水上恒司が主演を務める映画『本当にあった話(の話)』の本編映像が公開された。

本作は、“実際に起きた殺人事件”というフィクションを題材に、虚構が現実を、妄想が真実を飲み込んでいく“世にも不気味な物語”を描く。監督は、初長編作『赤色彗星倶楽部』で「PFFアワード2017」日活賞および映画ファン賞、「第11回田辺・弁慶映画祭」グランプリを獲得した武井佑吏が務め、本作で商業デビューを飾る。

物語は、世間を震撼させた「配偶者入れ替え連続殺人事件」から数十年が経った“今”から始まる。事件をもとにした禁断の舞台が作られることになり、演技経験のない夛田(水上)が主演を射止める。だが役柄に自分の経験を重ね、深くのめり込んでいった夛田は、やがて虚構と現実の境界を見失い、次第に演じる人物と一体化していく。彼の凄まじい執念は、やがて相手役となった米良(黒木華)、舞台の脚本家・垣内(小池栄子)、舞台演出家の加藤(佐々木蔵之介)らを次々と掌握し、戦慄と興奮のクライマックスへと突入していく──。

この度公開されたのは、「この映画、みんな、狂ってる?」という刺激的な問いかけから始まる、一癖も二癖もある登場人物たちの“何かがおかしい”瞬間を凝縮した本編映像。主人公・夛田をはじめ、米良、垣内、加藤らが登場し、それぞれが自らの思いを抱えながら、どこか常軌を逸した言動を見せていく。

まず映し出されるのは、脚本家の垣内が、自身が手がける物語について熱弁する場面だ。「貴子という人物に恋をしてしまったんです」と並々ならぬ熱量で語る垣内に対し、周囲はどこか困惑気味の反応を見せる。演出を手がける加藤は、「団子状の肉の塊が観客にぶつかっていくイメージ」というグロテスクな言葉で独自の演出プランを説明。さらに、米良が感情を爆発させ絶叫する姿や、夛田が真顔で放つ「グルテンフリーって陰謀論ですか?」という一言まで飛び出す。

そのほかにも、夛田が「誰もあなたの葬式に行きたい奴なんていませんけどね」と容赦ない言葉を浴びせる場面や、「売れるんなら何でもするんだろ?」と相手に詰め寄る姿、「日本の空は米軍に支配されてるんですよ?」という突然の主張など、前後の物語が気にならずにはいられない強烈なシーンが連続する。しかも、本人たちは誰ひとりとしてふざけているわけではなく、全員がいたって大真面目。だからこそ、思わず笑ってしまうような可笑しさのすぐ隣に、どこかゾッとするような異様さが漂う構成となっている。

『本当にあった話(の話)』水上恒司 黒木華 山下美月 大東駿介  山本浩司 / 小池栄子 / 佐々木蔵之介
原作 鴻池留衣『本当にあった話(の話)』(文藝春秋)
音楽 Maika Loubté

監督・脚本・編集 武井佑吏

製作 石井紹良 岸善幸 髙橋紀行 太田和宏  プロデュース 中村優子 企画・プロデューサー 杉田浩光
撮影・編集 渡邊雅紀  照明 志村昭裕 録音 豊田真一  美術・装飾 遠藤善人
製作委員会 murmur テレビマンユニオン KDDI 東京テアトル  制作プロダクション テレビマンユニオン  配給 東京テアトル/murmur
©️鴻池留衣/文藝春秋/2026「本当にあった話(の話)」製作委員会