映画

『ジョン・バージャーと4つの季節』本編映像解禁

5月24日(土)シアター・イメージフォーラムにて公開、2016年の第66回ベルリン国際映画祭に正式出品された、映画『ジョン・バージャーと4つの季節』本編映像を解禁いたします。

⽣前のジョン・バージャーと深い絆で結ばれた⼥優ティルダ・スウィントンが、ジョンとその著作との出会いによりいかなる影響を受けたか、そして⻑年の交友関係を回想する本編映像。

⼩説、エッセイ、詩作、戯曲と、⽐類なき品の趣の幅広さで知られるジョン・バージャー。昨年刊⾏された『第七の男』を始めとして邦訳出版が相次ぐなか、晩年のジョン・バージャーの素顔を捉えた本映画へ、斉藤真理子、ホンマタカシ、小林エリカより共感のコメントが寄せられています。

さらに、5月24日(土)上映後、公開初日記念トークイベントを開催。写真家・ホンマタカシ氏がゲストとして登壇します。

英国の作家ジョン・バージャーは、1950年代末にデビューし、2017年に90歳でこの世を去るまで、美術批評、詩作、戯曲、小説といった多彩な分野で旺盛な表現活動を展開しました。1972年には小説「G.」でブッカー賞を受賞。また代表作『Ways of Seeing』(邦題『イメージ:視覚とメディア』)は、西洋美術の商業主義や女性の描かれ方を通して、西洋社会のものの見方のバイアスを批評し、今もなお世界中で版を重ねる象徴的な作品となりました。韓国では近年、著書の多くが翻訳されているほか、日本でも西欧の移民労働者を描いた『A Seventh Man』(邦題『第七の男』)を始め、2024年以降邦訳が立て続けに出版されています。

©2015 The Derek Jarman Lab

2007年に映画『フィクサー』でアカデミー賞助演女優賞を受賞し、今年1月には最新作『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』が日本公開された英国の女優ティルダ・スウィントンにとって、ジョン・バージャーは特別な存在であり続けてきました。1989年の映画『Play Me Something』(日本未公開)で共演を果たしたふたり。軍人の父を持ち、時を隔てて同じ日にロンドンで生まれたという事実が互いの結びつきを強め、長年にわたって親交を深めてきました。

スウィントンが中心となり、ロンドンの実験的映像プロダクション、「デレク・ジャーマン・ラボ」と製作した本作は、彼女がバージャーの住むフレンチ・アルプスの村カンシーを訪ねる場面から始まります。カンシーの四季に沿って編まれた4つのチャプターを通して、戦争の記憶、人間と動物、政治とアートといった、バージャーが一貫して取り組んできたテーマを一つ一つすくい取り、次世代にバトンを繋いでいきます。

“小さな声”、“声なき声” に耳をすませ、生涯を通じて “文化的抵抗”(Cultural Resistance)を止めなかった語り手、ジョン・バージャー。その鋭くも温かい世界へのまなざしが、スウィントンを始め、彼を慕う人々との対話を通じて立体的に浮かび上がります。それはまた、混沌とする現代社会にあって、バージャーが今に遺した置き手紙のようにも見えてきます。

©2015 The Derek Jarman Lab

監督:ティルダ・スウィントン、コリン・マッケイブ、バルテク・ヅィアドーシュ、クリストファー・ロス
出演:ジョン・バージャー、ティルダ・スウィントン
2015年/90分/イギリス/配給:BABELO
原題:The Seasons In Quincy: Four Portraits of John Berger