リチャード・リンクレイター監督最新作「ブルームーン」に主演を務めたイーサン・ホークの撮影秘話と、場面写真が披露された。

作曲家リチャード・ロジャースが、長年タッグを組んでいた作詞家ロレンツ・ハート(ホーク)に代わる新たな相棒と組んだ初めてのミュージカル、「オクラホマ!」初演の夜。ハートはブロードウェイのレストラン「サーディーズ」で行われたパーティに招待されていた。伝説の作詞家と評されるハートが過ごすパーティでの一夜。夜が明ける頃、彼が見つけたものは何だったのか。芸術家としての栄光だけでなく、誰もが一度は抱く孤独や苦悩、そして恋心を、リンクレイター監督が自身の原点に立ち返りながら丁寧に描き出していく。

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リンクレイター監督と長年タッグを組んできた名優ホークが今作で演じたのは、実在したブロードウェイの伝説的作詞家ロレンツ・ハート。これまでのイメージからは想像しがたい年配男性の風貌をまといながらも、その人物像を完全に体現し圧巻の演技を披露している。2人は共におしゃべり好きとして知られ、その尽きることのない会話から映画が生まれることも少なくない。最初の出会いは1993年、舞台裏で初めて顔を合わせ、夜明けまで語り合ったことがきっかけに「恋人までの距離(ディスタンス)」の土台を築いたという。歳月を重ねた関係性を見事に体現した本作の撮影を振り返り2人は、「僕たちの立場を一変させた。危険な感じだった。少し口うるさくなって、才能の壁にぶつかっているような気がした」と後のインタビューで語っている。

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身長約150センチ、外見のイメージとは真逆の人物である作詞家ハートを演じるにあたり、ホークは大胆な肉体改造に挑戦。頭を剃り、特殊効果を用いて共演者たちよりも背が低く見えるよう演出された。数多くの役に挑んできたホークでも「無理があった」と振り返るほど、「これまでの経験を総動員した、キャリアでも最もハードな役だった」と語っている。膨大な台詞量に加え、声や体の使い方、歩き方に至るまで緻密な構築が求められ、その過程は「マラソンというより、短距離走のような集中の連続だった」という。

かつての相棒ロジャース役を演じたアンドリュー・スコット、リンクレイター監督と共に写る一枚から、その変貌ぶりを確認することができる。さらに、ハートが思いを寄せるエリザベス役を演じるマーガレット・クアリーが、真っ直ぐな眼差しで見つめるシーンや、エリザベスへの叶わぬ恋心をロジャースに打ち明ける姿も披露。本年度アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされたホークの「すべてを賭けた役作り」に納得させられる。

「ブルームーン」は、3月6日から全国で公開。