ハンガリーを代表する映画監督のメーサーロシュ・マールタ。そのデビュー作から代表連作まで、新たにレストアされた7作品を日本で劇場初公開する「メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章」。アンナ・カリーナを捉えた「ジャスト・ライク・アット・ホーム」冒頭映像(https://www.youtube.com/watch?v=O2JZW5cyyRo)が披露された。
「アダプション ある母と娘の記録」(75)で女性監督として初めてベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞し、アニエス・バルダ、アンナ・カリーナ、イザベル・ユペールら錚々たる映画人から支持されるメーサーロシュ・マールタ。2023年に開催され好評を博した第一弾特集上映に続き、日本で劇場初公開となる作品を新たにレストア/HDデジタルリマスターした珠玉の作品群が一挙上映される。
今回のラインナップは、マールタ監督自身の初期~中期作品を中心にした7作品。冷戦下の恐怖政治を生き抜いたメーサーロシュ自身の記憶が刻まれたパーソナルな一大叙事詩「日記」三部作や、孤児として育った女性が両親を追い求めるデビュー作「エルジ」、中年の危機に瀕した未亡人の息苦しさをシスターフッド的に描破した「月が沈むとき」、階級格差が男女の結び付きを蝕む「リダンス」など彼女の作家性が際立つ初期作品のほか、カリーナが出演し、血の繋がらない男と少女の、親子のような親密さにカメラが向けられた中期の傑作「ジャスト・ライク・アット・ホーム」など、メーサーロシュの目を通して“家族”の形、有様が問い直される。
このほど公開された「ジャスト・ライク・アット・ホーム」冒頭映像は、親子のような親密さにカメラが向けられた中年の男と少女、そしてカリーナが織りなす奇妙な三角関係が、軽快な音楽にのせて描き出される。やがて、男からの身勝手な電話に毅然と応じながらも、どこか戸惑いを見せてタバコをくわえるカリーナの姿が映し出される。1960年代、ゴダール作品でミューズとして輝いた彼女とはまた異なる、一人の女性としての新たな魅力を感じさせる映像となっている。





