映画専門誌の「キネマ旬報」が主催する映画賞『第99回キネマ旬報ベスト・テン』(2025年)の授賞式が19日、都内で開催。助演女優賞を受賞した俳優の伊東蒼が出席した。

「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」は、ジャルジャル福徳秀介が2020年に発表した小説を原作とする映画作品である。主演の萩原利久が大学生・小西徹を演じ、ヒロインの河合優実が小西と出会い親しくなる桜田花を演じている。伊東は、小西の銭湯でのアルバイト仲間であるさっちゃん役を務めた。作中には、さっちゃんが小西に対して自身の思いを伝える約8分間の場面がある。

伊東は、告白シーンについて質問されると、台本を読んだ際に自身のせりふが長く続いていることに驚いたと述べた。また、台本を受け取る前に原作を読んでおり、さっちゃんとして表現したいと考えていた部分が台本に盛り込まれていたため、思いを伝えたいと感じたと振り返った。

役作りについては、萩原利久との共演場面が多く、撮影以外の時間にもコミュニケーションを重ねたことを明かした。その過程で、小西の人物像への理解が深まり、役としての感情も次第に強まっていったと語った。

撮影については、最初のリハーサルで涙があふれ、前を向くことが難しい状態になったことを明かした。その際、監督の大九明子が演技の方向性を示し、演じやすい環境を整えたという。また、本番はワンカットで撮影され、周囲のスタッフも負担が大きくならないよう配慮していたと述べた。

この日、ともに登壇した助演男優賞の佐藤二朗とは、2021年公開の映画「さがす」(監督:片山慎三)で親子役として共演している。佐藤は当時を振り返り、その感性について高く評価する発言を行った。

これに対し、伊東は佐藤を「お父さん」と表現した。一方、佐藤は自身を「精神年齢6歳の56歳」と述べ、伊東を「お母さん」と表現し、会場には笑いが起きた。

『第99回キネマ旬報ベスト・テン』受賞一覧
【作品賞】
・日本映画作品賞(日本映画ベスト・テン第1位):『旅と日々』
・外国映画作品賞(外国映画ベスト・テン第1位):『ワン・バトル・アフター・アナザー』
・文化映画作品賞(文化映画ベスト・テン第1位):『よみがえる声』【個人賞】
・日本映画監督賞:李相日『国宝』により
・日本映画脚本賞:奥寺佐渡子『国宝』より
・外国映画監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン 『ワン・バトル・アフター・アナザー』により
・主演女優賞:シム・ウンギョン『旅と日々』により
・主演男優賞:吉沢亮『国宝』ほかにより
・助演女優賞:伊東蒼『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』により
・助演男優賞:佐藤二朗『爆弾』ほかにより
・新人女優賞:鈴木唯『ルノワール』により
・新人男優賞:黒崎煌代『見はらし世代』ほかにより
・読者選出日本映画監督賞:李相日『国宝』により
・読者選出外国映画監督賞:ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』により
・読者賞:秦早穗子(連載『シネマ・エッセイ 記憶の影から』により)