初日舞台挨拶
日程:12月5日(金)
場所:新宿バルト9 シアター9
登壇:板垣李光人、中村倫也、久慈悟郎(監督)、武田一義(原作・共同脚本)
板垣は「感無量です」と公開を迎えた喜びを穏やかな表情で語った。観客から寄せられている感想にも触れ、「本日ご覧になった皆さんも、感じたことを整理してSNSなどに書き留めていただければ嬉しいです」と呼びかけた。
また、吉敷佳助を演じた中村も、「観て、知って、感じていただきたい作品です」と作品への思いを述べた。さらに、客席に阪神タイガースのユニフォームを着た子どもを見つけると、やさしい口調で「映画、少し怖かったですよね。きっとその記憶は大人になっても残る大切な体験になると思います。阪神と共に応援していってくださいね」と声をかけ、和やかな雰囲気をつくっていた。
久慈監督は、板垣と中村の熱演について「ペリリュー島にいる等身大の若者の声を表現してほしいという思いがありました。特に最後のセリフは重要な場面でしたが、アフレコでは一度でしっかり表現していただけました」と語り、高く評価した。
武田も「お二人の最初の声を聞いた瞬間、想像を超える仕上がりで、まさに自分が思い描いていた田丸と吉敷そのものでした」と感心した様子を見せた。これに対し、中村は「声優の仕事、増えますかね?売れたいな~!」と冗談交じりに喜びを表した。

作品の反響について、板垣は「祖父から戦争の話を聞いたことを思い出した、という声をいただくことがあります。本作がきっかけで記憶が呼び起こされ、戦争への理解が深まるのであれば嬉しいです。それが作品を届ける意義の一つだと感じています」と語った。一方、中村さんは「僕は友達が少ないので反響と言われても…」と笑いを誘いながら、「登壇前に、SNSでも好意的な意見が多いと聞き、嬉しく思いました」と笑顔を見せた。
ステージの背景には、試写会などで本作を鑑賞した観客から寄せられた感想がパネルとして掲示されていた。「若い世代にこそ見てほしい」「かわいらしい絵柄が戦争の残酷さを際立たせている」「自然の美しさと厳しさの対比が印象的」「ずっと涙が止まらなかった」「日常をもっと大切にしたいと感じた」など、多様な声が紹介されていた。
武田は、「戦争を題材にした作品は視聴者の年齢層が高くなりがちなので、若い世代にも観てもらえるように絵柄や主人公の性格を工夫しました。お子さんが観てくれるのは本当に嬉しいです。また、原作ファンの方から“きちんと『ペリリュー』になっている”と言っていただけたことにも安心しました」と語った。
板垣は、涙を流したという感想が多く寄せられたことについて「伝えたい想いが届き、それが涙として表れたのだと思うので、そうした反応をいただけるのは嬉しいことです」とコメントした。
中村は、「歴史を題材にした作品は結末を知っている状態で観ることになります。本作も太平洋戦争の結果を踏まえて観始める方が多いと思うので、その中で描かれる会話や葛藤、選択がより新鮮に、そしてストレートに届いたのではないでしょうか」と考えを述べた。
「生きている実感を得る瞬間」について尋ねられた板垣は、「この季節、外で冷たい空気を吸うと鼻がツンと痛くなるんです。その感覚ですね」と少し照れながら回答した。中村が「それは感覚的なもの?それとも季節の巡りを感じるということ?」と質問を重ねると、板垣さんは「季節の変化に体が反応するんです。痛覚として季節の移り変わりを感じるというか」と説明。中村は「痛覚!? この場で“痛覚”という言葉を使う俳優は珍しい」と笑いながらコメントし、会場を和ませた。
一方、中村は「ぎっしり詰まったキャベツを見たり、今年はブロッコリーが小さいなと思ったり、そういう時に実感します。主にスーパーでですね」と紹介。「仕事中はあまり生きている実感はなくて、生活の中で“あ、自分は今ちゃんと生きてるな”“今朝もちゃんと食べようとしてるな”と感じます」と独自の感性で語ったあと、「…これ、どんなネットニュースになるんでしょうね。ちょっと怖いな」と照れ笑いを浮かべていた。
この映画は、太平洋戦争末期のペリリュー島で起きた激しい戦いを、親しみやすい三頭身のキャラクターで表現したアニメーション作品です。心優しく漫画家を目指す主人公・田丸均(たまる・ひとし)を板垣さんが、田丸を支える頼れる相棒・吉敷佳助(よしき・けいすけ)を中村さんが演じています。主題歌「奇跡のようなこと」は、上白石萌音さんが担当しています。
イベントではサプライズ企画が用意されていると発表され、中村が「生ライブですか?」と予想する場面や、板垣さんが「裏でもその話をしていました」と笑顔で応じる場面が見られた。しかし、司会からの説明により、上白石萌音さんのコメント映像が上映される形であることが明かされた。
映像の中で上白石は、「公開初日を迎えられたことを、一員としてとても嬉しく思います。おめでとうございます」と祝福のメッセージを寄せた。また、キャラクターの姿と声優陣の声がよく合っていると感じたことを伝え、「お互いの声を聞いて、どんなことを思いましたか? ぜひ褒め合ってください」と質問した。
この問いかけに中村は、「俳優は、褒め合う時間が少し恥ずかしいと分かっているはずなのに」と照れ笑いを見せつつも、互いの声の魅力について語り合うひとときとなった。
板垣は、「先日『Mステ』で歌唱されている姿を自宅で拝見しました。映像とともに歌う姿に自然と気持ちが高まりました。主題歌がエンドロールとともに流れる時間は心地よく、優しい余韻に包まれるようです。感謝をお伝えしたいです」と上白石さんの歌声を称賛した。
中村も続けて、歌声に対する感想に加え、「スクリーンのすぐ下から見た上白石さんの姿もとても美しかったです」と述べ、温かい称賛の言葉を添えた。
キャスト:板垣李光人 / 中村倫也
天野宏郷 藤井雄太 茂木たかまさ 三上瑛士
主題歌:上白石萌音「奇跡のようなこと」(UNIVERSAL MUSIC / Polydor Records)
原作:武田一義「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」(白泉社・ヤングアニマルコミックス)
監督:久慈悟郎 脚本:西村ジュンジ・武田一義
キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治 プロップデザイン:岩畑剛一 鈴木典孝 メカニックデザイン:神菊薫
美術設定:中島美佳 猿谷勝己(スタジオMAO) コンセプトボード:益城貴昌・竹田悠介(Bamboo)
美術監督:岩谷邦子 加藤浩・坂上裕文(ととにゃん)
色彩設計:渡辺亜紀・長谷川一美(スタジオ・トイズ) 撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)
3DCG監督:中野哲也(GEMBA) 髙橋慎一郎(STUDIOカチューシャ) 編集:小島俊彦(岡安プロモーション) 考証:鈴木貴昭
音響監督:横田知加子 音響制作:HALF H•P STUDIO
音楽:川井憲次
制作:シンエイ動画 × 冨嶽 配給:東映
©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」製作委員会















