第78回カンヌ国際映画祭・監督週間のオープニング作品としてワールドプレミアされた映画『ENZO(原題)』が、邦題『君の見る世界をなぞる』として2026年8月21日(金)より日本公開されることが決定した。

本作は、世界にうまく馴染めない16歳の少年の不安と揺れる感情を、南フランスの夏の光に包まれた美しい映像で描く青春ドラマ。裕福な家庭に育ちながらも学校生活に適応できない少年エンゾは、家族や周囲の人々が当たり前のように送る日常に違和感を抱えながら生きている。やがて彼は学校を離れ、建築現場で働く日々を送るようになる。

そこで出会ったのが、ウクライナから来た青年ヴラドだった。エンゾは彼に淡い憧れと親しみを抱くが、ヴラドには戦争による兵役という避けられない現実が迫っていた。家族への不信感、将来への不安、そして戦争によって身近な人が奪われていく現実。行き場のない感情を抱えながら、エンゾのひと夏は静かに過ぎていく。

思春期特有の孤独や葛藤を繊細に描きながら、フランス社会における教育制度や階級格差、そして戦争という現代的テーマを内包する本作。揺れ動く若者の心を、柔らかな光と静かな時間の流れの中で描き出す珠玉の青春映画となっている。

監督を務めたのは、『BPM ビート・パー・ミニット』(2017)でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞したロバン・カンピヨ。本作はもともと『パリ20区、僕たちのクラス』(2008)でパルム・ドールを受賞した名匠ローラン・カンテが立ち上げた企画だったが、制作途中の2024年4月にカンテが逝去。長年の共同作業を続けてきたカンピヨがその遺志を引き継ぎ、作品を完成させた。結果として本作は、社会派映画の名匠ローラン・カンテの遺作としても大きな注目を集めている。

主人公エンゾを演じるのは、本作が俳優デビューとなる新人エロイ・ポフ。元競泳選手という経歴を持つ彼の飾らない存在感が、思春期の繊細な心の揺らぎをリアルに体現している。エンゾの両親役には、『シチリアーノ 裏切りの美学』などで知られる名優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノと、『天使が見た夢』でカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を受賞したエロディ・ブシェーズ。さらに、エンゾが憧れを抱くウクライナ出身の労働者ヴラド役には、実際に建築現場で働いていたアマチュア俳優マクシム・スリヴィンスキーが起用された。実力派俳優とアマチュア俳優が織りなすリアルな演技が、物語に漂う階級差や偏見といったテーマをより生々しく浮かび上がらせている。

なお本作は公開に先駆け、2026年3月19日(木)から22日(日)まで渋谷で開催される第33回フランス映画祭2026に出品。3月20日(金・祝)にはユーロライブにて上映され、ロバン・カンピヨ監督が来日し上映後のQ&Aにも登壇予定だ。

■作品情報
作品名:『君の見る世界をなぞる』
原題:ENZO
公開日:2026年8月21日(金)公開
監督:ロバン・カンピヨ(『BPM ビート・パー・ミニット』)
出演:エロイ・ポフ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、エロディ・ブシェーズ、マクシム・スリヴィンスキー ほか
製作年:2025年
製作国:フランス/ベルギー/イタリア
言語:フランス語、ウクライナ語
上映時間:102分
映倫:PG12
字幕翻訳:リネハン智子
配給:樂舎