■登壇者
福井晴敏(総監督)、ヤマトナオミチ(監督)、岡秀樹(脚本)
中村繪里子(司会/桐生美影役)
第四章を鑑賞したばかりの観客を前にした岡は開口一番、「第四章が上映して、うれしさが半分、怒られないかなというドキドキ感が半分です。サーシャは皆さんの思いが強いからハードルが高いんです。果たしてそれをうまく投げられているのか。ドキドキはいまだに続いています」と緊張ぎみにあいさつ。続くヤマト監督は「ようやく全体のシリーズの半分。なんとかここまでこれて、安心半分というところです」と安堵の表情を見せた。
さらに福井総監督も「毎章、言いたくないんですが、よく間に合ったなと。今回もギリギリでしたね」と続けると、「しかも第四章の最後には“とある大きいもの”が出てきましたけど、次章はあれと戦わないわけにはいかないので、カロリーがものすごい。だけどさすがにわれわれもこの第四章までで学びました。前からつくっておけばいいんだと。毎回、公開初日は次章の画はほぼ真っ白、というのが常だったんですが、今回は第五章の4分の1ができているんで。次はご安心ください!」と会場に呼びかけると、
司会を務めた桐生美影役の声優・中村繪里子も「皆さん、ご安心ください。あと4分の3をつくればいいだけですから。あぁ、よかった!」と笑顔をみせた。
そんな第四章の見どころとしてヤマト監督は、ガミラスの新たな故郷・ガルマン星や北海道といった「今までに無かった場所」を挙げる。「新たにレイアウトやカットの素材を発注していくんですが、その時にどうやってイメージをすり合わせていくか。いろいろと手間をかけましたが、皆さんの協力をもとにつくりあげ、ようやく皆さんにお見せできるようになったわけです」。
だがそうやって苦労してつくりあげた、いくつかの場所は、物語の展開のなかで登場しなくなっていく。福井総監督が「前回つくった小学校はどこに行ったのか……美術館も出てきたと思ったら爆破されてしまうし……」と嘆くことしきり。それは本作へのこだわりの強さゆえだが、ヤマト監督とともに「ロケまでしたのに……」「一生懸命つくったのに……」と繰り返される嘆き節に、会場も思わず笑いに包まれた。
さらに脚本を担当した岡も今回の『ヤマトよ永遠に REBEL3199』の物語が生まれるまでのこだわりエピソードを明かす。
岡によると、2020年には福井総監督の自宅で主要スタッフによるアイデア会議が行われ、非常に分厚い議事録ができるほど大量のアイデアが出されたという。しかし、その後プロジェクトは一時中断して2022年に制作が本格的に再始動した時には、当初の内容は福井総監督によって大幅に変更されていたとのことで、「その時に僕らが全然知らない話が出てきたのですが、それが今皆さんがご覧になっている『3199』なんです」と岡が明かすと会場はビックリ。「たぶん皆さんは今、『デザリアムって何?』とか戸惑ってらっしゃると思うんですが、僕らは2022年にそれを体感しているんです」と笑った岡は、「それが福井マジックなんです」と付け加えた。
次なる第五章はどのようになるのだろうか。福井総監督は、本作のラストに姿を現した“巨大な何か”について言及。「めっちゃでかいのがいたじゃないですか。あれ、全長70kmは下らない大きさなんです」と明かすと、岡も「70kmというと、だいたい房総半島から静岡まで。だって内部をコスモタイガーIIが飛び交うわけですから。そのためにはそのぐらいでかくないとダメなんです」と補足するなど、第五章は規格外のスケールで物語が展開されるであろうことが示唆される。
さらに岡は、最初のアイデア会議で「これだけは絶対にやろう」と決めていたことについて明かす。それは「アルフォンと古代を対面させること」と「中間補給基地攻略作戦」だったとのことで、これに対して福井総監督は「その両方を一気に解決できるのが次章ということになります」とファンの期待を煽った。
そして最後にメッセージを求められた岡が「宇宙戦艦ヤマトというのは歴史がある作品です。『ヤマトよ永遠に』と『宇宙戦艦ヤマトIII』という40年以上前の原作をいただいて、みんなでつくっています。観客の皆さんにはようやく半分までお返しできたかな、という気持ちでいます。ここから広がった物語がどういうふうに閉じられていくのか、まだまだ色んなことが起きます。最後までぜひお付き合いください」と語ると、
ヤマト監督も「まだまだ制作現場の戦いも続くんですけど、画面としてもその危機をどう解消していくか、それにどうやって対応していくか。これからもシリーズは続きます。まずは第四章を楽しんでいただき、どうぞ引き続き応援よろしくお願いします」と呼びかける。
そして最後に福井総監督が「原作『ヤマトよ永遠に』には、有名な『ワープディメンション』というものがありました。映画の途中で画面の比率が変わって、ビスタサイズからシネスコサイズという横長の画面に変化する。それはつまり物語が途中から壁を乗り越えて、自分たちの視点が広がっていき、我々にグッと近づいてくるという感じだったのですが、それに匹敵することが第五章のラストで起こります。どんなことになるのか、ぜひ楽しみにしてください」と観客の期待をあおった。
■登壇者
小野大輔(古代進役)、鳥海浩輔(北野誠也役)、上村祐翔(揚羽武役)、福井晴敏(総監督)
中村繪里子(司会/桐生美影役)
いよいよ第四章が劇場で上映となり、「折り返し地点まできましたね」と語った小野は「何より観てくださる皆さんが一緒に艦を進めてきてくださったなということで感謝しています。ここまで困難に次ぐ困難で、ずっとつらいところが続いていましたけど、第四章でひとつの山を超えたかなと。そして、波動砲を撃つために必要だったことが“家族の絆”だったことも感慨深いです。やはりこの12年、ヤマトのキャストやスタッフとの絆でここまで進めてきたなという思いがあるので。やはり波動砲を撃つというのは信頼なんだなと思いました」と語ると、
福井総監督が「話数的には折り返し地点なんですが、制作内容としては3分の1弱といったところ。これからどんどん大変なことになっていきます」と今後の展開を説明。「(次は「第五章」なのに)計算が合わない!」と驚いた様子の小野も、これからの展開に興味津々であるようだった。
一方、ヤマトシリーズで舞台あいさつに登壇するのは初だという鳥海は客席を見渡しながら、「僕は52歳なんですが、見渡したかぎり人生の先輩が多いようで。歴史ある作品を見続けてきて、今でも応援してくださる方の前で身の引き締まる思いです」とコメント。
さらに上村が「第三章での揚羽は、土門とのぶつかり合いがありましたが、和解できたところで第四章に向かうことができました。第四章はたくさんのキャラクターが出てくる群像劇の部分を楽しんでいただけたら」と呼びかけるも、司会を務める桐生美影役の声優・中村繪里子より、本作のキャラクターが90人以上であったことを告げられると、「だから僕、今回はセリフが少なかったのか」と嘆いてみせてドッと湧いた会場内。

そんな上村に福井総監督は「新人クルーたちにも今後もうひと山ありますから」とフォロー。その言葉に上村も「よかった」と安堵の表情を見せた。
上村が演じる揚羽だが、福井総監督からは、上村と通じるところがあるキャラクターと言われたことがあったという。
その言葉に小野も思わず「上村くんはああいう生意気なキャラなの?」とツッコみ、会場は大笑い。さらに小野が「揚羽って、古代から見ると本当に生意気なんです。しかも面と向かってではなくて、裏で言っているような感じだから」とボヤくと、鳥海が「ずっと古代がウジウジしてるからじゃないの?」と芯をついたコメントを発し、会場からは笑いとともに思わず拍手が鳴り響くひと幕も。
そんな鳥海の言葉に「先輩!キツいな」とツッコむ小野だったが、「そういう意味では北野さんという存在は、僕にとっての鳥海さんとかぶるところがあるんです。少し上の先輩で、現場でも一緒にふざけることもあるし。でもふとした瞬間に、ちょっとしたことでアドバイスをもらったりする方なので。本当にヤマトって自分の人生みたいになっているんです。関わってくる人たちの中には、生意気な後輩もいるし……」と上村をちゃかすと、「生意気じゃないですよ」と慌てて返した上村。その言葉に小野も「上村くん自身はいいヤツなんですけどね」と笑ってみせた。
そんな古代進のことが「気になるキャラクター」だと語る鳥海。「ヤマトシリーズでは、小野大輔がド真ん中のかっこいい芝居をしているというのが新鮮なんですよ。最近はゴリゴリした役が多かったので。ド真ん中の小野大輔を堪能できる作品なんじゃないかなと。そういう意味でも古代さんから目が離せないなと思いますよ」と太鼓判を押した。
また本作では、サーシャの父親のようなポジションになっている古代だが、「なぜサーシャは古代をおじさまと呼ぶのか。今回、大人になったサーシャに出会いましたが、そこでもまだ彼女のことを受け入れられない。僕個人としては、おじさまといわれるのはちょっと距離があるなと思っていて。個人的には“お父さん”と呼んでいいんだよと思っていますが」と語る小野。
「なにより原作がそうだったから」と語る福井総監督。小野も「でも最終的には心が通じ合っていましたから。それは血縁を超えて、仲間なんだなと思って、グッときましたね」としみじみ。
また第四章では土門が波動砲を撃つシーンがあった。「実はあの時、土門役の畠中祐とアフレコスタジオに一緒に入っていたんですけど、『発射!』という言い方がちょっと短かったんです。おこがましいけど、僕も12年撃っているんで。波動砲って、最後の『発射!』の部分にカタルシスがあるんですよ。
そういう思いがあって、普段はそういうことは言わないんですけど、テストの後に『(畠中)祐、最後は解き放った方がいいよ』と言ったんです。そうしたら本番では、僕の撃ち方に似ているんですよね。あの時、一緒にアフレコできて良かったなと思うし、あらためて観ても同じ言い方をしているなと思って、うれしかったです」と感慨深い様子でコメント。
そのエピソードを聞いた鳥海も「男なら一度は『発射!』と言いたいからね。もしそういう機会があるなら、僕も小野さんに背中を押してもらいたい」と冗談めかして、会場を沸かせた。
そんなイベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた上村は「第四章まで、皆さんの応援があってここまでくることができたと実感しています。収録はすでに終わってるんですが、その中でもうひと山、揚羽を含む新人クルーにも試練というか、乗り越えないといけない大きな壁が出てきます。そういうところに思いを込めてお芝居をさせていただいております。いろんな角度でヤマトを楽しんでいただけたら」
続く鳥海も「ヤマトということで、やはり大きい画面で集中して観ていただくのがふさわしいんじゃないかと思います。キャラクターも多くて、1度観ただけでは全ては分からないと思うので、是非何度も観ていただき、第五章につなげていただけたら」。
さらに小野が「舞台あいさつに立つたびにここまできたなという思いで胸がいっぱいになります。でもここからなんですよね。ヤマトはいつも救われたと思ったら、その先に更なる困難が待っています。福井さんがおっしゃるとおり、この先も大きな試練が待ち構えてますけど、この仲間たちとならまだ旅ができるなということを実感しました。上村くんは後輩、鳥海さんが先輩になるんですが、他の現場でもよく一緒になっていて。劇中に重なるように、頼りになるなという感覚が増してきています。
そう思うキャストが『3199』に入ってきてくれて、それが本当にうれしくて。いいキャスティングですよね……。共演するキャストの皆さんからすごくいろんなものをいただいます。僕の役者人生はヤマトに集約されているんです。自分の人生をヤマトにささげる覚悟ができています。
それは僕ひとりの決意ではなく。かかわってくれるキャスト、スタッフ皆さんの覚悟だと思います。この艦のクルーなら最後まで必ず希望の未来にたどりつける。あとは皆さんというクルーです。ここから一緒の未来に旅立っていただけたらうれしいなと思っております」と呼びかけると会場からは大きな拍手が。
そして最後に福井総監督が「第四章にはこの先の様々な伏線が張り巡らせています。Blu-rayで中身を持って帰ることもできますんで。ぜひお買い求めください」とアピールし、イベントを締めくくった。
『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第四章 水色の乙女(みずいろのサーシャ)』
1980年に公開された劇場映画第3作『ヤマトよ永遠に』を原作に新解釈を加えて再構成した『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズ最新作。全七章(全26話)構成にて2024年より全国劇場で上映開始。
●2025年10月10日(金)上映開始
◆メインスタッフ
原作:西﨑義展 総監督:福井晴敏 監督:ヤマトナオミチ シリーズ構成・脚本:福井晴敏
脚本:岡 秀樹 キャラクターデザイン:結城信輝 メカニカルデザイン:玉盛順一朗・石津泰志・明貴美加
CGプロデューサー:後藤浩幸 CGディレクター:上地正祐 音楽:宮川彬良・兼松 衆/宮川 泰 音響監督:吉田知弘
アニメーション制作:studio MOTHER アニメーション制作協力:サテライト・YANCHESTER 配給:松竹ODS事業室
製作:宇宙戦艦ヤマト3199製作委員会
◆メインキャスト
古代 進:小野大輔 森 雪:桑島法子 サーシャ/真田 澪:潘 めぐみ デスラー:山寺宏一
真田志郎:大塚芳忠 島 大介:鈴村健一 土門竜介:畠中 祐 揚羽 武:上村祐翔
北野誠也:鳥海浩輔 南部康造:松本 忍 藤堂信乃:塩田朋子
神崎 恵:林原めぐみ 藤堂早紀:高垣彩陽 芹沢虎鉄:玄田哲章 藤堂平九郎:小島敏彦
アルフォン:古川 慎 イジドール:堀江 瞬 ランベル:江口拓也 サーダ:井上麻里奈 スカルダート:内田直哉