短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS Season8」全5作品のラインナップが発表され、11月に岡山県先行公開と12月の劇場公開が決定した。女優の松田美由紀が監督を務める「からのうつわ」は、原田美枝子と佐藤緋美が主演を務める。
2020年から始動した伊藤主税、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする「MIRRORLIAR FILMS」(ミラーライアーフィルムズ)は、メジャーとインディーズを超えた多彩なクリエイターによる短編映画制作プロジェクト。2025年のSeason7までに著名クリエイターから一般公募まで、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した52本の短編映画を劇場公開してきた。
Season8の舞台となるのは岡山県。発表された作品は「からのうつわ」「CUT!」「愛骨(あいこつ)」「ラの♯(シャープ)に恋をして」、そしてMEGUMIがプロデュースする佐渡恵理監督作品(制作予定)の5作品。
「からのうつわ」メイキング写真 (C)2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
女優のほか、歌手、写真家、映像作家としても幅広く活動する松田が監督・脚本を務める「からのうつわ」は、パチンコ屋を舞台に文子(原田)と土井(佐藤緋美)の邂逅と交流を描く。同じ店の同じ台でパチンコを打つことが日課になっている文子はある日、パチンコ店に勤める静かで影のある青年・土井と出会う。親子以上に年齢の離れた二人は、どこかに自分と似た「寂しさ」を感じ、少しずつ惹かれていく―。原田は、40年来の仲である松田監督の熱望に応えて出演が決定。また相手役にはHIMI名義でアーティストとしても活躍し、「ムーンライト・シャドウ」で第31回日本映画批評家大賞新人男優賞受賞し、「ケイコ 目を澄ませて」に出演した佐藤が決定している。
写真左より、松田美由紀、MEGUMI、佐渡恵理 (C)2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT タレント、俳優、実業家、ドラマのプロデューサーとして多彩な活躍を見せ、今年5月に開催されたカンヌ国際映画祭の会期中には日本映画の魅力を世界に発信する「JAPAN NIGHT」も主催したMEGUMIは、映像作家、アートディレクターコマーシャルフィルム、ミュージッククリップ、インスタレーションなど様々な分野で活動する佐渡を監督に抜擢し作品を制作予定。
なお本作は、映画を通じた岡山県の地域活性化と次世代クリエイターの育成を目指した「岡山フィルムプロジェクト」の一環として制作されており、「映画で、ひらく。」をテーマに掲げている。「からのうつわ」と岡山県出身のMEGUMIプロデュース作品は同県内で全編撮影予定。11月に岡山で先行上映されることが決定している。
写真左より、安藤春、節田朋一郎、廣田耕平 (C)2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT その他、映画編集者・監督としてのキャリアを積みながら、北米の映画や日本のミュージックビデオ、コマーシャルなどを手掛けてきた安藤春監督の「CUT!」、TVCM、Webムービーなどを中心に活動する節田朋一郎監督の「愛骨」、フリーのディレクターとして活動する廣田耕平監督の「ラの♯に恋をして」の3本がラインナップされた。
監督陣のコメント全文は以下のとおり。
■「からのうつわ」松田美由紀監督
「からのうつわ」メイキング写真 (C)2024 MIRRORLIAR FILMS PROJECT 原田美枝子さんとは、44年前にテレビドラマ「北の国から」で女優同士として知り合ってから、尊敬する大好きな女優さんで、それからずっと長く個人的にもお付き合いしてきましたが、いつか自分が監督になったら、撮りたい!と願っていました。そして今回ご一緒して、原田美枝子という女優がどれだけ素晴らしいか再確認しました。原田さんの長い女優の人生の凄みを、この作品にお借りしたんだな。と感無量でした。
佐藤緋美さんは、原田さんと不思議な出逢い方をする青年役を探していている中。ある意味、老成した感覚がある20代が良いと考えた時。緋美君をイメージしました。どこにも俗されてない自由な精神と、感受性の豊かさが、まさにピッタリと感じました。緋美さんは愛のある青年を柔らかく誠実に演じてくださいました。とても幸せな出逢いでした。
■「CUT!」安藤春監督
この作品は人生で初めて自分が本気で作ることが出来たもので、恐らく今までで一番心を込めて作った作品だと思います。2017年当時、僕が在学していたバンクーバーの映画学科には日本人は僕のみで、この作品で僕の大学生時代の4年間を全て詰め込んだといっても過言ではありません。あれから月日が経ち、この作品があったからこそ、沢山の人たちと出会うことができ、今の自分があります。何か感じていただければ嬉しいかぎりです。
■「愛骨」節田朋一郎監督
肉が燃え、骨になった時、そこには愛は残るのか。骨を愛でる教師と彼に想いを寄せる教師、想い合っているはずなのにどこかすれ違ってしまう。不器用だけど、愛に溢れた彼らたちのお話を、ぜひ観て頂きたいです。
■「ラの♯に恋をして」廣田耕平監督
「出会い」をテーマに人と人が恋に落ちる瞬間を描きたいと思っていました。どんな出会い方が美しいだろうと考えていた時、妻が横で珍しくおならをしたのです。それを私はなぜか愛しいと感じました。
「人は大切な人のそんな瞬間すら好きになれる。場合によっては恋心をくすぐることもあるだろう。恋に落ちるというのは、そんな刹那なのかもしれない。」そう思い、この企画は始まりました。日本の美しい着物や所作、ピアノの調律など細部の動きにもぜひ注目してご覧いただきたいです。
関連