
――主題歌:OCHAN(NIKO NIKO TAN TAN)
©2026「万事快調」製作委員会
■『万事快調<オール・グリーンズ>』
2026年公開
culture-pub.jp/allgreens
配給: カルチュア・パブリッシャーズ